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THE CHAT / 椙本孝思

2007-05-19 21:07:03 | 読書

今回の記事は『THE CHAT』、著者は椙本孝思さんです。
驚愕の異色ホラーミステリー! というコピーも決して言い過ぎじゃない、衝撃的な展開とラストにすっかりやられました。


■内容紹介
平岡直之、25歳。コンピューター関係の会社に勤める平凡なサラリーマン。
平岡の趣味はチャットであった。金曜の夜には決まってチャット・ルーム『ヒュプノス・カフェ』を訪れ、チャットを楽しんでいる。

金曜日。もう土曜に変わってしまったが、深夜0時。
チャット・ルーム『ヒュプノス・カフェ』9号室。
認証IDとパスワードを入力し、平岡はルームにログインした。

アルゴこんばんは
エルスこんばんは。時間ぴったりですね
コロンこんばんはっす、アルゴ
ファットお疲れさん
デーモン定期集会ギリギリセーフだな
アルゴあれ、もしかしてビリだった?

このルームに集まるチャットメンバーは6人。現実での接点は無い。
お互いが正体を知らない、ディスプレイ上だけの儚い友人だった。
その夜も、『ヒュプノス・カフェ』9号室では何気ない会話が繰り広げられていた。

深夜1時を回った頃、突然、謎の来訪者が訪れる。

ナカツカこんばんは

初めて見る名前だった。
しかし、ナカツカ……?
何かが気になる。何故だろうか?

ナカツカはその後、不気味な会話を続けていった。

ナカツカ僕 の体は以前に 殺された 為に存在しません
ナカツカそれより後は 亡霊 のままで残されています
ナカツカこの中に 不要なファイル が存在します
ナカツカこれらの ファイル を ゴミ箱に移してもよろしいですか?

この時はまだ、平岡はこの亡霊を名乗るナカツカのことを大して気にはしなかった。
しかし、ナカツカは現実の恐怖となり平岡に襲いかかってくるのだった……。


■感想
驚愕!
この小説のラストには本当に驚かされました。
1点、2点、3点…と、これでもかってぐらい驚愕の事実が後半に発覚していって、何だかとんでもないことになっています。
すっかりやられてしまいました。
この結末は予測できません。

物語は、インターネットの亡霊・ナカツカの正体とは?
現実の人間なのか? それとも、本当に亡霊なのか……!
てな感じで進んでいくホラーミステリーです。
この小説、タイトルにもなっているチャットという設定を実に巧みに使っています。
相手の顔が見えない。
正体不明の恐怖。
会う人、会う人、みんな怪しく不気味に思えてくる。
そんな恐怖&疑心暗鬼ミステリーがとっても上手く描かれています。
引き込まれます、これは!

作中にはグロテスク、残忍な描写も多々あるので注意が必要。
苦手な人は苦手かもしれない。
(ま、ホラーですから)
だけど、面白さと興奮度はひとしおだった。
『THE CHAT』には感動するような展開はありません。
切なさに心震えるとか、主人公の行動に奮い立つとか、そんな類の小説ではありません。
単純に『面白い』小説でした。(愉快とかではなく)
面白さだけで、ここまで一気にラストまで引っ張っていく作品はあんまりないように思います。

オーソドックスなミステリに飽きた。そんな方にぜひ薦めたい1冊です。


『THE CHAT』 / 椙本孝思 / アルファポリス文庫
ジャンル:小説(ミステリ/ホラー/チャット)
メモ:第2弾『THE CHAT Ver2.1』あり
おすすめ度★★★★

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