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地方病院の医師不足

2006-06-30 21:31:08 | 企業・団体
 本日の19:30からNHKの「ナビゲーション」でやってた病院の医師不足の問題、結構興味深く観ることができた。
 たまたま懇意にさせていただいてる岐阜県の白川病院の野尻医師が取材を受けていたからだ。番組内でもへき地医療の深刻さが指摘されていたが、私も常日頃、現場では相当大変なことになっているように感じている。
 医師が少ないことにより、地方病院で医療に従事する医師に対する負担は増し、さらに看護師やワーカーなど、現場でパートナーとして働く者たちにとっても様々な問題を引き起こしているのである。

 入院患者にとって医師に対する信頼はかなり大きなものに違いないが、地方では医師不足により、医師からの直接的かつ十分な医療サービスを享受できる機会はそれほど多くない。こうなると、同じ現場で働く看護師などの負担は相当大きなものになる。医師の不足と同じ度合で患者が少なくなればいいのだが、残念ながらそうはならない。つまり医師の都市部志向の度合ほど、地方の患者の都市部志向は高くないところに問題がある。まあ、田舎のおじいちゃんおばあちゃんのうち、そうそう簡単に都市部の病院に入院できる(しようとする)人は少ないだろう。
 この医師の都市部への流出度と患者の都市部への流出度の差を現場で埋めるのが、地方病院で働く医師、そしてそれ以上に大変なのが看護師たちなのだ。

 地方病院で働く医師の負担は増すと、看護師など現場で同じように従事する者は階乗的に負担が増す。つまり、数少ない医師は時間と患者に振り回され、それによって医師を取り巻くスタッフたちは、もっと大きく振り回されるのである。なぜなら、彼らスタッフは医師の指示によって、仕事が発生するケースが殆どだからである。小さな出来事によって、医師の行動予定が少しずれただけで、ちょうどドミノ倒しのように周囲の者たちはあたふたと振り回される。大病院のように小さなずれを吸収できるだけの組織がない、それが今の地方病院の現状である。

 地方病院では医師不足がもたらす、看護師の過度な負担増もまた深刻な問題となって拡がりつつあるのである。医師問題ほど大きくクローズアップされることは少ないが、こうしたパートナーたちの声なき声に耳を傾けなければ、病院という組織を確実に蝕んでいくことになると懸念するのである。


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