ias デザイン室

(株)社会空間研究所のデザイナーが作成した作品を集めたお部屋です。ぜひ、立ち寄って行ってくださいね。

■ 急がない人生

2017年06月26日 | Watch & Think

朝、君の写真を見ると幸せな気分になれる、と言われた。

いい気分だった。

自分のやってきたことは無駄じゃなかった。



回顧展だから仕方ないが、今回の展示は1940~60年代の第一線で活躍していた時の作品が主だった。
銀塩写真はぞくぞくするほど美しい。そしてもちろん展示された写真は最高に美しく、格好いい。NYの空気まで展示されているような写真展だった。

再評価された時に、今こんな感じの写真を撮っていると流された写真は、四角くく切り取られただけのどこだかわからないただのNYの風景だったが、変わることのないソール・ライターの目を通したNYだった。
手にしたカメラがデジタルになり、現像しなくてもよくなったので、それこそ瞬きするように撮っていたようだ。
旅行者や居住者がスマホで撮っても、簡単に絵になってしまう街が、なぜソール・ライターが撮るとソール・ライターのNYになるのだろう。
人が歩き回って切り取った街の写真は、ただそれだけのものだけど、ソール・ライターが撮るとソールライターのNYになる。
それは撮りたい世界にdiveしているから。きっと今頃魂はNYの街にダイブして、溶け込んでしまっているんだろう。
無駄じゃないと言い切れる人生。
自分に意味のある物しか撮らない、 命令も指示も受け入れない。
そう貫いた生き方は、これが本当に自由に生きるということと、いい気分だと、写真の向こうからあの刺すような目で見つめ返しているようだ。


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