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「つながり格差」が学力格差を生む

2014-08-16 17:03:27 | 

 教育社会学を研究されている、大阪大学人間科学部教授の志水宏吉先生のお話しを、数年前に板宿小学校でお聴きしました。学力格差をいかに少なくするかを、本書の内容も含めて学びました。その時には提起されていなかった、「つながり格差」について読んでみて、目からウロコがこぼれる思いをしました。

 「全国学力・学習状況調査」(いわゆる学力テスト)が2007年(平成19年)から行われています。かつて、1960~64年にも、中学生の悉皆調査がされており、その調査の比較をすると、とても興味深い考察がなされました。

 1964年の学力テストの結果は、都市部を有する自治体の成績が良く、いなかのそれは低迷している結果が出て、都鄙格差と考えられています。富(親の経済的豊かさ)+願望(親の高い学歴や子に対する思い)=選択という図式のペアレントクラシーが明確に現れていました。

 2007年の結果は、秋田県、福井県、富山県などの日本海側の県の成績が高く、逆に大阪府の低迷が特徴的でした。このような結果になった要因を次のように志水先生は考えられています。

 離婚率の低さ――家庭・家族と子どもとのつながり
 持ち家率の高さ――地域・近隣社会との子どもとのつながり
 不登校率の低さ――学校・教師と子どもとのつながり

による、家庭、地域、学校での、子どもたちと周囲との「つながり」格差が学力に強く影響するとしています。かつて地域間で見られた生活環境や情報環境の違いは全国的に均質化・画一化し、地域差は消滅しましたが、都市化に伴い、伝統的な地縁・血縁関係の弱体化、バブル崩壊後の社縁(会社を通じたつながり)や家族縁(家庭内のつながり)が希薄になり、都市部でより深刻なため、離婚率、持ち家率、不登校率が子どもの学力に影を落としています。

 都市部でも学力が素晴らしい子どもはいますが、その一方で、いわゆる、「しんどい」層が歴然と存在し、平均を出すと好成績につながっていない。地域内でも学力格差の克服こそが必須の要件であり、「学力格差の拡大は、社会的排除の昂進へと抜きがたく結びつく」とするように、人間の成長における壁になってしまいます。

 このつながりを生むのは地域の力です。そういう意味では、井戸書店での論語塾も大きく寄与していると自負しておきましょう!

『「つながり格差」が学力格差を生む』(志水宏吉著、亜紀書房、本体価格1,600円) 

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