冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

キタダケソウを求めて今年も北岳に登る

2017-07-26 22:14:15 | 旅行
7月の8日と9日の土・日に今年も北岳に行きました。本当はその前の週末に行きたかったのですが、金曜の夜には1週間の仕事疲れてダウンしており、とても週末に南アに行く気になれず。ただし、今年はどうしても7月前半に北岳に行きたかったのです。
それは、キタダケソウが咲いているから。例年であれば6月末までに見頃が終わってしまうキタダケソウ。世界で北岳にしか咲かない高山植物で、薄くて上品な白い花びらが特徴。南アは交通規制もあり、一般登山者が利用できるバスが運行されるのが6月25日くらいからなので、山開き前にはキタダケソウの時期が終わってしまうことも多いのです。昨年は7月の最初の週末に行きましたが、残念ながらキタダケソウさんには会えず。一輪だけ終わりかけのものを見つけるのが精一杯でした。
ところが、今年は雪が多かったのと6月の気温が比較的低かったのが幸いし、7月になってもキタダケソウが残っています。ヤマレコレポートなどで情報を確認し、このタイミングを逃すと次に見られるのは数年後かもしれないので絶対に行くことにしました。天気予報は今一つだったのですが、強い風雨で危険な状態でなければ行く覚悟でした。昨年は2度北岳に登っており、山頂からの絶景や稜線美は既に十分楽しみました。キタダケソウさんを見ることができれば、多少の雨風は我慢です。

7時に新宿を出発のスーパーあずさで甲府に向かい、甲府からは山梨交通のバスで広河原を目指します。シーズン序盤ということで、甲府のバス乗り場はそれほど多くの登山者は集まっていませんでした。それでも2台出たけど。


いつも思いますが、このバスは夜叉神峠と広河原しか実質的には止まらないので、2台以上出すなら広河原に行く人と夜叉神に行く人を分けて乗せればいいのに。広河原の方が多いでしょうから、少なくとも1台は夜叉神を通過して走れるようになるから効率的なのに。それはともかく、電車で1時間半、バスで2時間。接続の時間も含めて合計4時間かけて11時に広河原着。いつもながら登山口に着くまでに疲れるパターンです。

広河原の登山センターに着いたら、トイレと簡単な栄養補給をして直ぐ出発です。今回は北岳山頂直下にある肩の小屋のテント場にテントを張る予定。コースタイム5~6時間の道で1,500メートルほど登るので、11時台に出発は遅めです。5時間で登っても4時過ぎですからね。
登山口から北岳方面を眺めると、山頂は雲の中でした。それでも、全体的には晴れて悪くないお天気です。


いつもの吊り橋を通って野呂川を渡ります。野呂川は流れの早い清流で、南アの男性的なイメージに合っていて好きな川です。


そして、最初の2時間ちょっとは樹林帯の急登です。時々階段もどきのハシゴも登場し、テント泊装備ではなかなか厳しい道です。お天気がよかったせいか気温も高く感じました。汗が噴き出し、後から考えるとちょっとした脱水症状に陥ったようです。相変わらず北岳の登りは厳しい。
途中、鳳凰三山方面の視界が開けるところがありますが、こちらも山頂は雲の中でした。


最初の樹林帯はお花も少ないので写真もあまり撮らず、とにかく標高を稼ぐことに専念。結果、1時15分くらいに白根御池小屋に到着です。


昨年は稜線の風が強烈だったので、肩の小屋ではなくて樹林帯に守られている御池小屋にテントを張りました。この小屋を利用される方はあまり多くないのかな。でも、スタッフはとても親切で明るいので、私は好きな山小屋です。そして、南アルプスの天然水の水場です。水の美味しさは折り紙付き。
15分程度休憩し、1時半ごろに出発です。ここからは草スベリの急登。まあ、これまでも急登だから同じですね。


ちょっと進んだところから振り返ると鳳凰三山。


足元にはニリンソウやキバナノコマノツメが多く咲いていました。


でも、本当はこのミヤマハナシノブがいっぱいいると嬉しい。個人的トップ5に入る贔屓の花です。稜線に咲く花以外ではトップかも。今年は開花が遅れているのか、形のいいものはこの株しか見ませんでした。


標高を上げていくとシナノキンバイの大きな花も出てきます。夏のアルプスの代表ですね。


この日は暑かったのか、体調が悪かったのか、とにかく汗だくでした。結果、プチ脱水症状に陥って両足のふくらはぎが攣ってしまうという事態に。下山される方とすれ違う時には心配されてしまうほど、見た目にはまいっていたようです。途中で水分不足に気づいて残りの飲料の量を無視して取りあえず大量に水分補給し、同時に塩タブレットを2つほど食べてからは回復しました。行動中でも体調管理というか、客観的に自分の状態を考えるのは大事ですね。

お花のシーズンはもう少し先だったようですが、それでも楽しませてくれるのが北岳の実力。ニリンソウ(相変わらずイチリンソウ、サンリンソウとの見分けはできない)と思われる花の群落とか、イワカガミやミヤマキンポウゲ、ツマトリソウ、そして贔屓のハクサンチドリなどが見られました。木の花としてはミネザクラやナナカマド。サンカヨウも結構標高高いところにもありました。












で、脱水症状にやられつつ、回復しつつ、ヘロヘロになりながら二股分岐のところまで登ってきました。小太郎尾根まではあと少し。そこまで行けば傾斜はだいぶ緩くなるし、稜線のお花も増えるし、仙丈ケ岳とかも見えるはず。自分を励まします。


この辺りはシナノキンバイの群生がいつも見事ですね。癒しというより活力を与えてくれる感じ。


これはシナノキンバイの蕾かなあ。


そしてこれはハクサンイチゲの蕾かなあ。全体的に、お花はこれからが本番という感じでした。昨年は今頃既に百花繚乱でしたが。


尾根に出る手前には雪がだいぶ残っていましたが、滑るような状態ではないので問題なかったです。


そこに鳥さんが佇み、いい声で鳴いていました。ホシガラスではないけど結構大きい鳥。何だろう。


で、やっと小太郎山分岐に。ここまで来れば安心。もう遭難しない。しかし、登る途中で見えていたように、山頂が近づくにつれて雲の中に入ってしまいました。眺望は利きません。


そしてお花畑が始まる。このミヤマキンバイ、見て下さい。黄色と中心部のオレンジの色が見事です。北岳のミヤマキンバイ、一味違う。




ハクサンイチゲもたくさん。元々群落を作りがちな花ですが。


この通りのお花畑が広がります。白、黄色、紫、ピンクなど色とりどり。まあ、背景は全体的にガスっています。






イワウメはかなり咲いていました。比較的早い時期に咲く花ですからね。


イワベンケイはまだまだ咲き始め。


北岳のクモマナズナは株が大きくて美しいです。


ミヤマシオガマのピンクは目立ちます。


この時期目を惹くのはやはりオヤマノエンドウでしょうか。青紫の小さなお花がまとまって咲くので存在感あります。


ハハコヨモギはまだ始まったばかり。もこっとしたお花が可愛い。木曽駒と北岳にしか咲かないはずです。


キバナシャクナゲは、石楠花の中では一番好きな花です。高貴な感じがする。


このように、尾根に出るとお花を探してしまって足の進みがのろくなりますが、いいんです。どうせ残り40分くらいのコースだし、体も疲れているからゆっくりで。
途中で足が攣ったりしたのでコースタイムよりだいぶ遅れるかと思ったのですが、肩の小屋に着いてみれば実際にはコースタイムより巻いていました。4時20分頃到着。


早速テントを張ります。本来のメインテント場はまだまだ雪に覆われていて、小屋近くの空き地に皆さん場所を見つけて分散して張っています。土曜日ということで結構混んでいました。まあ、7月後半以降のハイシーズンになるとこんなもんじゃないと思います。昨年8月に縦走した時には北岳山荘のテント場に張りましたが、その時は満員でした。平日でしたが。
お天気的にはガスなので、ゆっくり休んでストレッチなどをし、食事を作ります。




でも夕暮れまでにはちょっと雲の切れる時もあって、仙丈ケ岳も見えました。自分がテントを張った所は仙丈ケ岳の正面になるので、ガスが取れれば絶景の稜線テント泊になります。


この日は東の空に大きな月が綺麗に出ていました。翌日の好天を願って就寝です。
そして翌朝。今回も神様は味方してくれました。ガスが取れて晴れています。早速、ご来光を山頂で拝むために出発です。その後は山頂を越えていったん八本歯のルートの方に下り、トラバース道に入ってキタダケソウさんを探す予定です。
たくさんの登山者が山頂での朝日を狙って出発です。


朝日は鳳凰三山のド真ん中から上るようです。


オレンジ色の光が照らします。


日が出ると辺りも染まり始めます。ビッグマザーの仙丈ケ岳。


甲斐駒。


甲斐駒と仙丈ケ岳のツーショット。


富士山も比較的大きく見えるのが南アの特徴ですね。雲海があって神秘的。


山頂のお花も朝日を浴びて綺麗。






そして個人的に日本最高稜線と思っている、白峰三山の稜線。間ノ岳はいつ見ても格好いい。




朝日の山頂を楽しんだら、いよいよキタダケソウさんを求めてトラバース道方面に下ります。その途中でもたくさんのお花を見ることができます。ミヤマオダマキやヤマガラシはこっちの斜面でしか見ませんでした。




ツガザクラもあります。


昨年の8月には、シコタンソウやシコタンハコベ、イワギキョウやイブキトラノオなども咲いていましたが、時期がちょっとずれるだけで違うお花が咲いてくれます。とても楽しい。
で、トラバース道の分岐まで下りてきました。


ここから見る間ノ岳方面も格好いい。ちょっと標高が下がったところから眺めているので、見上げる感じになります。




見逃さないように、やや緊張してキタダケソウを探しながらトラバース道を進みます。白いお花は出てきますが、まずはお約束のハクサンイチゲ。


そしてチョウノスケソウ。


これらのお花もそれぞれ綺麗なのですが、やはり今回は明確なターゲットとしてキタダケソウを求めている。偽装キタダケソウのような白いお花たちは少ないほうが本物を見つけやすいという自己中心的な考えも浮かびます。こんな雲上の楽園でも人間は自分勝手なものだ。私だけかもしれないが。
しばらく進むと、ついに発見。キタダケソウ。薄くてひらひらした花びらと平べったく重なったユキワリソウの花びらのような葉が特徴です。






やはり終盤なのか、形のいい個体はあまりありません。が、まだまだトラバース道は序盤。他に出てきてくれることを願って進みます。




すると、道からはやや離れたところですが、結構大きな群生地が見つかりました。コンデジのズーム機能でよい株を探します。










他にも群生している所が幾つか見つかります。










やはり、ハクサンイチゲに比べるとちょっと清楚というか大人しい感じ。地味と言えば地味。でも薄くて透き通るような花弁と黄緑色の雄蕊・雌蕊は本当に上品。樹林帯のミヤマハナシノブと並び、北岳という厳しい男山にあって不釣り合いなほど女性的。






いやー、キタダケソウ。残っていてくれてありがとう。稜線に咲く花としては、ツクモグサと並ぶ贔屓の花ですね。両方ともとても可愛いというか儚い感じというか。実際には風雨が吹き荒れて水も少ない砂礫の稜線に咲くお花なので、とても強い子たちなのです。が、その姿はとても儚い。それが美しさを感じさせる。

さて、キタダケソウの群生地を過ぎました。トラバース道も終盤。後は稜線に出てもう一度北岳に登り返し、肩の小屋のテント場に戻って撤収です。
その前に、ミヤマムラサキやミヤマキンポウゲなども登場。トラバース道はキタダケソウだけでなく花の宝庫でした。緑色のハクサンイチゲにも会えました。昨年もみつけました。










さて、ここからは北岳山頂への帰路です。


途中も時々お花と景色を楽しみます。










再び北岳の山頂です。時刻は7時くらいかな。もう完全に明るい夏山です。富士山方面。


甲斐駒、仙丈ケ岳方面。


大好きな間ノ岳稜線。


大樺沢左股を見下ろしてみました。雪が多いですね。雪渓登りを楽しみたい人は、今年は白馬岳や針ノ木岳じゃなくて北岳でも楽しめますね。


さて、テント場に戻ります。途中でキバナシャクナゲの形の良いものを見つけました。




テント場です。多くのテントは既に撤収されていました。皆さん下山したり、間ノ岳に縦走されたりしているのでしょう。このテント場、やはり張れると絶景でした。贅沢ですなあ。


何となく、一般登山者は間ノ岳への縦走に便利な北岳山荘を選んでしまうような気がしますが(肩の小屋はバットレスを登る玄人向けのイメージ)、私は両方好きですね。白根御池小屋も好きですから、結局何でも好きなのかもしれない。
本格的な下山前に、残ったインスタントコーヒーを飲みに肩の小屋前のベンチに行きました。皆さん、これから下山ですかね。結構混雑していました。一服したら、小屋のスタッフに挨拶して8時半ごろに下山開始です。


これまでは常にガスの中だった小太郎尾根ですが、今日の下山時には晴れていて展望がよい。正面に甲斐駒がドーン。


うーん、男山である。


下山は右股コースを取ります。残念なことに鹿の食害がひどいらしく、数年前からお花はだいぶ減ってしまっているようです。今回は時期的な問題もあって、シナノキンバイとかニリンソウ(でいいのかよく分からんが)などが主体で、タカネグンナイフウロもミヤマハナシノブもほとんど見られませせんでした。本当は時期が合えば見られるのかな。見られるといいなと思います。










左股を登っている登山者は多かったです。


途中、右股でも一か所だけ雪の残っている所を歩きますが、危険はありませんでした。


私はこの辺りで結構疲れてきてペースダウン。写真を頼まれた小屋泊装備の5名のパーティに追いついたり先に行かれたりしつつ、話しながら進みました。途中、アナグマと思われる大きな猫くらいの動物を見ましたが、写真に収めることはできず。
樹林帯のお花はそれでもちらほらと出てきます。ハクサンチドリに会えるとうれしい。


マイヅルソウ。


これはコンロンソウかなあ。


大樺沢の雪渓越しに鳳凰三山。


おっ、ミヤマハナシノブも1つだけ見つけましたよ。やはり圧倒的に上品。以前はハクサンチドリが最高に上品だと思っていましたが、今はミヤマハナシノブ。


近くにはタカネグンナイフウロも。もっと見たかった。


雪渓の崩れている所は、轟々と水が流れていて凄い迫力。写真では伝わりません。


途中で沢に下りられるところがあって、皆さん水を汲んだり顔を洗ったり。私も手ぬぐいを濡らして顔や腕を拭いたり、頭を冷やしたり。南アルプスの天然水。ありがたい。


カラマツソウが多くなると下山完了が近いイメージ。


沢の向こうに北岳が見えます。今回も晴れてくれて、そしてキタダケソウに会わせてくれてありがとうございます。山に感謝。


下山完了は丁度12時くらいで、バスは1時までなかったので野呂川の吊り橋の辺りで川からの風にあたって涼を取りながら北岳を見ていました。
1時のバスに乗って2時間かけて甲府に出たら、駅の近くの銭湯(高砂湯)で汗を流します。山梨交通のバスも、途中の地元の温泉施設とかに寄ればいいと思うのですが、そういう気は利かないものなんですな。やはり独占企業体というのは問題だと思ったり。

この日、甲府は最高気温35度の予報だったようで、むせ返るような暑さでした。銭湯から出て駅まで歩く5~6分で再び汗が吹き出しますが、それはしょうがない。駅ビルに退避して遅い昼食です。いつもの小作とは違うほうとう屋さんに入り、ほうとうと鳥の唐揚げを食べました。
帰りは、タイミングよくホリデー快速ビューやまなしという列車が来て、自由席に座ることができたので新宿まで効率よく帰ることができました。最後まで予定以上に上手くいった旅でした。

北岳は贔屓の山です。南アを縦走して深い森に溶け込んだ後に山頂に立つのがいいですが、そうでなくてもこれだけの絶景とお花畑、適度な厳しさは十分に楽しい。まだ槍ヶ岳も水晶岳も立山も赤石岳も聖岳も登っていないですが、これ以上に贔屓になる山が出てくるのかやや疑問。次は紅葉の時に来たいかも。早川尾根や鳳凰三山から北岳が黄色に色づくのを見るのがいいように思います。
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