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Netflix上陸でどうなる? テレビと融合で変革するネット動画配信サービス:80点

2015年07月12日 | ■サービス


このように、日本でもなるでしょう。時代の流れは止められない。旧態依然としたマーケティング戦略ではこれからうまくいかないかと。
もっとTVはどうなってしまったのだろう、、。VOD。


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■米国動画配信サービス大手の「Netflix(ネットフリックス)」が今秋に日本市場に参入することが発表され、動画配信サービス市場の今後に注目を集めていますが、このNetflixを迎え撃つ日本の動画配信サービス市場では最近どのような動きがあるのでしょうか。

そのキーワードは、テレビ局の積極的なネット動画配信への参入です。動画配信サービス大手「Hulu(フールー)」などへの取材を元に、最近の動向についてレポートします。市場は順調に成長、2020年には2000億円市場に  野村総合研究所がまとめたところによると、2014年度の日本国内における動画配信サービス市場の規模は約1343億円。今後も堅調に成長が続き、2020年には2006億円にまで拡大すると予測しています。一方、米国の調査会社Markets And Marketsによると、世界の市場規模は2014年で253億ドル(約3兆300億円)。2019年には614億ドル(約7兆3700億円)にまで成長すると見込んでいます。

比較すると日本市場と世界市場の成長速度には大きな差が見られますが、この差が日本市場にとって予測を超える成長の可能性を秘めた大きな“伸びしろ”であると言えるでしょう。  日本国内における動画配信サービスが大きな転換点を迎えたのは、2011年。スマートフォンやタブレット、デジタルテレビの普及拡大を背景に、米国でシェアを急速に伸ばしていた「Hulu」が日本国内でサービスを開始し、動画配信サービスに対する関心が高まりました。

当時はレンタルビデオを利用したりCS放送などを契約したりしなければ楽しめなかった人気映画や海外ドラマを、“マルチデバイスに対応し、定額でいつでも好きなだけ楽しめる”というコンセプトが人気となり、インターネット業界だけでなく、NTTドコモの「dビデオ(現在のdTV)」、KDDI(au)の「ビデオパス」といった通信キャリアの参入や、「NHKオンデマンド」や民放各局の公式動画配信サービスといった放送業界の参入、ソフトバンクとエイベックスが共同設立した「UULA」の登場といった市場のプレイヤー増加と利用者数拡大の起点となりました。

テレビとの融合が、動画配信サービスの新たな転換点に、この放送業界の参入は、国内の動画配信サービスに大きな転換点をもたらしています。その動きのひとつが、テレビ番組のネット配信拡大です。  これまで動画配信サービスと言えば、映画、海外ドラマ、テレビアニメなどを楽しむためのサービスというイメージがありましたが、ここに国内で放送されているテレビ番組を期間限定で配信する、いわゆる「見逃し配信」が加わり、これまで動画配信サービスに関心の薄かったユーザー層を取り込み始めています。

在京テレビ局に目を向けると、NHK、民放各社が公式に動画配信サービスを運営して見逃し配信を行っているほか、日本テレビは2014年にHuluを買収して既存のサービスに加え、放送した番組の見逃し配信を強化。背景には、リアルタイムでテレビ番組を視聴できないユーザーを視聴者として取り込みテレビへの関心を高めることと、横行するテレビ番組の違法アップロードを防止したいといった意図が考えられますが、近年進むテレビ離れを食い止められるかが注目されます。

ちなみにNHKと民放各局は、見逃し配信以外にも過去のテレビドラマやドラマ以外のジャンルの番組などを積極的に動画配信サービスに提供しているほか、これまでCS放送でしか番組を視聴できなかったチャンネルも動画配信サービスに番組を提供しており、視聴できる番組のジャンルは動画配信サービスが盛り上がり始めた当初から大幅に多様化していると言えるでしょう。

この点について、Huluを運営するHJホールディングス合同会社社長の船越雅史氏は、「以前はテレビ放送と通信との融合は、テレビ視聴者の減少に繋がるのではないかという漠然とした不安感がテレビ局側にあったのですが、徐々に番組コンテンツをネット配信する試みが増えてきています。Huluでも2015年5月に在京テレビ局6局のコンテンツが揃い、いつでも、どこでもテレビ番組が観られるようにすることで、テレビに対する関心の高まりや視聴率に貢献できているのではないかと感じています」とコメント。また今後はドラマやアニメだけでなく、バラエティ番組なども増えてくるのではないかとしています。

一方、日本テレビの担当者は違法アップロードに対する考えとして、「モバイルデバイスの普及などを背景に違法アップロードへの対策は急務であり、今年の1月から3月には民放連(日本民間放送連盟)で放送番組の違法配信撲滅に向けた統一キャンペーンを展開するなど、積極的に啓発活動を行っています。こうした動きは、テレビ局が公式に放送番組の配信に注力し始めている理由のひとつであることは間違いありません」とコメント。視聴者が安心してテレビ番組をネット視聴できる環境を整えることで、違法アップロードをするそもそもの理由を排除してしまおうという意図が読み取れ、今後の効果が期待できます。

オリジナルコンテンツの制作による差別化戦略  もうひとつの変化が、動画配信サービスがオリジナルコンテンツの制作やテレビと融合を強化しているという点です。  Huluを例にすると、同社は2014年末にコンテンツ制作部を立ち上げ、今年4月には木梨憲武さん(とんねるず)が出演するアートバラエティ番組『木梨憲武 Inspiration Only』の配信を開始。また、6月19日にはHuluと日本テレビが共同製作したオリジナルドラマ『THE LAST COP/ラストコップ』の第1話を『金曜ロードSHOW!』(日本テレビ系列)で放送し、放送直後から第2話をHuluで配信するというテレビとネット配信を融合したプログラムを展開しています。

同作は、ドイツで2010年から2014年に放送されて大ヒットした人気海外ドラマ『ザ・ラストコップ(原題:DER LETZTE BULLE)』を日本向けにリメイクした作品で、その脚本の面白さと、人気俳優の唐沢寿明さん、7月からドラマ『デスノート』で主人公キラを演じる窪田正孝さんの演技に注目が集まり、テレビ放送は関東地区で視聴率12.9%を獲得して同時間帯トップになったほか、Huluでも人気ランキングでトップになるなど成功を収めています。なおHuluによると、この『THE LAST COP/ラストコップ』は7月24日まで毎週金曜日に一話ずつ追加配信し、その後は全話視聴可能になるとのことです。 これまで、動画配信サービスは映画やドラマなどの映像資産を持っているコンテンツホルダーに動画配信の場所を提供するプラットフォームとして機能してきましたが、これに自分自身で制作したコンテンツを加えることで、サービスに独自性や競合優位性を加えようという動きが活発になってきています。

こうしたオリジナルコンテンツを制作・配信する狙いについて、日本テレビの担当者は「こうした協業は、放送媒体以外のコンテンツ制作ノウハウを蓄積する絶好の機会であり、オールデバイス向けのコンテンツメーカーに成長することができるのではないかと期待しています。また放送事業者としては、放送と配信の組み合わせがネット世代である若年層を中心に コンテンツ訴求を深め、放送と配信の相互送客が一層強固になりうると考えています」とコメント。テレビ局と動画配信事業者の間にノウハウの共有や相互層客といった相乗効果が生まれることに期待を寄せています。

一方、Huluの船越雅史社長もこの“相乗効果”に期待を寄せており、「これからの時代は、地上波、BS・CSだけでなく、Huluのようなオンライン動画配信サービスがテレビのコンテンツを届ける新たな担い手のうちのひとつになるのではないかと考えています。この協業をきっかけにして、“ネット配信にふさわしいコンテンツ”を試行錯誤しながら、動画配信サービスにどのようなコンテンツが適しているのか検討していきたいですね」とコメント。今後は日本テレビだけでなく、他のテレビ局やコンテンツプロダクション、配給会社など、さまざまなコンテンツ制作パートナーとともにコンテンツ制作に取り組んでいきたいとしています。動画配信サービス市場は、まだ発展途上 今後の成長に期待  このように、動画配信サービスをめぐる動きは、テレビ局との連携強化によってネットユーザーにテレビ番組の新たな視聴体験を提供したり、オリジナリティのあるコンテンツに触れる機会を提供したりなど活性化している状況ですが、冒頭で紹介したようにその市場規模は世界の動きと比較すると成長のポテンシャルを秘めている“発展途上”の状況だということができます。

この点について、Huluの船越雅史社長は「動画配信市場はネットに関する知識を持っているアーリーアダプターにとどまっていて、サービスが一般化するにはまだまだこれからだと思っています。映画やドラマは好きだが、(動画配信サービスを使いこなせるほどの)ネットリテラシーがあまり高くない方がまだ多く、また“名前は聞いたことがあるけどまだ使ったことがない”という方も多いので、今後の成長ポテンシャルが高い市場です」とコメント。ライフスタイルの中で動画配信サービスを楽しむことを習慣化させるまでには至っていないという認識で、「2015年は“動画配信元年”。他社とも切磋琢磨しながら、市場を開拓していきたいと思います」と抱負を語っています。

テレビとネットの連携によるシナジーが見逃し配信の充実やオリジナルコンテンツといった形でユーザーに提供されるようになってきたことで、これからの動画配信サービスはどのような進化を遂げていくのでしょうか。私たちが好きな映画やドラマ、そしてテレビ番組をもっと気軽に便利に楽しめるような世界が進化していけば、これほど嬉しいことはありません。今後の動向に注目したいところです。

執筆:井口裕右:オフィスライトフォーワン THE PAGE 2015年7月11日(土)配信

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