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遠縁の女 謎を秘めた女の物語

2017年06月26日 | もう一冊読んでみた
遠縁の女/青山文平  2017.6.26

青山文平氏の作品は、『半席』に続いて2冊目です。
「半席」も面白かったが、この『遠縁の女』も面白い作品です。

「遠縁の女」は、三つの短編からなる作品です。
「機織る武家」は、縫(ぬい)。
「沼尻新田」は、すみ。
「遠縁の女」は、信江。
それぞれ謎を秘めた、いわくありげな女が登場します。
その謎を解き明かす形で、話は進みます。

この小説の雰囲気を少し、覗いてみましょう。

 その一枚には、一人一人の女の魂が宿らざるをえない。女が着物を形見分けするのは、それぞれの女の化身のようなものだからだ。着物はお棺に入れて、朽ちさせてよいものではない。

 「無用に願う」と言った。あのとき、私は、こいつは友にはならぬな、と思った。友にするには、高潔に過ぎる。弱みがない。どこか足りない処がなければ、肩の力が抜けぬ。つまりは、友にできぬ。代わりに、私は敬った。


 「そうだ、学問は、うまだ」
 「馬だ。走る馬」
 「ぱかぱか、か」
 「その馬だ。乗れば前へ進む。歩くよりも速い。遠くにも行ける。学問もそうだ。乗れば、己れ独りで手がかりなしに考えるよりも、速く考えを進めることができる。限りある時を無駄をせずに済む。さらには、己れ独りでは行き着けぬ彼方の場処へも行き着ける」


信江のような女には、出会いたくない、出会ったが最後、身の破滅のような気がします。
誠二郎さんはどうなったか、読めば分かる。
片倉隆明には、どのような明日が待っているのだろうか。

    『 遠縁の女/青山文平/文藝春秋 』


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