白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

9子局

2016年05月06日 23時59分59秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
本日は9子局を題材にします。
置石が多いとリードを守り切って勝とうとする方が多いですが、それではなかなか上達できません。
上手の力に怯えず、堂々と戦いましょう。
覚えておくべきことは2つだけです。
1、自分の石同士を繋げる
2、相手の石は切る
それだけ忘れなければ、後は沢山の置石が守ってくれます。



黒番です。
どういう方針で行きますか?
まだ6手目ですが既に戦いが始まっているので、大事な場面です。




黒1~5のように、隅の石を生きに行ってしまう方が非常に多いです。
しかし、本来9子局では白はどこに入っても生きるのが精一杯です。
それなのに自分から生かしてくださいと頭を下げるのでは、置石が泣いてしまいます。
実戦は黒が隅に閉じ篭っている間に左右の白石が連絡、白8となって周囲の黒石が心配になってきました。




右辺の黒2子が心配で黒1と右上に連絡しましたが、白2で今度は下辺の黒を標的にされています。




下辺の黒が危ないので1、3と逃げましたが、その間に白2、4となって今度は左下隅が標的です。




黒1~5と隅を守りましたが、白6で左辺の黒が標的になっています。
このように攻めの連鎖が延々と続き、黒は防戦一方になってしまいました。




最初に戻って、黒1が正解でした。
自分の頭を出しながら左右の白の連絡を妨げています。
安全かつ一番厳しい手ですから、こういう手を躊躇う理由はありません。



右辺の白を逃げてくれば、黒1がぴったりです。
下辺の白はもがいて生きるのが精一杯です。




白としても石数の少ない下辺を動いてくるでしょう。
こういう時に難しい手は必要ありません。
黒2のように着実な手で進出して十分です。
そして白3には黒4と良い形で封鎖します。
白は5と生きるしかありません。
ここで大事なのは、冒頭でお話ししたように黒石がしっかり繋がることです。
黒6と△の間の線を万全にしておきます。
これで黒には弱みがなくなりました。




すると白は白1、3などと逃げなければならないので、黒2、4などと黒地が勝手に増えていきます。
こういうパターンになれば黒は負けようがありません。




実際には白1などとやってくる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、9子も置いていれば黒が堂々と打っている限りは攻められる事はあり得ません。
それでも攻めようとしているのであればそれは無理手です。
相手が上手でも無理手は遠慮なく咎めましょう。




黒1から一歩一歩進出して行けば何の問題もありません。
黒11までとなって、黒は繋がっているのに相手は閉じ込められています。
白は非常に苦しい状況です。
石を取りに行くのが好きな方なら、挑戦してみても良いでしょう。
失敗したとしても黒は取られません。


如何でしょうか。
わずか2つの基本の考え方と、コスミやケイマ、1間トビといった基本の形だけで白を圧倒することができました。
沢山石を置いていれば上手は決して怖くありません。
堂々と立ち向かってください。
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