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各地で広がる百日咳

2012-04-17 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
感染症のアウトブレイクが起きた場合(おきそうな場合)、その介入開始時期がその後を大きく左右することが知られています。

よく引用されるグラフ

例えば、「ひとりふたりなら、まだいいんじゃない?」と、自分の目に見えている症例だけが問題だと考えるとたいへんなことにになります。

報告されていない/受診していない症例があり、潜伏期間があり、あっという間に拡大する可能性があります。
疾患ごとの自然史、公衆衛生上のインパクトを学ばないと対策がとれません。

現在、各国で百日咳が流行しています。これは赤ちゃんのときに接種したDTPワクチンの効果が減弱している思春期や成人での流行ですが、この世代が感染源となって、未接種の乳児に感染拡大することが問題となっています。このため、ブースターワクチンの認可や国の予防接種プログラムへの導入が急ぎ検討されています。

(日本でブースターワクチン導入が検討されているのかはよく知りませんが、各地で流行していることは国立感染症研究所感染症情報センターの情報や、学会発表などで知ることができます)

オーストラリアでは、0歳児が複数死亡してから、妊娠中のカップルに無料で予防接種が提供されています。

米国でも思春期~成人にブースターワクチン接種が推奨されており、特に、次の新学期までにワクチン接種をしなければ学校内立ち入り禁止的な措置までしているところがあります。(※ワクチン辞退の仕組みは州ごとに違います)
ちなみに、2010年に乳児10例が死亡したカリフォルニア州、2011年の死亡はゼロでした。が、ワシントン州はじめ、現在の他の州がepidemicレベルになっていっています。

英国やアイルランドでも症例増加が把握されています。
4月13日 HPA reports continued increase in whooping cough cases
今年に入ってすでに3人の乳児が死亡

赤ちゃんの死亡例が相次げば「国は何をしているんだ」騒ぎになるのでしょう。でも、1人の赤ちゃんの命も失いたくありません。死亡例が出る前に対策をはじめるよう、専門団体の働きかけが重要です。

どんな症状がご存じない方はこちらをご覧ください。
小児のICU入院例 特徴的な咳はとても苦しそうです(1分16秒) 
生後3カ月の咳 自宅で撮影(2分11秒)

予防接種前の赤ちゃんの死亡事例が複数の啓発サイトで紹介されています。
0歳児の場合は百日咳やRSV感染で入院となることが多いので、おかしいとおもったらすぐ受診を。

ちまたで語られている民間療法は危険です。
Natural Remedy Nurseというサイトでは、あなたや、アナタのお子さんが百日咳症状の人にこのレメディを~という紹介。
http://www.natural-remedies-nurse.com/whooping-cough-symptoms.html

ホメオパシー的ワクチンではこんな予防とレメディが推奨されています。受診の遅れや医療ネグレクトにつながり、(こどもの健康や生命に)危険が生じます。

予防接種をしない人、しない方針の家庭のお子さん、咳や感染の症状のある人は、赤ちゃんや妊婦さんに近寄らないように。
鼻水症状や咳症状のある子どもをつれて産科や小児科病棟、赤ちゃんのお誕生お祝い訪問にいかないようにお願いします。

ちなみに、、、トルコの病院の薬局にはブースターワクチン(百日咳、破傷風、ジフテリア+不活化ポリオ)があり、ロタテックもすでにあり、肺炎球菌ワクチンは13価でした。


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