白石勇一の囲碁日記

ほぼ毎日更新、囲碁棋士白石勇一六段のブログです。
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Master対棋士 第32局

2017年03月15日 22時10分17秒 | Master対棋士シリーズ(完結)
皆様こんばんは。
碁ワールドでは発売中の3月号、来週発売の4月号で、大橋拓文六段がMasterの棋譜を解説しています。
読み応えがありますので、ぜひご購入ください。

さて、本日はMasterと古力九段(中国)の対局をご紹介します。
古九段は世界戦優勝7回を誇る、一時代を築いた棋士です。



1図(実戦)
古九段の黒番です。
右下白1、3とは、何という手でしょうか。
何も知らずにこの手を見たら、アマチュアの碁だと断言したでしょう。
棋聖戦第1局河野臨九段が打った手の元ネタですね。
この場合、先に打ってある黒△の揚げ足を取る意味もあったでしょうか。

さらに、Masterは左上でも意外な手を打ちます。
まず、黒6からの変化は、近年(十数年前?)打ち出されたものです。
黒12に対して当初は白Aなどと打ち、黒Bとなっていた記憶がありますが・・・。





2図(変化図)
その後、勢力志向の白1、3の打ち方が主流になりました。
井山裕太六冠が打ったあたりから、よく見かけるようになった気がします。
この型の弱点は、黒Aによる生きが残っている点です。





3図(実戦)
Masterが打った手は、白1の繋ぎ!
黒Aに対しては白Bと押さえられますし、黒Cも先手にならないという訳です。

この両方を意識した白1の発想自体は、当初からありました。
しかし、どっちつかずで中途半端な印象があります。
それに、後退して繋ぐというのはいかにも格好悪い感じで、打つ気にならないのです。
これは日本の棋士に限らず、実戦的と言われる中国や韓国の棋士でも同じでした。

しかし、Masterには気分も美的感覚も存在しません。
最も勝率の高い手を選ぶだけです。
確か他のAIもこの白1を打っていました。





4図(実戦)
後に白1、3となると、左上の黒に眼が無い事が問題になって来ました。
いずれまた黒Aと手をかける必要があります。





5図(実戦)
結局、白は上辺を先手で生き、右辺にも侵入してしまいました。
足早に立ち回った白が優勢になっています。

新手かどうかに関わらず、Masterが打った手は研究されます。
本日ご紹介した手も、プロの布石に何らかの影響を与えることでしょう。
ですが、前回も申し上げた通り、私は右下のブツカリは絶対に真似しません(笑)。
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