白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一六段のブログです。毎日更新しています。
著書「やさしく語る 碁の本質」発売中!

コミについて・その3

2017年05月16日 23時59分59秒 | 囲碁について(文章中心)
皆様こんばんは。
本日はコミについて、私なりの結論を述べたいと思います。

コミ5目半時代の末期、日韓(日本ルール系統*¹)、中台(中国ルール系統*²)は、コミ5目半の対局が黒有利であると、一致した認識を持っていました。 
その結果、日韓はコミ6目半、中台はコミ7目半へと変更することになりました。
何故中台がいきなり2目増やしたかと言えば、これは中国ルールの特性によります。
中国ルールでは、コミ5目半を6目半に増やしても、特殊なケースを除けば同じ結果になってしまうのです。
増やすのであれば7目半にしなければ意味が無く、もし7目半のコミをさらに増やすのであれば、9目半にしなければ意味がありません。

現在の中国ルールはコミ7目半なので、多くの中台の棋士がそれをベストだと考えているように思えるかもしれませんが、それは恐らく誤りです。
コミ5目半よりは、7目半の方が勝率の偏りが少ないと考えているのでしょう。
現在中国最強であり、世界最強とも目されている柯潔九段は、コミ7目半は白有利と断言しています。
実際の勝率がどうなのかは、私は把握していませんが・・・。

こちらのデータによると、日本ではコミ6目半の対局は、勝率51%程度のようです。
コミ4目半や5目半でのデータとの比較、また私の体感からして、コミを7目半にした場合は白の勝率の方が良くなることが想像できます。

どちらにしても、勝率が五分になることは無さそうです。
ではコミ6目半と7目半、どちらを採るべきかと言えば、それは6目半だと思います。
というのは、囲碁で後から打つ方が有利になるのは不自然に感じるからです。
下位者が黒を持つゲームである以上、互先であっても黒が有利であった方が自然に感じます。

また、真に公平な勝負を求めるのであれば、コミ7目、持碁引き分けにするのが恐らく適正です。
これなら、勝率の偏りは1%未満になるのではないでしょうか。
もっとも、一発勝負で決着をつけるという、プロ棋戦でのコミ導入の意義に反していますが・・・。

という訳で、日本ルールでのコミ6目半は、少なくとも現状のプロのレベルでは妥当と考えています。
中国ルールでのコミ7目半についても、勝負の公平性を考えれば妥当でしょう。
僅かでも白有利だとすると、個人的にはちょっとモヤモヤする面がありますが・・・。

ちなみに、プロでコミ7目程度なら五分だからといって、同じコミならアマでも五分になるとは限らないと思います。
白番でコミを意識してじっくり打つというのは、平均的アマが苦手とするところです。
結局殴り合いで勝負が付くことが多く、その場合は先に打つ黒番が有利です。
そう考えると、コミ7目半でもだいぶ黒が有利ではないかと想像しています。
これも全くデータの無い話ですが、実際のところはどうなのでしょうね?

<追記>記述に不正確なところがあったので注釈を付けました。

*1 韓国棋院は独自のルールを持っていますが、日本棋院のルールとほとんど同じはずです。
  ルールの違いによって勝敗が入れ替わることは極めて少ないと考えられます。

*2 台湾棋院は計点制という、中国ルールに手を加えたルールを採用している・・・と思います(自信なし)。
  やはり両者の間で、結果が異なることは少ないと考えられます。
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« おかげ杯感想 | トップ | まさかの一手 »

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL