感染症診療の原則

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薬剤師のためのBST  こどもの「みかた」by 笠井先生 Q&A

2016-10-28 | Aoki Office


【質問①】 : 新生児のクラミジア感染症において、用いる抗菌薬はどのようなものがありますか。
クラミジア・トラコマティスによる新生児肺炎・結膜炎の抗菌薬について、お答えします。


経口マクロライド、エリスロマイシンかアジスロマイシンになります。 
参考)Sarah S. Long MD , Principles and Practice of Pediatric Infectious Diseases 4th edition, p 888

【質問②】 : 現在、薬局に勤めております。感染症の勉強に良い書物があればご教授願います。

小児感染症医が参考にしている教科書(成書)は、Sarah S. Long MD , Principles and Practice of Pediatric Infectious Diseases 4th editionです。
また米国小児科学会(AAP)が編集しているRedbookは定期的に改訂されている良書です。比較的感染対策の内容に詳しいです。岡部先生らによる翻訳本もございます。
抗菌薬のスタンダードな選択、投与量、間隔などについて詳しいのは、John Bradley先生編による
Nelson's Pediatric Antimicrobial Therapy です。これは毎年改訂されています。齋藤昭彦先生らのグループによる翻訳本もございます。

【質問③】 : 10才の小児患者にクラリスを大人の用量で処方しても良いですか。

体重、身長によります。講義中も申し上げましたが、原則的に成人量を超えることはありません。10歳児の平均体重が33kgですので、体重(kg)あたり1回15mgとすると495(≒500)mgとなり、概ね大人量になります。

【質問④】 : 重症度評価としての見た目の評価のスライドで小児患者評価の3要素で皮膚への循環の要素がよく理解できなかったのでもう一度レクチャーして頂きたいです。

・循環の状態を医療者が「見て」得られる情報として、①皮膚の色(チアノーゼ、顔色)、②Capillary refill time(CRT;毛細血管再充満時間)があります。CRTは2秒以内が正常です。また両者は重症感染症を疑わせるサインとしても重要。

【質問⑤】 : Gut feelingのスライドで+LR 22.4とありますが、基準値はどの位でしょうか?

陽性尤度比の基準値はありません(と思います)が、比較的パワフルな所見です。
事前確率が1%だとしますと、その所見が陽性ですと事後確率は20%になります。

【質問⑥】 :10月1日よりHBVワクチンが小児にも使用されることになりましたが、出生直後に接種した方が抗体価の上昇は期待できるのでしょうか?

出生直後に接種した方が、抗体価がより上昇する、ということはないと思います。ただ、例えば父がキャリア等で感染の危険性が高い場合には、出生後からやることも考慮されていますが、現状では一般的にすすめるものではないと思います。
欧州の多くの国では乳児期に接種していますが、米国やオーストラリアでは出生直後に接種しています。安全性には出生直後接種でも問題はないことは確実です。私見ですが、現状本邦では母子感染予防でなければ、通常推奨通りに接種するのが良いと考えます。
参考)第6回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会資料3.B型肝炎ワクチンの技術的検討について.(2015年1月15日)http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000071278.html

【質問⑦】 : JCSの評価が大人と子供で差がありますが、特にⅠの1~3の評価は何歳で区切ればよいでしょうか?

乳児とそれ以上の小児で区切りますと以下に記載があります。
参考)日本小児神経学会、「小児神経学的検査チャート作成の手引き」
http://child-neuro-jp.org/chart/charttebiki.html

【質問⑧】 : 入院している新生児において、循環血流量が少ないため、採血を頻繁にすることが負担になると思うのですが、検査の頻度、間隔はどの程度行えばよろしいでしょうか。

その児の状況にもよるかと思います。緊急度、重症度とも高い場合は、数時間毎にすることもございますし、必要がなければ血液検査はしないものです。理想的には、血中濃度や副作用モニタリングで採血して欲しいタイミングを主治医とよく話合うと良いですね。

兵庫県立こども病院 感染症科 笠井正志 
kyashii55@gmail.com
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