文化屋雑貨店が、渋谷の消防署近くに出現した。初期のころの商品は、買い占めておけばよかったというものがたくさんあった。食器もおもちゃも服もインテリアの雑貨も、今だったら到底見つからない貴重なものばかり。
若い店主の長谷川義太郎さんが、日本中の各地の蔵や、店じまいしたところを訪ねて、集めまくったもので選択眼がすばらしかった。その上信じられないくらい安いのだ。
当時のアシスタントののんちゃん(スタイリストの中村のん)は、私が支給する薄給のなかで、いつもドキっとするほどチャーミングなもコーディネイトをしていた。私はいちいち、「そのブラウスは?」「そのブローチは?」と出所を聞いたが、文化屋のものがずいぶんあった。彼女のオシャレは、若さとセンスとある種の才能があれば、お金をかけなくても、じゅうぶんに魅力を発するという見本みたいなものだった。文化屋はそういう若者のために意味ある存在感を今も持ち続けている。
私にとって忘れられないのは、喜一のぬり絵があったこと。蔦谷喜一は昭和20年代から30年代にかけて一世を風靡したぬり絵作家だ。幼い頃の私はぬりえが好きだったが、一方、田舎ながら「国際児童水絵展」などにも入賞するお絵かき少女でもあった。絵の先生は一般的にぬり絵には厳しく、こっそりとはまっていた。後で聞くと蔦谷喜一さんもそういう風潮にずいぶんと苦労をなさったみたいだ。
私は久しぶりにぬりえを見つけ、懐かしさに1袋か2袋買った。(あとで、もっと買っておけばよかった、とさんざん後悔した)
その後、長谷川さんの尽力もあって、資生堂の「ザ・ギンザ」のギャラリーで「喜一のぬりえ展」が開催された。
年を召してもダンデイな蔦谷さんは奥さまとともに会場に現れ、「こんな年になってから、こんなうれしいことがあるとは思ってもいなかった」と感涙していた。新聞やテレビにも紹介され、蔦谷さんの後年のハイライトになったことは、傍目でみていてもうれしかった。
写真(撮影・染吾郎) 文化屋雑貨店店主の長谷川義太郎さんと。写真を撮ってくれた染吾郎さんと長谷川さんは、武蔵野美術大学の同級生。文化屋は現在原宿の「ユナイテッド・アローズ」の近くにある。
なんて素晴らしいんでしょうか!
みずえ の 雑誌の特集に 喜一さんのぬりえが
ありました。ほのぼのとした、どくとくのフォルム
がすきです。文化屋雑貨店は10年前にたまたま
目の前にあらわれました。Goodsの温室のイメージでした。神戸の高架下と呼ばれる界隈にもあり
本当に目をきょろきょろさせていました。
おこずかいでも買えるので、楽しいショッピングでした。
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