日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

桐野夏生「東京島」毒気不足?

2008-06-19 | 読書
今年になって始めて買った単行本(いつもは文庫本)
出たてのホヤホヤで一気読み(6月6日)
毒気に当てられて、次に本を手にする気になれない・・

で、パズル「漢字太郎」に逃げて、はまった。

・・が、再起を計って読みだした本がまたすごい
フランク・ティリエ「死者の部屋」
最初の数ページで背中が凍りつく。



それはともかく、「東京島(じま)」のこと。
中年の夫婦が漂着した無人島、
後から流れ着いた若者たち32人と
スッタモンダで生き延びる者、死んでしまう者。
逆境の中、普通の主婦が殻を破って本能をむき出し生き延びる。

無人島漂着で、浮かぶのはノーベル賞作家
ウイリアム・ゴールディングの「蝿の王」
少年たちが無人島で戦いながら救出される
映画にもなって、どちらも秀逸の出来だったが
「東京島」から見ると救われる結末ではある。

「蝿の王」が一直線の迷路(?)だとすると
この本は行き先不明、本能は曲がりくねり(?)毒気を帯びる
毒気無くしては桐野夏生はあり得ないのだろうが
平穏に戻る者達・二組
どちらが平穏=平和かと言うとどちらだろうか(?)

しかし、少し「なんだかなあ~~」
毒気不完全燃焼の気配が漂う・・
桐野夏生に「平穏」は似合わないのかも・・

「毒」に耐力のある方・ご一読を・・

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