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ルポ 希望の人びと

2017-03-15 14:44:52 | 

  「歳を取ったら、足腰と脳みそだけはしっかりとしとかなあかん」という認識は皆さんお持ちだろうと思います。特に、統計データから、80代の4割は認知症であることから、「平均寿命まで生きるということは『認知症に向かって生きている』認知症への旅」であることは間違いありません。そうであるならば、認知症に対する常識を明確なものにして、老年期の予習をしなければなりません。

  認知症の人はケアされる対象だと思っていましたが、認知症の人たちが発信し、互いに連携し、当事者団体が発足している事実に驚かされました。そして、彼らの言葉は生きるということを再確認させてくれます。

「今日が生かされている最後の日だと思い、感謝して過ごすこと。」

「私たちはみな、一度限りのいまを生きているのだから。」

「病気は変えられない。でも自分は変えられる。人生に起きることは10%、どう対応するかが90%、その対応が人生を決める。」

  まさに、人間学の根本原理を説かれています。

  そして、認知症に対する、社会、また認知症本人が持つ偏見を変えること~それぞれ自分自身の人生を歩むこと~こそが、当事者たちの生きる使命になり、それが彼らの認知症の進行を押し留めています。生きる意味を持つことは万人の必然なのでしょう。

  認知症の人々を地域住民も一員として、いかに地域が温かく見守りケアするかが今後の課題になることは間違いありません。その意味では地域の人たちがローカリズムの真髄を知り、行動を起こさなければなりません。「育てるべきは地域のまなざし」であり、そのまなざしは認知症だけでなく、すべての人たちに向けられ、誰もが幸せに暮らせるまちづくり、人づくりを目指さなければなりません。

『ルポ 希望の人びと ここまできた認知症の当事者発信』(生井久美子著、朝日新聞出版、本体価格1,500円)

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