白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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中国チーム対AlphaGo

2017年05月26日 23時58分20秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
本日は珍しく、五反田の教室にお客さんが4人もいらっしゃいました。
お越し頂いた皆様、ありがとうございました。
しかし、これが普通と言えるようにならなければいけませんね。

さて、本日は柯潔九段は休養日ですが、別の対局が行われました。
①中国チーム対AlphaGo
3人寄れば文殊の知恵と言いますが・・・。
何と、中国トップ棋士5人がチームを組み、相談碁でAlphaGoと対決!
私がかねてから見てみたいと思っていた企画です。

AlphaGo対AlphaGo!?
古力九段とAlphaGo、連笑八段とAlphaGoがそれぞれペアを組んでのペア戦!
変則的な形式ながら、AlphaGo同士の勝負が見られる貴重な機会です。

どちらも興味深い内容でしたが、ペア戦の方は、まず一手一手を誰が打ったのか確認しなければいけません。
時間がかかりそうなので、感想はまたの機会にします。
本日は中国チーム対AlphaGoの対局を振り返ってみましょう。





1図(実戦白42)
はい、いつものです(笑)。
この碁は黒に大きな模様ができにくい碁なので、三々に入って手っ取り早く荒らしてしまうという打ち方は分からないでもありません。
とはいえ、ほとんどの棋士は上辺を意識して、AのカカリかBの締まりを選ぶでしょうね。





2図(実戦黒57~白60)
黒1で上辺白の攻めを狙いました。
それに対して、白2と捨てるかと見せかけて白4!
本局で一番驚いた打ち方でした。
支離滅裂のようですが、白Aの切り狙いを作ることによって、上辺白の凌ぎを楽にしていると考えられます。
何となく本因坊道策風の打ち回しと感じました。





3図(変化図1)
この後黒1なら、白2、4の予定でしょう。
白AとBの切りが見合いで、どちらかを切れれば白が十分戦えそうです。





4図(変化図2-1)
2図白2で、単に白1は誰もが思い付く手段です。
これには黒2、4と応じられ、白が一方的に攻められそうです。





5図(変化図2-2)
この後白1の割り込みには、黒3ではなく2と押さえられて手が出ません。
白3、5と無理矢理切ったとしても白の形が悪く、上辺白がますます危険になるだけです。





6図(実戦黒61~白64)
2図の後はこのように進行しました。
黒1、3のポン抜きができましたが、この碁は上辺以外に白の弱い石が無く、働かせどころが難しいのです。
上辺で形を作った白が成功したと考えられます。

最後はいつものように細かくなりましたが、やはり勝ちはないとみて中国チームが投了しました。
打倒AlphaGoの目標は、柯潔九段に託されました。
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