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夜と霧

2016-12-20 16:13:27 | 

  ナチスドイツによるユダヤ人の過酷な強制収容所での収容者のうち、どのような人が生き残るのかを、精神医学者であるヴィクトール・フランクルが考察したロングセラーです。平和な時代に暮らす我々が読んで、将来いかなる事態に遭遇しても生き残れるシュミレーションを読了後にできる、そういう意味ではフランクルに感謝しなければなりません。

  極限状態で必要なことは「精神の自由」「豊かな内面」を持つこと。「自分の未来をもはや信じることができなかったものは、収容所内で破綻した。」と述べるように、外的な苦痛も自由な精神があれば、生き延びる大きな架け橋になり、人生には意味があると認識し、その意味に従って、未来へ向けて目的を設定し、その目的に向かえとフランクルは訴えています。

  そして、精神を自由にするには、最愛の人や友と心の中で語り合い、美しい自然や芸術に触れ、ユーモアや笑いに戯れることを勧めています。特に、妻に思いを馳せていた彼が残した言葉が素晴らしい。

  「愛は人が人として到達できる究極にして最高のものだ。」

  「人は、この世にもはやなにも残されていなくても、心の奥底で愛する人の面影に思いをこらせば、ほんのいっときにせよ至福の境地になれる。」

  過酷な状況に置かれることはあってはならないでしょうが、平時からフランクルの教えに学ぶことが第一義になります。暗い過去であっても、歴史から得る真理は、先人に感謝しつつ守らなければなりません。

『夜と霧』(ヴィクトール・フランクル著、池田香代子訳、みすず書房、本体価格1,500円)

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