幸福宮殿メルヘン切符

一枚の物語の切符から、幸せ行きの力が生まれる、大人の為のセラピー短編童話のブログ。
  〜希望号発車〜

いたずらなキツネ君

2016-05-22 | 創作童話300話への挑戦!!
    (夢をもち、目標に向かって、自分の物語を紡いでいく)
         
          第261話 達成


「いたずらなキツネ君」


森の木の葉も残り少なくなってきた雑木林で、何か黒いものが
動いています。
それは狸君が忙しそうに枯れ木を集めている姿でした。

狸君はこの冬に備えて、暖房用の枯れ木を拾いに来ていたのです。
「フウ〜、もう少しだぞ。がんばんなくちゃ〜」
狸君は額の汗を拭うと、一息ついて、また枯れ木拾いを始めました。

その様子を、近くの樫の木に隠れてじっと見ている者がありました。
それは、いたずら好きのキツネ君でした。
「もういいだろう。待ちくたびれたよ」

キツネ君は狸君が枯れ木を背負って帰っていくとき、後ろから悪ふざけを
しようとたくらんでいたのです。
「もう日が暮れちゃうよ。しょうがないや・・・」
待ちくたびれたキツネ君は、狸君に近よると、
「大変だね、僕が手伝うよ」
狸君も最初はぽかんとしてましたが、日暮れが近い事をしると、
一緒に拾い始めました。

「キツネ君、もういいや。終わりにするよ」
にんまりしたキツネ君は、
(やっと終わったか、しめしめ・・・)
枯れ木を申し訳なさそうに、二本ばかり持ったキツネ君は、
枯れ木の束を重そうに背負った狸君の後をついていきます。
「さて、そろそろこの辺で・・・」

しかし、そのたびに狸君が後ろを見て、話しかけるので、
なかなかそのチャンスがありません。
狸君は手伝ってくれたキツネ君に、気持ちを傾けていました
そうこうしているうちに、狸君の家に着いてしまいました。
「なんてこった!」
キツネ君は舌打ちしました。


「キツネ君、手伝ってくれてありがとう。寄って来な」
狸君の言葉にいたずら心を消されたキツネ君は、
急にのどが渇いてきました。
枯れ木拾いを手伝い、坂道を登ってきたのでのどもからからでした。
「のどが・・・水欲しいな」
「僕もだ。のものも。ちょっとまっててね」
タヌキ君はとっておきの水をキツネ君にあげました。
「うまいね、この水すごいや」
「そうさ、この水はモグラ君の掘ってくれた井戸からくみ上げたんだよ」
早速、狸君はモグラ君の話を・・・キツネ君は今までに聞いた事のない
珍しい話に、グングン気持ちが動かされていきました。

「今度は、キツネ君の話だよ」
「う〜〜ん、そうだね、これは面白いよ」
「キツネ君、美味しいもの食べようよ」
言うと、棚から持ってきた栗を囲炉裏にいれました。
しばらくすると、『パンパン』と、栗が飛び出してきました。
「わ〜、びっくりしたなあ」
「食べようよ。美味しいんだから」
狸君とキツネ君はこんがり焼けた栗を、お互い顔を見合わせながら。

「おいしいね」
「うん、とっても。もう一個たべよっと」
こうして、狸君とキツネ君は夜遅くまで楽しい話で盛りあがりました。

「もうおなか一杯だ。キツネ君さあ、泊まって行くよね」
迷っていたキツネ君でしたが、気持ちのいい狸君ともっと
もっと話したいと思いました。
「うん、いいよ。もっと話そうよ」
「キツネ君はこっちだよ。僕はここに寝るからね。さてと、
 何の話だっけ」
「ちょっとまってね・・・。これはもういらないや」
キツネ君はポシェットから何かを取り出すと、窓から遠くに投げました。
それは、いたずらをするためのマッチでした。

狸君と楽しく時間を過ごすうちに、キツネ君はすっかりいたずらな
心をなくしてしまったのでした。
その夜遅くまで、狸君の家からは、大きな笑い声が聞こえていました。
「ははっは・・・、そんなことって]
「ほんとだよ。こん〜なでかいんだから」



                           おわり。

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