子供の囲碁のトレーニングに詰碁は欠かせない。
囲碁道場をやりはじめて、日々膨大な量の詰碁に接するようになった。何しろ毎日20とか30出すと考えれば、かなりのストックが必要だ。
いまや最大の囲碁大国となった中国が、日本の新鋭を応援してくれている。ここ数年、多くの日本の院生、若手棋士が中国へ招かれ研鑽の機会を与えてもらっている。
その一環で、もう2,3年前になるが院生の勉強用に詰碁を贈られると聞いて、私は期待した。
日本の子供達、もっと読みを鍛えた方が良いよ、詰碁のプリントあげるよ!って事ですね。
丁度詰碁集めを始めた頃だった私は、まだ持ってない詰碁を大量にゲット出来るのではと涎を出した。
中国ではもの凄い数の子供達がいて毎日沢山詰碁を解いている、きっと日本で出回ってない、僕らの知らないすごい詰碁が中国にはあるのではないか。
ちなみに韓国の碁の本は日本の棋士でも手にしている事が多いのです。三星杯、LG杯などで訪韓した際に書籍を求め、良さそうな物は皆買って帰る。
私の道場にも、韓国の詰碁本は出来る限り揃えておくようにしている。
そして院生の息子が持って帰った物は、詰碁が500問載っている、分厚いプリント。よく見ると表紙には漢字で「天龍図」と書いてあった。
「へ??」って感じでしたよ。有名な韓国の権道場の詰碁本をプリントした物だったんです。
そんなのうちにだってあるよ、って取りあえず落胆したんです。売ってる本のコピーじゃん。
問題はそれだけじゃない。院生の師範棋士もそれを見て「これ中々良いよね〜」とか言ってるのです。
私だけかも知れないが、どうしてもそれが納得いかない。
「天龍図」は韓国ではとても有名な詰碁の本で、日本でも若い棋士なら必ず知ってる本です。
難易度が高い問題が500問、解説は正解図1図のみで、分厚い本にとにかく大量に詰め込まれている。プロやプロ志望の子供にとって、とても良いものなのです。
この詰碁集が韓国ではもちろん、中国でもまず取り組むべきバイブルになっているそうです。
著者は韓国で有名な権道場の先生、李世ドル、崔哲瀚、朴廷桓、多くの世界チャンピオンを育てた権甲龍さんの顔が表紙になっていて格好いいんですが
実はこの本、日本の作品ばかりなんです。「昭和の詰碁」という棋道の懸賞問題をまとめた本があるのですが、大半はそこからそのまま載っています。他にも著名な日本の詰碁作家の作品が出ている。
詰碁の著作権について私は詳しく分からない。でも表紙が自分の顔写真で中身が全部他作なのは凄いなと思う。でも更に、
それをコピーして中国では使い回している。それはまだ、囲碁道場の事情を思えば私も良く分かる。とにかく沢山詰碁が必要だし、万単位で集めてると、どれが誰の作品か、構ってられなくなる。
しかし、そのコピーを中国棋院からプレゼントされて「これ良いよね、ありがたいね。」って言ってる日本の指導陣の声を聞いた私は
「何なんだよそれ!」と叫んだのです。心の中でね。
権道場の合宿に行った日本棋士の話では、詰碁テストの際には、採点終了後に問題用紙を回収し、決して持ち帰らせないそうです。詰碁の流出に気をつけての事で、しっかりさんです。
対する日本の人の良さというかおめでたさ、というか無知。がどうも私は不満だったのですが、仲間に言って見ても賛同は少なかったです