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ユリシーズを燃やせ

2016-11-12 08:58:03 | ゆめ未来
 今週は、『ユリシーズを燃やせ』 この1冊。

 ■ ユリシーズを燃やせ 

ユリシーズを燃やせ』は、「『ユリシーズ』の伝記」である。
『ユリシーズ』を読まずして、本書を読むことに、少し抵抗はあったが読むことにした。
460ページ、読むのに、随分時間を費やした。

傍目には、何故あんな事に時間と労力を掛けるのだろう、自分の人生を掛けてまでするようなことか、と驚きあきれてしまうことがある。
ぼくのような凡人には分からないが、「見える人には、みえている」ということか。
時代を切り開くとは、そういう人々の努力の賜物だろうか。

訳者あとがき」は、この本の内容を簡単明瞭に、分かりやすく解説している。

 本書は米国の雑誌『リトル・レビュー』連載中から「猥褻」の激しい非難を浴びたジェイムス・ジョイスの代表作がいかにして出版まで漕ぎつけたか、その過程を驚くほど詳細に再現した「『ユリシーズ』の伝記」である。著者も述べているように、『ユリシーズ』の作品論は数多く世に出ているが、その受難の歴史をこれほどまでに鮮明に描き出したのは本書が初といえるだろう。
 本書の大きな魅力は『ユリシーズ』が断罪されるに至った社会背景が詳細に分析されているのはもちろん、その出版騒動に巻き込まれて七転八倒する人々の姿が生き生きと描かれている点にある。


ジェームズ・ジョイスの『ユリシーズ』の出版に並々ならぬ努力した女性達。

  ジョイスの妻、ノーラ・バーナクル
  「リトル・レビュー」の編集者マーガレット・アンダーソン。
  「シェイクスピア・アンド・カンパニー書店」の創業者シルヴィア・ビーチ
  ジョイスのパトロンになるハリエット・ショー・ウィーヴァー

女性がひとたび目覚めると凄まじい。とにかく凄い。

 英国で最も強力な急進派は婦人参政権論者たちだった。
 女性の参政権を推進する運動は、一九〇五年に自由党の会合を妨害する行為が始まってから勢いを増した。デモを行ったり「女性に参政権を」という横断幕を掲げたりする以上のことをするなら、婦人参政権論者たちは政治の現場に乱入するしかなかったのだ。一九一〇年、数百人の女性が議会に突入しようとして、警官と野次馬の男性たちの暴力的な抵抗に遭った。数人の女性が怪我をし、ふたりが亡くなった。婦人参政権論者たちが刑務所でハンガーストライキを始めると看守は拘束服を着せ、漏斗を使って力ずくで鼻からセモリナ粉(小麦を粗びきにした粉)を摂取させた。……警察は婦人参政権論者の事務所を封鎖し、手紙を検閲したが、ストライキは止まらなかった。放火、窓の破壊、爆弾騒ぎも続いた。婦人参政権論者の数人は首相の暗殺も企てた。


古代ローマの庶民たち』でも話題にしたのだが、「性交と罪」の問題は、古代ローマの時代から、ずっと人々の関心事であり続けたのか。

 「告解の仮面を剥ぐ」が不法なセックスについての本でなかったら、誰がそのしかつめらしい文章を読んだのかどうかも疑わしい。「次いで問われていることは果たして、またどのような方法で、結婚した男女が不自然な体位で性交すると罪になるのだろうか?」答えは「不自然な体位とは性交が異なる方法で行われることを指す。つまり家畜のやるように坐位、立位、横臥、後方より行った場合だ。あるいは男が女に騎乗させた場合」。これらすべての体位が罪に値した。
 「告解の仮面を剥ぐ」はカトリシズムの愛欲に満ちた実態の暴露で、疑いようもなく猥褻だった。ヴィクトリア朝の人間にとって、どのような形にせよ不自然な性交の方法について話し合うことは(仮に最も色気のない言葉で行われたとしても)堕落だった。一部の読者にとって、それは堕落の暴露だった----
そんなものを読まなければ想像もしなかった人間が、考えを抱くようになってしまうのだ。

これが猥褻の定義か。

 最も恐るべきフィクションとは我々の『無垢』だ……ケヴィン・バーミンガム

今週は、一冊だけだったので引用が長くなってしまった。

『 ユリシーズを燃やせ/ケヴィン・バーミンガム/小林玲子訳/柏書房 』

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