白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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AlphaGo Lee対Zero 第1局

2017年10月25日 23時57分03秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
最近また当ブログの閲覧者数が増えてきた気がします。
井山七冠誕生の影響もあるのでしょうが、一番の原因は「AlphaGo Zero」でしょう。
棋譜紹介を書けとプレッシャーをかけられているような気がします・・・。

という訳で、Zeroの棋譜も紹介して行くとしましょう。
しかし、これがまた80局もある訳ですが、どうしたものでしょうか・・・。
とりあえず、今回は李世ドル九段と五番勝負で対戦したバージョン(Leeと呼ぶことにします)との対局です。



1図(実戦)
Leeの黒番です。
黒1のカカリに対して、Zeroはいきなり白2のコスミツケを打ちました。
コスミツケは攻めに使うべき手であり、何もない時に打つのは黒を固める悪手です。
こういう手を広めようとするのはやめて欲しいですね(笑)。

もっとも、人間界でもこのような打ち方が流行った時期がありました。
一定以上のレベルであれば有効に使える手なのかもしれません。





2図(参考図)
黒△と迫った場面です。
白としては相手をする手もあるでしょうが、黒×が弱い石なので、左辺に打つ手も魅力的です。

ということで白1は素直な発想ですが、黒2と詰めてくるでしょう。
白3とでも打てば黒×は動けませんが、小さく捨てられて他に回られては白さっぱりです。





3図(参考図)
ならばと白1とカカり、大きく攻めることも考えられますが、黒2が開きと挟みを兼ねた一石二鳥の好手になります。
黒6の後、果たして白は左辺黒を上手く攻められるでしょうか?
左上白も弱いので、ちょっと大変な感じがします。

ということで、意外と左辺の打ち方が難しい状況なのです。
果たしてZeroはどう打ったでしょうか?





4図(実戦)
ここでも出ました、三々入り!
AlphaGoZeroもいきなりの三々入りが大好きです。
もっとも、人間の棋譜を学んだMasterでさえ打つのですから、人間の影響を受けないZeroが打つのは当然かもしれません。

私は三々入りの碁を沢山見ても、真似したいとは思いません。
しかし、この三々入りに関しては、なるほどと感じました。





5図(実戦)
黒9まで交換して、それから白10と挟みました。
この時、弱点だった黒Aの詰めは壁を小さく囲うような手になり、黒にとって全く魅力的ではなくなっているのです。

相手に壁を作らせることで、戦いやすくする・・・。
矛盾した考え方のようですが、これが絶妙に成立しています。
こんな打ち方もあるのですね。
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