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空の境界/奈須きのこ(小説)

2011-02-06 18:00:00 | 読書
今回の記事は『空の境界』(奈須きのこ、講談社文庫)です。
小説家兼人気シナリオライターである奈須きのこさんの本を初読みです。
映画化もされた人気作で、新伝綺ムーブメントを打ち立てた作品として話題を呼んだ(らしい)。

■内容紹介
二年間の昏睡から目覚めた両義式《りょうぎ・しき》が記憶喪失と引き換えに手に入れた、あらゆるモノの死を視ることのできる“直死の魔眼”。
式のナイフに映る日常の世界は、非日常の世界と溶け合って存在している……!
もはや伝説となった同人小説から出発し、“新伝綺”ムーブメントを打ち立てた歴史的傑作――。
(上巻裏表紙作品紹介より)

■感想
伝奇小説というジャンルをご存知だろうか。
伝奇小説とは、史実とは異なる歴史、血筋、奇異な伝承などをバックグラウンドに置いた小説を指すとのことです。
僕自身その定義はあまりよく分かってはいませんが、おおむね、「現実世界とは異なる世界観の世界を幻想的に描いた作品」または「ファンタジーとは素直に呼べないファンタジー作品」という認識です。
そういう意味で、『封神演義』あたりが一番伝奇小説のイメージに近いのですが、どうもそれは少々違うらしく、やっぱりよく分かっちゃいない。

だいぶどうでもよい前置きを長々と書きましたが、言いたかったことは次の通りです。
『空の境界』は、伝奇小説と新本格ミステリの融合という新しいジャンルとして講談社が新伝綺という呼び名で大々的に銘打った小説だと言うこと。
はい、全然知らなかったです!

ちなみに作品タイトル『空の境界』は“からのきょうかい”と読みます。
“そらのきょうかい”じゃありません。

それでは小説の感想を。
文庫版『空の境界』は上・中・下巻と分かれていますので、各巻の感想をざっくりと。

■空の境界・上巻(俯瞰風景、殺人考察(前)、痛覚残留)
奈須きのこさんの小説は、初めて読んだのですが、その独特のかっこ良さがある文体は、慣れてしまえば問題なさそうですが、慣れるまでなかなかに読みにくい印象を受けます。
何と言うかスッと頭に入ってこない感覚です。
だから最初はなかなか読み進めにくかった。
人物面はさすがに魅力が高い。それぞれに自分の意志を持ち、ぶれない人物像はかっこ良かった。
「痛覚残留」のクライマックスのシーンは劇的に心に響いた。
痛みを全く感じなかった少女が初めて抱く痛みの重さ。
あまりに痛々しく、そして切ない残酷さを孕んでいた。

■空の境界・中巻(伽藍の洞「 」、境界式、矛盾螺旋)
そろそろ奈須さんの文体に慣れる頃合い。
「矛盾螺旋」から爆発的に面白くなってきた。
式以外の登場人物の魅力が前面に出てきたのが良かったと思う。
(ややふわふわしてた黒桐幹也《こくとう・みきや》の良さがようやく「矛盾螺旋」の臙条巴《えんじょう・ともえ》とのやり取りで分かった気がする)
空の境界は、いわゆる普通じゃない人が多い中、臙条巴はいくらか身近な人間に感じられ共感できた人物。
その正体は驚きの正体なのですが。

■空の境界・下巻(忘却録音、境界式、殺人考察(後)、空の境界)
若干前巻より盛り下がったかもしれない。
かなり精神論的な話にシフトしてしまって読み難さが増した。
最終話「空の境界」に至っては何だかよく分からない世界へ飛んでいってしまった。
ただ黒桐幹也の魅力だけはすごく良く伝わってきた。

読み終わった感想として、ところどころグッとくる表現もあったけれど(「ユメみるコトは苦しいけれど」とか)全体的にあまり馴染めない作風。
「忘却録音」の扉で黒桐鮮花のイラスト見れたのは良かったです。

『空の境界』は今まで読んできた小説とはだいぶ印象が異なる作品に感じました。
これはライトノベルに近いのかもしれません。
やや堅い文体の本格アクション・ミステリ・ラノベ。
話題作ですので、興味が沸いた方は読んでみるのもいいかもしれません。
ただし絶対、読む人を選ぶ作風だとは思います。


書名:空の境界
著者奈須きのこ
ジャンル:小説(新伝綺/ミステリー/ファンタジー)
メモ:上・中・下巻
おすすめ度★★★☆


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