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◎心身の発達を最大限に高める育て方

2013-02-27 | 学習

男の育児ONLINE

心身の発達を最大限に高める育て方 | イクメン雑誌 FQ JAPAN 男の育児online

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およそ100年前に生み出された教育法
「子供が自ら発展していく力を助ける教育」とは?

モンテッソーリ教育は、およそ100年前、教育の専門家マリア・モンテッソーリが編み出した教育法。一言ではいい難いが、しいていえば「子供が自ら発展していく力を助ける教育」といえる。
人間を含むこの世のすべての生物は、感情などの精神面から脳・神経・筋肉などの肉体面まで、「自然の法則」に沿って成長する。医師の資格も持つマリア・モンテッソーリは、こうした生理学的な面から子供の観察を続けるうち、人間の子供にも「敏感期」があることを発見する。これはもともと生物学用語で、「生物の幼少期に現れる、特定の対象への強い感受性」のこと。オランダの生物学者の実験から、ある種の蝶は幼虫の一時期に光への強い感受性から太陽めがけて木を登り、その到達点には、その時期唯一の餌となる柔らかい新芽が発見された。その後、食べられる餌の種類が増えた頃、突然この感受性は消え、別の対象への感受性が生まれたという。
この「敏感期」こそが、モンテッソーリ教育の根幹をなすキーワードとなる。「さまざまな敏感期ごとの特有の動きを妨げないこと」が子供の心身の発達を最大限に高め、自主性を育み、ひいては将来の人格形成にまで影響を与えると考えるからだ。これを踏まえたうえで、親が具体的にすべきことを紹介していく。

「敏感期」を知っておけば子供の仕事が見えてくる

子供への接し方の最初にして最大の一歩は、「子供を見ること」だ。
「そんなことはとっくに」と思った方。それは敏感期を知ったうえで、だろうか? これついて日本モンテッソーリ協会の理事を務める相良敦子氏は、次のように語る。「無意味に、あるいは、わがまま・いたずらにも見える敏感期の行動も、“自然が与えた大切な宿題”を子供が真剣にやっているだけのこと。敏感期を知って初めて、“本当に子供を見る準備”ができたといえます」。
たまたま普段と違う席に座ったら、「違う! 違う!」と泣き叫ぶ。そんな、大人にはどうでもいいことに頑固にこだわる、「秩序の敏感期」と呼ばれる時期が子供にはある。
「1?3歳の頃、物の位置や順序が“いつもと同じであること”に固執する秩序感という感受性が生まれます。位置や順序をいつも通りに戻すだけで、それまでの大騒ぎがピタッと治まることも多いです」(相良氏)。また「運動の敏感期」では、机の上の物を落とす、壁に貼った物をはがすなど、困ったケースも少なくないが、それを止めるのは正しくない。
「こうした行動は、将来必要な動きのための筋肉の鍛錬。いわば“子供が今まさにやるべき仕事”なんです」(相良氏)。
とはいえ、放っておいたら家の中は惨憺たる状況。それ以上に包丁やハサミなどを手にした日には……。この対策ついては後述する「教具」についての項をご参照願いたい。
さらに敏感期には、同じ動きを集中して繰り返すという特徴がある。そのうえで、その終わりも唐突に来る。その行動の敏感期が終わったからだ。そうして子供は、また次の敏感期へと移っていく。

「黙って、ゆっくり、して見せる」が正しい教え方

何かしている時、「僕もやる!」と寄ってきた子供に、ああだ、こうだと口で説明しながら教えるのは、相良氏いわく、間違った教え方だ。「幼児期の子供に何かを教える際、もっとも大事なことは“言葉を使わない”ことと、“実際の動きを、ゆっくり、して見せる”ことです」。
このシンプルで、非常に効果的な方法について相良氏は、ある保護者会で会った奥さんの話をしてくれた。
「箸を上手に持てない息子さんに、口やかましく教えてもやろうともしない。そんなある日、私が話した通り、子供の横で、“無言で箸を持つ動作をゆっくり、して見せた”ところ、完璧ではないけれど、断然上手に持てるようになったそうです。息子さんは、やらないのではなく、やりたくてもできなかったのです」。
こうした教え方は比較的感情的になりづらい男性の方が向いている。特に全身を使うような大きな動きは父親の方がうまい場合が多い。
また、教えて良いのは、「敏感期に子供がしたがっているが、できなくて困っていること」に限る。「自然の法則」を無視して親の勝手な判断を押し付けてはいけない。
「敏感期は、基本的に先々の日常生活で必要となる感覚や運動、つまり、人間として生きるのに必要な能力を身に付けるために現れますが、その順序は一様ではありません。ですから焦らず、子供の今の敏感期を伸ばすことが大切です」(相良氏)。
さらに、「訂正しながら教えない」、「忍耐強く教える」ことも重要。黙ってゆっくり丁寧に教えても、1度で理解するとは限らず、見てくれない場合もある。そこで「そうじゃない」、「ちゃんと見なさい」と、続けてやらせてみるが、また間違う。そんなことを繰り返すうち「もういい!」といった経験、ないだろうか?
「まだ筋肉を思い通りに動かせない子供が、もたついたり、間違えるのは生理学的にも当り前なのに、大人はすぐイライラしたり、良かれと思って手を出してしまいます。でも、そこですべきことは、とにかく子供の前で何回でも“黙って、ゆっくり、して見せる”ことだけです」(相良氏)。
子供ができるようになっていく過程を愛と忍耐で見守る。それこそが将来的な子供の自主性を育むのだ。

「高価な教具」ではなく、「効果的な教具」を与える

モンテッソーリ教育では、さまざまな独自の「教具」を用いるが、これは敏感期の発達をより効果的にするとともに、前述の家庭内の器物破損防止や子供の危険回避にも役立つ。
「0?3歳頃の動きは、“具体的に何かをしたい”というより、単に“ある動きをしたい”という欲求によります。だから敏感期に現れた、落とす、投げる、はがすなどの動きに応じた“教具”を得た子供は、夢中で取り組みます」(相良氏)。
相良氏によれば、こうした形で0~3歳までに必要な運動をした子供は、将来ハサミや包丁を使った際に怪我をするケースはほとんどないという。これは必要な筋肉が鍛えられ、正しい動き方に慣れたことが大きい。また、ここでも決して無理に押し付けないようにし、子供の敏感期に合ったものを選ばせること。子供が熱中する動きと同じ機能の「教具」を用意してあげることが大切だ。
敏感期の運動には多くのパターンがあることから、教具は何種類か用意したいが、これは父親が適切な教具を作ることで十分解決できる。
「必要なのは“高価”ではなく“効果”。敏感期に適した機能があれば手作りでも問題ありません」(相良氏)。
こうした教具作りの参考書としては、相良氏が監修を務めた「ひとりで、できた!」(サンマーク出版)がオススメだ。

日本モンテッソーリ教育綜合研究所
http://sainou.or.jp/montessori/

(この文章は2007年12月1日発売「FQ JAPAN」 Vol.05 P82-83で掲載された内容です。)

(2013.2.26up)

 

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