白石勇一の囲碁日記

ほぼ毎日更新、囲碁棋士白石勇一六段のブログです。
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利民杯(許家元ー謝科戦)

2016年12月31日 20時49分03秒 | 幽玄の間
皆様こんばんは。
いよいよ今年も終わりますね。
しかし、一力遼七段許家元四段芝野虎丸三段が、中国の若手国際棋戦に参戦しています!
残念ながら一力七段は敗れましたが、許四段と芝野三段は勝ち、2回戦に進出しました。
本日は予定を変更して、許四段が謝科二段に勝った碁をご紹介しましょう。



1図(実戦黒9~黒11)
謝二段の黒番です。
黒1とカカりましたが、白2に対して黒3と変化しました。
その理由は・・・。





2図(変化図1)
黒1以下正面から戦うと、上下に黒の弱い石ができてしまいます。
左辺は白の勢力圏なので、こういった展開は避けたい所です。





3図(変化図2)
そこで実戦は黒1と変化し、黒5までといった展開を目指しています。
左下の黒は捨てて、石数の多い右下方面で有利に戦おうというのです。





4図(実戦白12)
ところが、実戦は白1!
弱い石にツケるなという格言があるように、基本的にはこういうツケは良くない手とされています。
(白△のツケは、子ゲイマジマリという堅い構えにツケているので、悪手とは言えません。)
しかしプロの碁は、常識に従うだけではいけません。
この手は、3図のように左下の黒を捨てさせないよ、と言っているのです。





5図(実戦黒13~黒19)
ツケられれば、手を抜く訳にはいきません。
黒1から動くのは必然です。
黒7と出られた場面で・・・。





6図(変化図3)
白1と、定石風?に打つのはいけません。
黒4となって、白△が腐ってしまいます。
一方黒△は、左右の白を分断して立派に一手の価値があります。
白がすぐ負けになる図です。





7図(実戦白20)
という訳で、白20は当然の切りです。
ここに切らない事には、迫力がありません。





8図(実戦黒21~白28)
白8までとなって、黒△を分断して攻める体制を築きました。
ここまで想定して、4図白1とツケたのです。
許四段らしい、力強い構想でした。





9図(実戦白70)
その後も戦いが続いていますが、ここで白1とは、またしても驚きです!
こう打つと、結果的には白△と黒△の交換が、白の空き三角の形を作って悪手になります。
非常に打ちづらい手なのですが、気分に左右されず、最善の手を打てる所が許四段の強さです。





10図(実戦黒71~白78)
白2、6で左下の黒を脅かし、その隙に白8の切りを成立させました。
巧妙な粘りで、白が一本取りました。





11図(実戦黒99~黒101)
その後、黒△を取る事になりました。
その代わりに、黒1、3と左下の白を取りに来られましたが・・・。





12図(実戦白116)
その後、左下の白を捨てて白△に回ると黒△も動けなくなりました。
白〇を先手で打てた事が大きく、中央が白の勢力になっています。
捨て石作戦成功で、白が優勢になりました。
許四段らしい、思い切りの良さと読みの深さが、よく表れた好局だったと思います。

結局、年末まで碁盤から離れられませんでした(笑)。
新年も、早々から碁盤を貼り付けている事でしょう。

それでは皆様、良いお年を!
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