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地銀の経営統合「破談」も 公取委の審査難航でFFGと十八銀、再延期へ 断念なら他行の戦略や業界再編に影響も

2017-07-23 10:14:14 | Weblog
FFG・十八統合無期延期  2017年07月22日 長崎
 ふくおかフィナンシャルグループ(FFG、福岡市)と十八銀行(長崎市)が、目標としていた10月の経営統合について、時期を定めず再延期する方針であることが21日、分かった。公正取引委員会が問題視している県内の寡占化を解消する方策を巡り、公取委と折り合うめどが立っていないため。
 来週中に正式発表する。銀行側は「引き続きやれることはすべてやる」とし、統合時期は審査通過のめどが立った段階で決める考え。ただ最後までめどが立たなければ断念する可能性は「ゼロではない」(関係者)という。人口減少などで地銀の経営環境が厳しさを増し、各地で再編の動きも活発化する中、審査の行方は今後に影響を与えそうだ。
 両社は昨年2月、統合に基本合意。十八銀は今年4月にFFGの完全子会社となり、来年4月にFFG傘下の親和銀行(佐世保市)と合併予定だった。だが独占禁止法に基づく公取委の審査は難航し、今年1月に半年延期を発表。今回も半年単位での延期が検討されたが、現状では時期の明示は困難と判断した。
 十八、親和の県内の事業性貸出金は計約1兆円で、シェアは約7割と全国的にも極めて高くなる。続く長崎銀行(長崎市)で数%だ。公取委は健全な競争が阻害され、金利の高止まりやサービス低下で取引先に不利益を及ぼす可能性が出ると懸念。銀行側は「経営基盤を強化し、サービスを向上させる」とするが、主張は平行線をたどっている。
 審査では現在、少なくとも2割程度のシェアを持つ競争相手を生み出せるかが焦点で、十八、親和から他行へ2千億円規模の貸出債権譲渡が必要とみられる。
 だが、十八、親和が両行と並行して取引している企業に意向調査し、メイン行の立場を維持できる範囲で譲渡可能額を試算したところ数百億円にとどまった。譲渡先を決める必要もあるが、具体的に進んでいない。銀行側は「顧客の意向に反することはしない」として譲渡額の上積みには消極的で、第三者による金利などの監視体制整備といった追加対策も公取委に示しながら理解を得たい考えだ。

地銀の経営統合「破談」も 公取委の審査難航でFFGと十八銀、再延期へ 来週にも決定 2017年07月22日 産経
http://www.sankei.com/west/news/170721/wst1707210047-n1.html
 10月の経営統合を目指していたふくおかフィナンシャルグループ(FFG)と長崎県地盤の十八銀行は21日、統合時期の再延期に向けて協議していることを正式発表した。来週前半にも再延期を決定する。公正取引委員会の統合審査が難航していることが原因。十八銀の幹部は、今後も公取委の理解を得られない場合は「統合の断念もあり得る」との認識を示した。
 十八銀などの複数の幹部は、当面は統合時期を「未定」として期限を設けず再延期し、公取委と調整しながら実現を目指す考えを明らかにした。
 FFGと十八銀は統合後、FFG傘下の親和銀行(長崎県佐世保市)と十八銀を合併させる計画で、同一県内の有力地銀同士の合従連衡になるとして注目されていた。統合が破談となれば、他の地銀の再編戦略にも影響を及ぼしそうだ。
 FFGと十八銀は公取委からの理解を得ようと、長崎県の企業向け貸出債権の一部を他の金融機関に譲渡し、貸出金シェアを下げる案を検討。6月には譲渡可能額は1千億円弱と伝えたもようだが、公取委は2千億円超の規模を求めているとみられ、両者の認識の隔たりは埋まっていない。
 FFGと十八銀は、当初は今年4月の統合を目指していたが、長崎県での貸出金シェアが高まることを懸念する公取委の審査が長期化したため、1月に統合時期を半年間延期すると発表。現行の統合計画では、10月に経営統合した上で、十八銀と親和銀の長崎県内上位2行が1年後の来年10月に合併する予定だった。

統合断念なら他行の戦略や業界再編に影響も  2017年07月22日 産経
http://www.sankei.com/economy/news/170721/ecn1707210036-n1.html
 ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)と十八銀行が経営統合の時期を再延期するのは、公正取引委員会の承認を得られるメドが立たないためだ。人口減少や日銀のマイナス金利政策で地銀を取り巻く経営環境は厳しさを増している。合従連衡は生き残りのための手段の一つだが、両行が統合を断念するような事態になれば、他行の経営戦略や業界再編にも影響する恐れがある。
 「厳しい収益環境に適応して持続可能なビジネスモデルを確立していく上で、地銀の統合や提携は経営戦略上の選択肢の一つだ」
 全国地方銀行協会の佐久間英利会長(千葉銀行頭取)はこう強調する。
 人口減による市場縮小に加え、日銀のマイナス金利政策に伴う利ざやの縮小などで地銀の収益は低迷が続いている。一方で、地銀の数はなお100行を超えるオーバーバンキング(銀行過剰)状態で、再編による経営効率化や競争力強化は避けられない状況だ。
 公取委は、FFGと十八銀の統合について、長崎県内の貸出シェアが7割になることを問題視している。銀行側が一方的に貸出金利を引き上げたり、貸しはがしなどをしたりする恐れがあるためだ。大和総研の内野逸勢主席研究員は「(県内で)公正な競争を維持するという公取委の考えは理解できる」と話す。
 ただ、こうした公取委の姿勢に対し、地銀側からは「シェアの問題をクリアするには域外の銀行と統合するしかないが、それでは重複する店舗の統廃合といった効率化は見込めない」(東北地方の地銀)と反発する声も少なくない。
 BNPパリバ証券の鮫島豊喜シニアアナリストは「(FFGと十八銀行が)統合しない道を選んだ場合、離島や過疎地域などの支店をたたむといった弊害が出てくる可能性がある。地銀の統合は金融だけでなく、地方経済の今後にも影響する」とくぎを刺す。
 新潟県では最大手の第四銀行(新潟市)と2位の北越銀行(長岡市)が来年4月の統合を予定。長崎県のケースと同様、県内シェアは高くなるとみられ、公取委の審査が難航する恐れが出ている。
 監督官庁の金融庁は「統合は各行の経営判断」(幹部)として、公取委の審査を表向き静観する構えだ。だが再編の動きがストップし、体力のない地銀の経営が行き詰まる事態になれば責任を問われかねない。



 ふくおかFG傘下の親和銀行と十八銀行が経営統合を目指すことで公取が難色を示している一件。やはり物議を醸し続けているようですね。
 公取側は長崎県内の貸出シェアが7割になることや、銀行側が一方的に貸出金利を引き上げたり、貸しはがしなどをしたりする恐れがあることを主に指摘してますが、県内の地方銀行や第二地方銀行のうち、第二地銀の長崎銀行は店舗網が23しかなく既に西日本フィナンシャルホールディングスの完全子会社。
 親和銀行も経営不振が原因でふくおかFG傘下の完全子会社になり、ここにきて更に十八銀行まで合流してしまえば、県を代表する金融機関がなくなってしまう
(東京三菱UFJと静岡銀行のような単なる親密地銀レベルなら構いませんが、ダントツの筆頭株主的存在になられてしまうと、長崎県内の資金が長崎県内ではなく福岡県に流出してしまう懸念もあるでしょうし、県の指定金融機関が実質福岡県の金融機関になっても本当に長崎県民は構わないのでしょうか?)
問題もあると思うのですが、取引銀行を選べない(隣県の佐賀県の金融機関は佐賀銀行は長崎市内に1店舗・佐世保市内に2店舗。第二地銀の佐賀共栄銀行も佐世保市に1店舗を抱えるのみで主要2都市以外の方はメインバンクとしては利用しにく過ぎます)問題もさながら、県の経済を考慮するとむしろそちらの問題の方もかなり大きいような気もしますね。

 地方銀行と言えば、戦前の京都市内が都市銀行ばかりになってしまい地方銀行が消滅してしまったことから、市内の中小企業の方が不便を被ったこともあり、戦後に当時福知山に本店を構えていた丹和銀行が京都市内に進出して昭和26年に京都銀行に商号変更。
 80年代に不良債権問題に取り組んでいたこともあり、関西の地銀としてはバブル崩壊の影響は比較的軽度で済み、今では優良取引先を多数抱える地銀の雄の一つになっていますが、一雇われ人とは異なり、経営者ともなればメインバンクとは長い付き合いになるだけに、福岡県の金融機関の覇権争い(福岡銀行と西日本シティ銀行時代から両行はシェア争いをしていました)に巻き込まれたあげく、気がついたら県内の島しょ部の支店は不採算を理由に閉鎖されていた…などという事態になった日には、それこそ県民感情的に納得がいかないのではないかと思うのですが、この問題。どう軟着陸させていくつもりなんでしょう…。

 新潟でも圧倒的存在の第四銀行と県内NO2の北越銀行の経営統合話が出ているだけに、この問題は長崎県や新潟県の関係者だけでなく、隣県の金融機関があまり進出しておらず、取引銀行を選べない地域の方にとっては、明日は我が身な問題でしょうし、その行く末をハラハラしながら見守っているのではないかと思います。



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