感染症診療の原則

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久々の特派員コーナー

2016-07-19 | 特派員レポ
【久々の特派員コーナー】

さて、本当に久しぶりの特派員ブログです。
アトランタ特派員→カザフスタン特派員→サンフランシスコ特派員を経ましたが、
2年前より日本に戻り、昨年は東京城東病院総合内科
この4月からは獨協医科大学で総合診療科を立ち上げています。

海外にいて思ったことは、世界は広く、そして
一直線に人を並べられて評価される、言い方を変えれば一直線に並ぶだけに
シームレスかつボーダレスに勝負できる、ということが特徴かもしれません。

もちろん、各施設やエリアなどでそれぞれの壁はあると思いますが
それでも自分の存在感をリミットかけずにアピールすることが望めば可能だということは
日本にいたときよりも開放感を感じることが多かったです。

海外にいると、日本のことを距離を置いて俯瞰的に眺めることもできます。
ボーダレスは加速していますが、依然、国や文化ごとの傾向性は存在すると思います。
その中で、日本を含むアジア的な曲線的・非アルゴリズム的アプローチは
その他の文化には薄いもので、それを言語化すれば各分野でより良いものを作っていけると感じます。
とくに今私のいる診断学・診断思考の領域は、アナログ的要素に満ち、発展的、多因子的で線形的な思考が通用しないこともよくあります。そこで、このような曲線的アプローチの切り口を得意とするならば、それを強みとして、世界に貢献できると思います。

以前「診断戦略(医学書院)」を書いたことがきっかけで、東京大学の先端研の先生とお食事をさせていただいたことがあります。その際、学際的アプローチと、数分野にまたがる(自分は医学ですが)開発は巨大なイノベーションを起こすことができる、と盛り上がりました。

自分の場合は診断思考・診断推論の実践理論開発がテーマですが、そもそものホームである現場での医療・臨床医学教育に可能な限り最大のエネルギーを注入していくことがまず基本です。今のチームで、ここから世界をリードするコンセプトと現場での実践をバランスよく実現したいと思っています。

4月から始まった今の自分のチームは国際的に掲げる正式名称として
「Department of Diagnostic and Generalist Medicine」という名前で
診断思考力と日本ならではのどのセッティングにも対応できるジェネラリスト集団(とその養成機関)として、1200床・国内屈指の症例数を誇る現場を背景に、楽しく、のびのびとした環境で、明日の総合内科+総合診療医のスタッフ・リーダーを育てていく環境を創りつつあります。

このチームの新規性はいろいろありますが、内部では外来・病棟・救急の現場はもちろん、総合系医師の生涯教育モデル、診断戦略、フィジカルの徹底訓練、EBMのアップデートプロジェクト、医師に必要なMBA的トレーニングの実現など、若手には魅力のシステムが満載です。このような生涯教育モデルとしての総合診療科の提示と実践も、とてもやりがいがあって楽しいものです。

とくに大学というセッティングで総合診療を成立させるには、組織トップの先生方のサポートと、現場の先生と仲良く連携することの2点が達成できれば総診としての立場は確保できるかもしれません。さらに総診が他の専門科と同様に専門家としてのリスペクトを確立するには、3つ目の要素、総合診療科としての専門性を認めてもらうことが重要です。後者は大学病院においてはバラエティも多く、この点がとくに大学で総診を立ち上げる際のチャレンジになるかもしれません。そのためには臨床で専門科としての説得力を持つ・信頼を勝ち取ることが重要です。ここで総診の場合カギとなるのが強みであるDiagnostic Medicineでないかと思っています。

特派員時代より前、師匠の青木先生に出会えたところから今に至るまで、多くの恩師、先輩方、そして後輩たちに支えられ、また導かれてきました。随分回り道もしてきましたが、掲げた旗は降ろしたことがありません。その行く先々でご恩をどのような形でお返しできるか、それはきっと自分の今いるところで全力を尽くし、社会に貢献し、そして後に続く後輩達の優れた能力を世に開花させていくことだと思います。
心のコンパスを胸に頑張っていきます。

そして、このようなアウトプットをさせていただける編集部にも感謝です。
今後ともAokiブログ編集部をよろしくお願い申し上げます。

ブログ特派員Taro@編集部

以下、編集長が無断掲載、文句がある人は編集長ではなく、編集部へ










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