白石勇一の囲碁日記

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名人戦第5局・封じ手予想

2016年10月12日 23時08分22秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
第41期名人戦挑戦手合七番勝負第5局、始まりました!
第4局では井山裕太名人が初勝利を挙げましたが、追い込まれた状況である事には変わりません。
なんとか本局にも勝って望みを繋げたい所です。
一方の高尾紳路挑戦者は、井山名人の怖さを誰よりも知っています。
この一局で決めなければ危ないと思っているでしょう。
圧倒的有利な状況とはいえ、油断はありません。
名勝負を期待したいですね。

それでは1日目の模様を振り返っていきましょう。
なおこの対局は幽玄の間にて、小松英樹九段の解説付きで中継されています。
また、ニコニコ生放送でもご覧頂けます。



1図(実戦黒21)
高尾挑戦者が黒△と打った場面です。
あれっ、この碁形はどこかで・・・?





2図(本因坊戦の進行1)
図は当ブログでもご紹介した本因坊戦第2局、やはり高尾挑戦者の黒番で黒1と打ちました。
一見すると全く同じ碁のように見えますが、左辺AとBにあった黒石が、一路ずつずれて△にあります。
どちらも定石ですから、何でもない差のようですが、実はこれが伏線です。
本因坊戦では、井山本因坊が白Cと反撃して・・・





3図(本因坊戦の進行2)
白は右下の石を全部捨て、左上の上下の黒を強引に切り離して行きました。
右下の厚みが最大限に働く展開になりました。





4図(実戦変化)
では、実戦で同じ事をやるとどうなるでしょうか?
ここで左上黒に対して仕掛けたいのですが、隙がありませんね。
となると、形勢は右下で白を取っている黒が断然有利です。
これが高尾挑戦者の狙いでした。
もちろんそれは井山名人も察しているので・・・





5図(実戦白22~白28)
取られないようにおとなしく受けました。
ほんの少しの配石の違いで、展開ががらりと変わってしまいました。
碁の奥深さを感じますね。

さて、白7となった場面です。
お互い弱い石がなくなったので、次に黒Aなどと大場に向かいたくなりますが・・・





6図(実戦黒29~白36)
実戦は黒1と形良く伸び、白2の大場を譲りました。
そしてさらに黒3と、生きている白を閉じ込め、白8とまた大場に回られています。
交互に打っているのに、大場を2つも打たれてしまうとは
しかし、しっかり石を繋げて手厚く構えておけば、後でいくらでも取り返せると見ているのでしょう。
高尾挑戦者の重厚な棋風が、色濃く表れた場面でした。





7図(実戦黒43)
白△と守った手に対し、黒1も高尾挑戦者らしい一手だと思いました。





8図(変化図)
黒1の方に目が行きますが、白2、4で根拠を奪われる事を警戒しました。
黒△全体が攻められる可能性があります。
こういう石を逃げてダメを走らされる展開は、高尾挑戦者の最も嫌う所です。

ちなみに名人戦は朝日新聞デジタルで特集されています。
その情報によると、高尾挑戦者の打ち方は武宮正樹九段にはかなり不評だったようです(笑)
一流棋士の間でこれだけ意見が食い違うのですから、碁は面白いですね。





9図(実戦白44)
白が左辺に打ち込んだのは当然です。
地を荒らすのではなく、上下の黒を攻める狙いです。
戦いが始まりました。





10図(実戦白54~白56)
白1と一本打ち込み、一転白3と左下黒を攻撃しました。
井山名人らしい複雑な打ち方ですね。
白1に一体どんな意味があるのでしょうか?
それはこの後明らかになります。





11図(実戦黒57~黒59)
黒1、3と厳しく迫られ、白はいかにも窮屈そうです。
しかしここで打ち込んでおいた1子が役に立ちます。





12図(実戦白60~白66)
白7まで、白△を活用してあっさり形を作ってしまいました。
見るからにゆとりのある姿になっています。
しかも白△はまだ死にきっていません。
取られるまでに相手が何手もかけてくれれば、石の効率で有利になります。
井山名人の見事な打ち回しでした。
さて、ここで封じ手ですが・・・





13図(封じ手予想)
封じ手予想は・・・黒1の抱えしか思い付きません!
面白い予想を期待されていた方がいらっしゃったら、申し訳ありません
白△の動きを封じる本手です。
白〇はカス石ですから、これを取りに行くような事はしないでしょう。

左辺の白と上下の黒は、それぞれまだ生きていません。
しかし、命の危険があるほどでもありません。
明日は比較的穏やかな戦いになるのではないでしょうか。

明日の2日目も本日同様、幽玄の間ニコニコ生放送で中継されます。
ぜひご覧ください!

※なお明日は私も対局があります。
ブログの更新は遅めになる見込みです。
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