日々好日・いちよう

ちょっとした日々の一コマです

本格ミステリーVS社会派ミステリー

2009-08-06 | 読書
今日も蒸し暑い一日だった。



今日の話題の1冊め
歌野晶午作「白い家の殺人」2009年4月刊 講談社文庫
帯に島田荘司氏絶賛の・・「本格推理・・」とある。
季節は冬、雪の降り積もる豪華な山荘の殺人
お金持ちの社長の娘がシャンデリアから逆さ吊りで発見される。
警察でなく探偵を呼び寄せて犯人探しに当たる。
始めから「本格」ならぬ現実乖離の筋書き

続け様に伯母、母親が殺され
密室の解明・逆さ吊りの解き明かし・足跡のない遺体の謎に挑戦する探偵。
状況証拠から犯人らしい人物には動機がなく
動機がありそうな人には手だてがない。

犯人が特定され、警察には言い繕い事件化されない浮世離れ
最後の数ページで動機が明らかになるが
犯人しか知りえない動機、探偵さんには気の毒だろう・・
「本格推理小説」の謎解きのために
いわれ無き殺人や・人違い殺人
人道的に生き、小説を身近にして暮らしている庶民の私には、ゆるしがたい。
パズルのように本を読む人には快い謎なのだろうが・・



貫井徳郎「悪党達は千里を走る」2008年9月刊 集英社文庫
こちらはユーモア満載、社会派ミステリーといわれる
しょぼい詐欺でしのぐデコボココンビに超美形の詐欺師が加わり
小学生の誘拐に手を染める・・といいながらも
「子どもの誘拐は人道的にゆるせない」と
救済に全身全霊を捧げるトリプル詐欺師達
緊迫感のあるシーンでも、弾む会話とつぶやき(?)
的外れながらも等身大(?)の詐欺師達
真面目なベテラン刑事が可笑しい、能面の新人刑事が可笑しい
成り金達が可笑しい(もともと可笑しいことではあるが)
子どもを誘拐された夫婦が可笑しい。

ここまで続くと作者は結構な可笑しい人物とみた(失礼!)
真面目な顔して、おかしな所を探しているのかも(またも失礼!)

しかし、起承転結はキチンと齟齬はなし
まだまだ読んでいない本があるので、この先楽しみだ。

・ ・あ・そう、
しょぼい詐欺師達にはたっぷり報酬があったが
子どもにしてやられて物語は終わる。
(読んだら分かります)

・・と言う訳で、私は社会派に軍配を上げたい。
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