感染症診療の原則

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結核と誤診と集団感染

2007-06-30 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
目の前のコホコホ咳をしている制服の患者さんに結核を考えたことがありますか?
誤診は個人の健康だけでなく、感染症の場合、社会への影響も大きいのが特徴です。
結核関連ニュースが続きました。 再発防止や取組み改善につなげましょう。

『医師が結核を鼻炎、風邪と誤診 高校で生徒らに集団感染』

大阪市西成区の高校で結核の集団感染が発生。
生徒10人と家族6人の計16人が感染。
最初に感染した男子生徒は昨年12月に耳鼻科医から「アレルギー性鼻炎」、今年3月に内科医から「風邪」と誤診され、翌日に別の病院でようやく結核と診断されていた。
市は「早期にX線撮影などをしていれば感染拡大は防げた」として、医師2人に正確な診断と治療を求める異例の指導をした。
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200706200080.html

平成11年には高知で中学3年生が初期に受診した病院で見逃されていました。
http://www.med.net-kochi.gr.jp/tiikihoken/tiken/tiken_h1124.PDF

最近のユーロサベイランスでは英国のケースが紹介されていました。
ポイントがまとまっておりグラフもついているのでおすすめです。
実際に自分が関わった結核症例が学生の場合は、学校における集団感染がないかどうかの調査が行われますので参考になると思います(外国の例ではありますが)。

Index Caseと考えられたのは9歳の生徒で、体調悪化は今年の1月、初期に受診したところでは喘息と誤診されていました。3月末に結核の診断となりました(smear negative, culture positive tuberculosis )。

遺伝子解析の結果、2001年の成人症例と同じタイプとわかりました(近所に症例あり。しかしこのときは健診対象にならず)

スクリーニングを受けたのは189名、予防内服となったのは64名、現在まで治療を継続しているのは17名(9%)。もっとも影響を受けたのは同じクラスで、26名中22名が予防内服または治療が必要となりました。
http://www.eurosurveillance.org/ew/2007/070628.asp#1

平成17年東京では塾で集団感染がありました。
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kansen/news/presskansen051031.html

最近は、さいたま市のNICUで面会に来ていた父親が結核というニュースがありました。
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20070620AT1G2002U20062007.html

2007年5月 長崎 高齢者施設 集団感染
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/local/nagasaki/20070531/20070531_012.shtml

超高齢化の時代。「緊急事態宣言」後の評価も必要ですね。
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