白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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封じ手予想?

2016年06月29日 22時23分41秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は本因坊戦第5局の1日目の対局が行われました。
早速振り返って行きましょう。



ここまで、向きは違いますが碁聖戦第1局と同一の進行です。
碁聖戦では黒A、白B、黒Cでしたが・・・





実戦は井山本因坊が黒1と変化しました。
碁聖戦での構えが失敗だったわけでは無く、違った碁を見せてくれようとしているのでしょう。
こういう所での自由度は碁の魅力の一つですね。
対する高尾挑戦者も村川八段と違ってすぐに左上を挟んで行きました。
これも個性の違いを表現したとも取れます。
一見平凡な布石ながら、そういう見方をすると奥深さを感じますね。





そして右上隅で「例のツケ」が出ました!
第2局では井山本因坊が打ちましたが、今度は高尾挑戦者が逆用しました。





その後定型通りに進み、白が上辺を開いた所です。
ここで黒1と早い仕掛け!
第2局で高尾挑戦者が似たような手を打っていましたね。
少し位置が違うものの、発想は似ています。
今度は井山本因坊が高尾挑戦者の手を逆用するような形になりました。
面白いやり取りです。





黒の狙いはこのような図です。
5目ぐらいの白地に対して中央が真っ黒になり、ここで勝負が終わってしまいます。





実戦は白が反発し、右辺を黒に譲る代わりに上辺の黒に寄り付いて行く展開になりました。





黒としても右辺の白を攻めたい所です。
しかしいきなり攻めるのではなく、黒1を打っておいたのがうまい手順です。





右上の黒は△の所に1眼が確定しているだけで、隅は白Aと打たれると眼がありません。
自分の石に不安が残っていては、思い切って白を攻める事はできません。





実戦進行です。
上辺に1回おまじないを打っておいた効果で、黒8までの形を得る事が出来ました。
黒AとBが見合いなので右上黒は完全に生きています。
そこで安心して黒10、12と白を攻める展開になりました。
同時に右下一帯の黒模様が大きくなっています。





白としては右下黒模様がそのまま地になっては大き過ぎます。
そこで白△と突入、黒も1、3と反撃して戦いになりました。
白〇から白△に滑る形は時々出来ますが、それに対して黒1、3も常用の反撃手段です。
覚えておくと役に立つ事もあるでしょう。





白1、3と1子取られましたが、黒2、4と白地を破って行きました。
振り替わりです。
さて、ここで次の白80が封じ手になりましたが・・・





白1と逃げる手以外があるのでしょうか・・・
この石を取られると黒の3つの石が繋がってしまうので、所謂「種石」です。
下辺白の生き具合にも関係して来るので、捨ててはいけない石でしょう。
しかしここで終わっては面白みが無いので・・・





白が逃げればここまで必然です。
そこで、次の84手目を予想してみる事にします。
形としては白A~Cが考えられますが・・・





高尾挑戦者らしく、堂々の白1伸びと予想します。
中央の要衝を占めて左上の黒弱石や白Aの薄みを狙って価値のある一着ではないでしょうか。


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今回は正解者が多そうですね。
運試しに、ぜひご応募ください!

本日に引き続き、2日目の対局の模様も幽玄の間鈴木伸二六段の解説付きで中継されます。
お楽しみに!
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