ひょうたん酒場のひとりごと

ひょうたん島独立国/島民のひとりごとをブログで。

母の日に

2017年05月16日 16時18分30秒 | 日記
この前の日曜、14日は母の日。そのプレゼントに、東京にいる息子夫婦からは、昼過ぎ、東京の銘菓(わけあって縁の出来た栄太郎飴)が届き、近くに住む娘夫婦は、夕方、何故か入浴剤を渡しに来た。(後で女房にその理由を訊くと、「お疲れさん、という意味でしょ」と)。

無論、2人の子供達は父の日にも欠かさず、何かを送ってくるのだが、どうも、そこに込められた私と女房への思いとに、微妙に違いがあるように思われてならない。

これは多分に、小さい頃からの、2人に対する、私と女房の接し方に由来するものと思わざるを得ない。

とりわけ、夜の時間の過ごし方が違った。教師稼業で、日中は不在にし、2人が大学入るまで、その世話を女房の両親、特に母親に依存しなければならなかった女房だったが、その分、帰宅以降は2人との会話に、通常の母親以上に気を配ったのは確かだったようだ。

それに反して、それまで3度の転職を繰り返していた私は、2人目の息子が生まれたのを契機に、心を入れ替えて入社したのがK社で、彼が大学を卒業してしばらくの間まで勤務するのだったが、にも拘らず、そのK社時代、20数年間の夜が酷かった。

退社時間後の酒である。元来、酒、そしてその場が大好きだった私は、当時勤めていた企画制作室の室長の誘いを断り切れず、否、むしろ喜んでお供したのだった。しかも、ほぼ毎晩、である。時に2人きりで、時に数人で。

ついでながら、この室長(10数年前に逝去)は、私より一回り近い歳上のデザイナーで、再婚。奥さんは(後に分れたが)、K社に仕事を発注する広告代理店勤務。そしてお二人には子供がいないということで、ダブルインカム、世帯収入は多かった。

それに比して、私には子供2人と、それに、同居する女房の両親がいた。こちらもダブルインカム、そして両親に年金が入っているとはいえ、家計的には決して安泰なわけでもなく、女房にはそれなりの気苦労があったのは間違いない。

そして、懐具合は暖かいはずの室長、しかしながら夜の勘定は冷徹?で、いつも割り勘。たまに2次会に及ぶ時にのみ「ここは俺が払っておくから」。

「室長の所とは違うのよ!」。夜な夜なの深夜の帰還に、そうした女房の苦言を、幾度か聞いた覚えがある。確かに、私にも、そんな気がしないでもなかったが、それ以上に、大体、退社時刻の7時頃、まだ仕事の続く事務所内(電通同様、スタッフの勤務時間は長く、時に徹夜があっても誰一人文句を言う人間はおらず、むしろそれをやりがいと感じる雰囲気は確かにあった)を尻目に、「ヨッさん、帰ろうか」と誘ってくる室長の声の誘惑に負けた。

因みに、「ヨッさん」というのが私への呼び名で、「帰ろうか」というのが、「これから飲みに行くぞ」という、合言葉だったのだ。

つまりは、息子が生まれた時、娘は4歳、爾来、2人の子供達との平日の夕食・夜の時間にはほとんど記憶がなく、また、休日土曜日の朝はゴルフの打ちっ放し、昼からと、そして日曜は、今度は義父と碁三昧、といった風景しか記憶として甦らせることが出来ない中には、2人の子供達の影は完全に欠落しているのである。

従って、このような父親に対して、子供達が母親へとは異なる思いを抱くのが当然だ、とは思っても、そこに、そこはかとない女房へのジェラシー、子供達から一定の距離を置かれているような物足らなさ、寂しさ、そういった諸々の錯綜する気持ちを覚えるのを禁じ得ない。

夕方、息子から女房への電話。散々、何かを話し終えた後らしく、女房が、2階の私の部屋に「Kからよ」と電話・子機を持ってくる。

息子と話すのは正月以来か。「おう、元気か…」。だが、その後が続かない。息子も「ああ、元気だよ」と言ったきり、こちらの出方を待っている。

当時のつけが回ってきている…。日々、ふとした瞬間に、子供達に対して抱くようになってきている気持ちが、この時も湧いて出た。

今や、当時の私と子供達の関係は逆転してしまっているのかもしれない…。ならば、今さら関係の修復などという、大それた望みは持たず、せめて次の父の日、何かを送ってくるに違いない2人に、少しはましなお礼の言葉を準備しておこう…。

「また奈良に帰るから」。電話を切る寸前の、その息子の言葉を聞きながら、いつになく真面目に考えていたのである。

(シャープ)ブンゴウ
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