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弁護士。中央大学法学部兼任講師。1968年生まれ。著作権等の知的財産権、IT関係はとりわけ強い。これまで、中古ゲーム差止訴訟、「mp3.co.jp」ドメイン名訴訟、対WinMXユーザー発信者情報開示請求訴訟などで勝利を収め、ファイルローグ事件では、高裁での逆転勝利をねらう。主な著書として『著作権法コンメンタール』(編著:東京布井出版)、『インターネットの法務と税務』(共著:新日本法規)などがある。
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小倉秀夫の「IT法のTop Front」
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四 P2P方式のファイル「共有」システムを公衆に提供する行為を巡る法律問題


1 上記のとおり、P2P方式のファイル「共有」システムは、「共有」される情報の種類によっては「共有」すること自体が民事法上又は刑事法上違法行為となりうるものである。他方、「共有」される情報の種類によっては「共有」すること自体民事法上も刑事法上も違法とはならないともいえるものである。そして、ほとんどのP2Pファイル「共有」システムにおいては、「共有」すること自体違法となる情報が「共有」される場合と「共有」すること自体違法とならない情報が「共有」される場合とで異なる動作がなされるように設計されていない(ある情報が、公衆に伝達すると違法となるものか否かという判断は、法規範という形而上的なものとの適合性を判断させるという意味でただでさえコンピュータによる自動処理に向かないものであるが、P2Pファイル「共有」の場合、情報の内容を読み込んで処理する中央サーバが介在しないことを特徴とする以上、当該情報の適法性を判断して自動処理を行うということはよりいっそう難しい。)。
 情報の内容次第でこれを伝達すること(あるいは公衆へ伝達すること)が違法にも適法にもなりうるというのは、P2Pファイル「共有」を利用した情報伝達に固有の性質ではなく、あらゆる情報伝達方法に共通した性質である。表現の自由及び検閲の禁止、通信の秘密の保障等を明文で規定する憲法を有する我が国では、他人間の情報伝達に利用されるサービスないし道具を公衆に提供する者に対し、これを特定人又は公衆に伝達することが違法となる内容の情報を特定人又は公衆に伝達することに用いられないように法的に義務づけることはなかった(他人間の情報伝達に利用されるサービスないし道具の提供者は、違法な情報が伝達されないかを監視しその伝達を阻止する義務(一般的監視義務)を負わないということにつき、プロバイダ責任制限法第3条第1項、東京地判平成11年9月24日判タ1054号228頁、大阪地判平成16年7月7日判例集未登載。違法な情報が伝達されないかを監視しその伝達を阻止することが一般的に許されない場合として、電気通信事業法第3条、郵便法第8条等。ただし、画像データをアップロードすることが可能な電子掲示板において児童ポルノ画像がアップロードされた場合に、当該画像データがアップロードされていたことを具体的に知らなかった電子掲示板の管理者が児童ポルノ陳列罪の正犯・作為犯として有罪とされた例として、東京高判平成16年6月23日判例集未登載。)。
 
2 では、「共有」すると違法となる情報を利用者が「共有」してしまった場合に、P2Pファイル「共有」システムの提供者は、法律上どのような地位に立つのであろうか。

(1) 前掲東京地裁中間判決は、ハイブリッド型P2Pファイル「共有」システムの利用者が、市販の音楽CDに収録されている演奏をmp3形式にて複製した電子ファイルを「共有」してしまった場合について、検索用中央サーバ及び専用ソフトの提供者を、当該P2Pファイル「共有」システムを利用した自動公衆送信及び送信可能化の主体であり、かつ、当該mp3ファイルの「発信者」(特定電気通信役務提供者の用いる特定電気通信設備の記録媒体(当該記録媒体に記録された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を記録し、又は当該特定電気通信設備の送信装置(当該送信装置に入力された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を入力した者をいう(プロバイダ責任制限法第2条第4号)。)であるとして損害賠償責任を負わせた。また、同事件の終局判決である東京地判平成15年12月17日判タ1145号102頁は、当該システムにおいて「送受信可能の状態にされた電子ファイルの存在及び内容等を示す、利用者のためのファイル情報のうち、ファイル名及びフォルダ名のいずれかに別紙楽曲リストの「原題名」欄記載の文字(漢字、ひらがな、片仮名並びにアルファベットの大文字及び小文字等の表記方法を問わない。)及び「アーティスト」欄記載の文字(漢字、ひらがな、片仮名並びにアルファベットの大文字及び小文字等の表記方法を問わない。姓又は名のいずれか一方のみの表記を含む。)の双方が表記されたファイル情報に係る、MP3(MPEG1オーディオレイヤー3)形式によって複製された電子ファイルを送受信の対象としてはならない」との実行不可能な一般的監視義務を課して上記システムの検索用中央サーバを運営停止に追い込んだ(より正確に言えば、同趣旨の仮処分命令が下された段階で上記検索用中央サーバは運営を停止している。)。

 この判決については、クラブキャッツアイ事件最高裁判決以来主に社団法人日本音楽著作権協会を救済するための法理として活用されている「利用主体拡張の法理」を緩やかに適用しすぎている(特に、管理性の要件についていえば、検索用中央サーバの管理者は自動公衆送信ないし送信可能化の客体たる電子ファイルの範囲を現実にコントロールしていない(できない)点を軽視する一方、検索用中央サーバの管理者と専用ソフトの提供者が同一人であることや同人がその開設するウェブサーバに同システムの使用方法などを掲載していること等、利用者が送信可能化の客体として当該著作物等を選択したこととはおよそ関係のない事情を挙げて管理性を認定している点が問題である。また、図利性については、当該システムを運営することによって現在、現実に検索用中央サーバ管理者が得ているわけではない事情を挙げて図利性を認めている点が問題である。)点が問題視されているとともに、著作権法上の規律から著作物等の「利用主体」と見なされているということから直ちに、プロバイダ責任制限法第3条1項の免責が受けられない「発信者」と認定してしまっている点が問題視されている。特に後者については、電子掲示板の管理者やレンタルサーバの運営者に著作権侵害ファイルの削除義務を負わせるためにこれらの者を自動公衆送信ないし送信可能化の主体と見なそうという近時有力説(田村善之「市場・自由・財産」204頁(有斐閣・2003))に立った場合に、「高速かつ大量に情報が流通するBBSやホーム・ページを抱えるサーバ管理者に対して、権利侵害の有無の精査を要求する」(田村・前掲205頁)という難きことを強いることになる。なお、田村・前掲204-205頁は、「過去の侵害行為に対する損害賠償に関しては、侵害の成否の問題ではなく、過失判断の問題として扱う方が具体的な事案に適した解決が可能となる。……故意がなければ刑事罰も科されない」とする。しかし、前掲東京地裁中間判決は、利用規約において、著作権等の権利を侵害する電子ファイルを送信可能化することを禁止すること,送信可能な状態に置かれた電子ファイルにより権利が侵害されたと主張する者から,当該ファイル公開の停止(共有の解消)を求められたときは,利用者は「ノーティス・アンド・テイクダウン手続規約」に従うべきことを定めていたとしても、利用者の戸籍上の名称や住民票の住所等、本人確認のための情報の入力が要求されていない場合には、著作権侵害行為を防止するために十分な措置が講じられているとは言えないとして過失責任を認めていること、また、著作権・著作隣接権に関する事案ではないが、前掲東京高判平成16年6月23日は利用者のうちの何人かが違法な児童ポルノ画像を掲示板にアップロードするかもしれないという概括的未必の故意でも故意犯が成立するとしていることを考えると、BBSやレンタルサーバの運営者、ハイブリッド型P2Pの検索用中央サーバの管理人を自動公衆送信ないし送信可能化の主体とした場合には、「サーバ管理者にとっても権利関係を容易に判断しうる」(田村・前掲205頁)等の特段の事情はない場合であっても過失責任を課される可能性は十分にある。

 なお、この「利用主体拡張の法理」は、クラブキャッツアイ事件のように実際の利用者の利用行為が犯罪とならない場合は一種の「身分なき故意ある道具」として取り扱われる可能性はあるもの、ファイルローグ事件のように実際の利用者の利用行為自体が犯罪となる場合には、刑法上の「間接正犯」が成立する余地はないように思われる。

(2) また、京都地検は、ピュア型P2Pファイル「共有」システム用のクライアントソフト「Winny」の開発者を、著作権侵害幇助の疑いで起訴した(現在、第1審審理中)。

 幇助者は、刑事法においては「正犯を幇助した者は、従犯」(刑法第62条第1項)として刑を科せられ、不法行為法においては、「教唆者及ヒ幇助者ハ之ヲ共同行為者ト看做ス」(民法第719条第2項)として損害賠償義務を負う。幇助者に対する差止め請求が認められるかについては、一般には否定される(特許侵害の幇助行為に対する差止請求が否定された裁判例として東京地裁平成16年8月17日判例集未登載、特許権侵害の幇助行為に対する差止め請求が否定された裁判例として東京地判平成16年3月18日判例集未登載がある。)が、社団法人音楽著作権協会が原告として差止めを請求した事案でこれを肯定した裁判例がある(大阪地判平成15年2月13日判タ1124号285頁)。ただし、P2Pファイル「共有」システム用のクライアントソフトの提供者に対し侵害行為の差止めを命じても実行可能性はない。

 刑法上の「幇助」については、正犯と共謀関係のないいわゆる片面的幇助でもよく、また、正犯の実行行為に対して未必の故意があれば足りるとするのが多数説であり、これを肯定する裁判例もある(東京地判昭和63年7月27日判時1300号153頁)。P2Pファイル「共有」システムの全部又は一部の提供者の罪責を検討する際にこの見解を単純に適用すると、「共有」させることが刑罰法規に抵触する情報の「共有」にも利用されうることを知りながらそれでもかまわないとしてP2Pファイル「共有」システムを提供し、これによりファイル「共有」システムの利用者が当該刑罰法規に抵触する行為を行うことを容易にしたとして、このようなシステムの全部又は一部の提供者は当該刑罰法規違反の幇助にあたるということになりそうにもみえる。
 しかし、ある程度汎用的な用途のある道具ないしサービスの多くは不可避的に犯罪行為にも活用されうるという性質を有している。そして、そのような道具ないしサービスの提供者の多くは、それが犯罪行為にも活用し得るものであること、あるいは現に既に犯罪行為にも活用されていることを知りながらも、当該道具ないしサービスの提供に踏み切りまたはこれを継続するのが通常である(P2Pファイル「共有」サービスの提供者も同様である。)。このような場合に、犯罪行為に活用され得るという性質を克服するまでは汎用的な用途のある道具ないしサービスを公衆に提供することは許されず、克服前に提供して結果的に犯罪行為に活用された場合は幇助犯として刑事責任を負うべきであるとしてしまうと、汎用的な用途のある道具ないしサービスの提供は大いに滞ることになり、科学技術ないし産業の発展は大いに阻害されることになる。
 米国では、ベータマックス事件連邦最高裁判決が「複製機器の販売は、他の商品の販売と同様に、その製品が合法的な、反対できない目的のために広く用いられているときには、寄与侵害を構成しない。実際には、著作権を侵害しない実質的な利用がなされる可能性がありさえすればよいのである。」としており、ある時点において著作権を侵害するような利用しかほとんどなされていなかったとしても、著作権を侵害する以外の利用の「可能性」を示せれば寄与侵害責任を免れるとしている。また、日本の特許法は、間接侵害の要件として、例えば物発明については、「業として、その物の生産にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする」か、又は、「その物の生産に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする」ことを要求している(特許法第101条第1号及び第2号)。また、より普遍的な議論としては、中立的行為による幇助の処罰可能性に関する刑法解釈上の一連の議論がある(松生光正「中立的行為による幇助(一)」姫路法学27・28合併号203頁以下)。
 この点に関しては、(1) 誰かがいつか特定の刑罰法規に抵触する行為に活用するかもしれないがそれでもかまわないという程度の認識では「故意」ありとするには足りないとする見解、(2) その道具ないしサービスが合法的な、反対できない目的のために広く用いられているときは(実際には、著作権を侵害しない実質的な利用がなされる可能性がありさえすれば)、当該道具ないしサービスを中立的に提供する行為は正当行為(刑法第35条)として違法性が阻却されるとする見解、(3)特許法第101条の趣旨を類推して、著作物の利用にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出もしくは著作物の利用に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその著作物の公衆による享受に不可欠なものにつき、その著作物が著作権により保護された著作物であること及びその物がその著作物の利用に用いられることを知りながら、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をした場合を除き、著作権侵害行為に利用された道具等の公衆への提供者は著作権侵害行為の幇助犯とはならないとする見解、(4) 中立的な行為による幇助に関しては原則として処罰可能性を制限すべきとする見解、(5) プロバイダ責任制限法第3条1項により不法行為責任が否定される場合には勿論解釈として刑事責任も否定されるとする見解などがあり得るところである。
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コメント
 
 
 
Unknown (Unknown)
2004-12-03 12:50:00
法律的な事が書いてある。

読んでみたが、所ところ解らないのですが



結局、本質と現状の問題と言うことですか?



P2Pは本質は、サーバーが立てる必要がない

ファイル(データ)を共有できるシステムは

インターネットのような”網の目”的な

ネットではかなり有効だと・・



しかし、現状だと、P2Pの匿名さの為に

著作権侵害が多く見られる。



じゃぁ~実際にP2Pそのものは違法なのか?

現状、P2Pで法律違反を起こしてる人が

多いから違法なのか・・・



包丁は人を殺せますが、それ以上に

料理を作ることが出来る。



拳銃も人を殺せますが、それ以上に

狩りが出来る。



包丁は合法で拳銃(猟銃以外)は違法である



P2Pは日本にとってどのような位置づけで

どのような意味を持ってるのかを

検討しつつ法律を検討して欲しいと思います



自分は、P2Pの可能性を潰されるのは

インターネットというシステムの中で

利便性から考えても、損だと思いますが・・

 
 
 
Unknown (Unknown)
2004-12-03 17:17:10
コメントは前の方のエントリにつけて欲しいみたいですよ
 
 
 
Unknown (誰の国?)
2004-12-04 09:10:14
PGPなどの暗号ソフトの問題もあると思いました。
 
 
 
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