幸福宮殿メルヘン切符

一枚の物語切符から幸せ行きの力が生まれる大人のセラピー短編童話
  ~希望号発車~

第269話 「アリが10」伝え隊

2017-05-28 | 2017~新作
       「童話が好き、だから書く」

          を力にして

       「自分の物語」を紡いでいく

   

           269話 


「アリが10」伝え隊

*この童話は過去作品「アリさんマーチ」の続編として
 創作しました。近日、二作品を、合体して公開します。



ここはアリの音楽堂の音楽会です。
アリの音楽隊は、今では音楽会を催すまでになっていたのです。
アリの音楽隊の隊長がリズミカルに指揮をしています。
演奏アリの10人は、それぞれにチェロ、バイオリン、フルート
などを・・・。

その時、
「あ~~、なんだ!」
「隊長、隊長が大変だ!。隊長がさらわれた」
アリの音楽堂はてんやわんやの大騒ぎです。
隊長が飛んできたカマキリにさらわれてしまったのです。
どうすることもできない演奏アリ達は、遠くの空をただ見つめている
だけでした。

さて、こちらはカマキリにさらわれたアリの隊長です。
何とかしなければと、アリの隊長はもがきますがどうにもまりません。
幸い手に指揮棒が、それでカマキリの口を思いきりつつきました。
さすがのカマキリも、「あたた、いたい!」と、くわえていた
アリ隊長を口から離しました。

くるくるくる・・・と、アリ隊長は旋回しながら、「どぼ~ん、ぴしゃ」
と、池の中に。
一難去ってまた、一難、アリ隊長はもがきますが、うまくいきません。
偶然、池の脇の木の枝から、それを見ていたクモがいました。
お腹のいっぱいのクモは、腹が膨れていれば正義の味方、
「おお、これはいかん」、するするすると、アリ隊長まで降りると、
くるっと巻いて引き上げました。
「いや~よかった。助かったよ」
「まあ、わしもおぼれているのをほっておくわけにはいかん性分でな」
一瞬、考え込んだアリ隊長でしたが、ごくんとうなずきました。

「さてと、今夜はどうするんだえ」
アリ隊長は考え込んでいましたが、それを近くで聞いていたミノムシ
が近寄ってきました。
「アリさん、よかったら僕の家に泊りなよ。部屋を作るからさ」
言葉が終わるや否や、返事も待たずにミノムシはくるくるくると、
小さな寝床を完成させたのです。
「アリさん、できたよ。寝よ」
疲れていたアリ隊長は入るともう寝息をたてました。

翌日のこと、ミノムシの寝床から首をだすと、
「おはよう。よく寝れたか。これからどうすの?」
「わしの仲間が心配してるだろうから帰りたいんだが、・・・」
すると上の方から、
「僕が連れて行ってあげるよ」
アリ隊長がゆっくり木を登っていくと、そこには、カナブンが。

決まれば何でも早いもの、カナブンはアリ隊長を乗せると、
ブィ~~ンと一気に空に向かって飛んできました。
「ありがとう、クモさん、ミノムシさ~~ん」
「方向は」「あっち」「
アリのナビゲーターで、あっという間にアリの村につきました。
アリの音楽隊は大喜び、隊長が元気で帰ってきたことに、みんなで
喜び合いました。
「ありがとう、カナブンさん。みんなによろしくね」
去っていくカナブンが見えなくなるまでアリの音楽隊は、
見送っていました。

さて、そんなことがあってから、数日のこと、
仲間の羽アリ空てい部隊に乗っかってあのクモさんのところに向かう
10の生き物がありました。
それは、アリ隊長の音楽隊でした。
音楽隊で助けてもらったクモさんやミノムシさん、カナブンさんに
お礼のためでした。

「あれ、アリさん、どうしたの?]
「クモさん、この間はありがとうね。今日はそのお礼に来たんだ」
「わざわざ、うれしいね。」
「ミノムシさんやカナブンさんもいるの]
この声が終わらないうちに、ミノムシもカナブンも下りてきました。
「今日はね、みなさんにこの間のお礼をと思ってね。紹介します。
 『アリが10 伝え隊 で~す』」
紹介と同時に、アリの音楽隊が一斉に楽器を鳴らしました。
「では、始めます。僕たちアリの気持ちを込めて、ありがとうの
 曲を聴いてください」

木の枝に整列したアリの音楽隊が一心に隊長の指揮棒を見ています。
隊長の指揮棒がさっと高く上がると、アリ楽団員の手が一斉に動きました。
クモさんも、ミノムシさんもカナブンも、いつのまにか集まった
仲間たちも、じっと聴き入っていました。

「♪~♪~♪~♪~♪~♪~」

「♪~♪~♪~♪~♪~♪~」

ありがとうって 伝えたくて
  ここに来ました
あなたの そしてあなたも
  わたしの命を
  つないでくれて
  「ありがとう」
  ほら この声を 
   愛を込めて

静かな森に、「ありがとう」の言葉が、染み入るように
流れていきました。

                         おわり。
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