財務、管理に不安 慎重な投資必要
少額の元手(証拠金)で多額の為替取引が出来る外国為替証拠金取引(FX取引)の取扱業者が8月の円高の余波で10、11月に相次いで破たんし、金融庁が全約120業者の実態調査を開始した。ハイリスク・ハイリターンが売り文句のFX取引は人気が高く、取引口座数は増える一方だが、経営管理体制や財務基盤の不十分さがうわさされる業者も少なくない。個人投資家は取引自体に危険があることを知るだけでなく、慎重な業者選びも求められそうだ。
二重のもうけ FX取引は、取扱業者に預けた証拠金の1〜数百倍の額の外貨を売買する個人向け金融商品だ。円安が進む局面で、金利が円よりも高い米ドルなどの外貨に投資をすると、為替差益に加えて金利も受け取れることから、二重にもうけを期待できる商品として人気が高まった。
米低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」問題をきっかけに進んだ8月の円高で「円安に賭けていた個人投資家の損失は、3000億円を超えたとみられる」(JPモルガン・チェース銀行)にもかかわらず、「取引口座数の伸びのペースは全く落ちていない」(業界最大手の「外為どっとコム」)という。
個人投資家が株価低迷でFX取引に移るようになり、野村証券傘下のジョインベスト証券や、ネット専業証券大手の松井証券、SBIイー・トレード証券などが次々参入したことに加え、現在の円高を「値ごろになったドルを買うチャンス」と見た新規参入組が少なくないためだ。
顧客資金を流用 しかし、10月に「エフエックス札幌」(札幌市)、11月に「アルファエフエックス」(東京都港区)が相次いで破たんし、顧客から預かっていた23億円(札幌)、21億円(アルファ)の証拠金の大部分が戻らない見通しとなり、「業者リスク」が浮き彫りになった。
金融庁などの調査によると、両社に共通するのは得意客に便宜を図った結果、多額の損失をかぶることになり、ついには分別管理していたほかの顧客の証拠金を流用してしまったずさんな経営管理体制だ。
札幌のケースは8月の円高の際、円売り・ドル買い注文を出していた得意客の損失が拡大しないよう無断で取引を打ち切ったところ、相場が円安に反転し、円売りを続けていれば得られるはずだった金額を客に賠償したのが破たんの原因だ。
アルファ社の場合も、円売り・ドル買いで損害が膨らんで追加の資金が必要になった得意客からの入金を待っている間に、アルファ社側の資金が足りなくなり、海外の金融機関に取引を打ち切られてしまったという。その後相場が円安に転じたため、円売りで得られたはずの金額を投資家に賠償することになった。
システム障害も また、多くのFX業者は顧客から受けた小口注文を束ね、手数料の安い大口注文として海外金融機関に発注するが、注文がたまるまでに時間がかかり、その間に急激な為替変動が起こると、巨額の為替差損をかぶる危険がある。「8月も11月も相場の乱高下で、少なからざる業者が結構な損害をかぶったようだ。今後も業者の破たんが起きる可能性がある」(業界関係者)との見方もある。
システム投資が不十分な業者もあり、「相場の急変時に大量の注文が集中し、システム障害で注文出来ずに損害が拡大した顧客もいる」(大手FX業者)ともうわさされる。
金融庁は今後、調査内容をまとめて個人投資家に業者リスクを警告する見通しだ。投資家に慎重に業者を選ぶよう呼び掛けている。
証拠金
FX取引を行う際、前もって業者に預ける元手のお金。証拠金を担保に業者から通貨を借りることで、元手より多額の売買が出来る。一定以上の損失が生じると、業者から証拠金の追加を求められたり、取引を打ち切られたりすることがある。
(2007年11月26日 読売新聞)
少額の元手(証拠金)で多額の為替取引が出来る外国為替証拠金取引(FX取引)の取扱業者が8月の円高の余波で10、11月に相次いで破たんし、金融庁が全約120業者の実態調査を開始した。ハイリスク・ハイリターンが売り文句のFX取引は人気が高く、取引口座数は増える一方だが、経営管理体制や財務基盤の不十分さがうわさされる業者も少なくない。個人投資家は取引自体に危険があることを知るだけでなく、慎重な業者選びも求められそうだ。 二重のもうけ FX取引は、取扱業者に預けた証拠金の1〜数百倍の額の外貨を売買する個人向け金融商品だ。円安が進む局面で、金利が円よりも高い米ドルなどの外貨に投資をすると、為替差益に加えて金利も受け取れることから、二重にもうけを期待できる商品として人気が高まった。
米低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」問題をきっかけに進んだ8月の円高で「円安に賭けていた個人投資家の損失は、3000億円を超えたとみられる」(JPモルガン・チェース銀行)にもかかわらず、「取引口座数の伸びのペースは全く落ちていない」(業界最大手の「外為どっとコム」)という。
個人投資家が株価低迷でFX取引に移るようになり、野村証券傘下のジョインベスト証券や、ネット専業証券大手の松井証券、SBIイー・トレード証券などが次々参入したことに加え、現在の円高を「値ごろになったドルを買うチャンス」と見た新規参入組が少なくないためだ。
顧客資金を流用 しかし、10月に「エフエックス札幌」(札幌市)、11月に「アルファエフエックス」(東京都港区)が相次いで破たんし、顧客から預かっていた23億円(札幌)、21億円(アルファ)の証拠金の大部分が戻らない見通しとなり、「業者リスク」が浮き彫りになった。
金融庁などの調査によると、両社に共通するのは得意客に便宜を図った結果、多額の損失をかぶることになり、ついには分別管理していたほかの顧客の証拠金を流用してしまったずさんな経営管理体制だ。
札幌のケースは8月の円高の際、円売り・ドル買い注文を出していた得意客の損失が拡大しないよう無断で取引を打ち切ったところ、相場が円安に反転し、円売りを続けていれば得られるはずだった金額を客に賠償したのが破たんの原因だ。
アルファ社の場合も、円売り・ドル買いで損害が膨らんで追加の資金が必要になった得意客からの入金を待っている間に、アルファ社側の資金が足りなくなり、海外の金融機関に取引を打ち切られてしまったという。その後相場が円安に転じたため、円売りで得られたはずの金額を投資家に賠償することになった。
システム障害も また、多くのFX業者は顧客から受けた小口注文を束ね、手数料の安い大口注文として海外金融機関に発注するが、注文がたまるまでに時間がかかり、その間に急激な為替変動が起こると、巨額の為替差損をかぶる危険がある。「8月も11月も相場の乱高下で、少なからざる業者が結構な損害をかぶったようだ。今後も業者の破たんが起きる可能性がある」(業界関係者)との見方もある。
システム投資が不十分な業者もあり、「相場の急変時に大量の注文が集中し、システム障害で注文出来ずに損害が拡大した顧客もいる」(大手FX業者)ともうわさされる。
金融庁は今後、調査内容をまとめて個人投資家に業者リスクを警告する見通しだ。投資家に慎重に業者を選ぶよう呼び掛けている。
証拠金
FX取引を行う際、前もって業者に預ける元手のお金。証拠金を担保に業者から通貨を借りることで、元手より多額の売買が出来る。一定以上の損失が生じると、業者から証拠金の追加を求められたり、取引を打ち切られたりすることがある。
(2007年11月26日 読売新聞)











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