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弁護士。中央大学法学部兼任講師。1968年生まれ。著作権等の知的財産権、IT関係はとりわけ強い。これまで、中古ゲーム差止訴訟、「mp3.co.jp」ドメイン名訴訟、対WinMXユーザー発信者情報開示請求訴訟などで勝利を収め、ファイルローグ事件では、高裁での逆転勝利をねらう。主な著書として『著作権法コンメンタール』(編著:東京布井出版)、『インターネットの法務と税務』(共著:新日本法規)などがある。
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小倉秀夫の「IT法のTop Front」
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一般市民が不特定人に対して情報発信を行うことをサポートする情報送信補助サービス業者に、違法な情報の流通を機械的にフィルタリングする義務を負わせようという声は日増しに大きくなっていますが、それは実際には「言うは易し、行うは難し」と言わざるを得ません。

ファイルローグ事件(JASRACが原告となっているもの)の判決主文は、差止めに関する部分についていえば、
被告有限会社日本エム・エム・オーは、被告有限会社日本エム・エム・オーが「ファイルローグ」(File Rogue)という名称で運営する電子ファイル交換サービスにおいて、送受信可能の状態にされた電子ファイルの存在及び内容等を示す、利用者のためのファイル情報のうち、ファイル名及びフォルダ名のいずれかに別紙楽曲リストの「原題名」欄記載の文字(漢字、ひらがな、片仮名並びにアルファベットの大文字及び小文字等の表記方法を問わない。)及び「アーティスト」欄記載の文字(漢字、ひらがな、片仮名並びにアルファベットの大文字及び小文字等の表記方法を問わない。姓又は名のいずれか一方のみの表記を含む。)の双方が表記されたファイル情報に係る、MP3(MPEG1オーディオレイヤー3)形式によって複製された電子ファイルを送受信の対象としてはならない。

というものであり、「別紙楽曲リスト」には3万曲を超える楽曲について原題名とアーティスト名が列挙されています。すなわち、東京地方裁判所民事第29部は、ファイル名及びフォルダ名から、違法複製物か否かを峻別せよという考え方を採用しています。

 しかし、特定の電子ファイルについてそのファイル名及びフォルダ名からその電子ファイルが特定の楽曲の違法複製物であろうとかなりの確度で推測できるということと、大量の電子ファイルについてそのファイル名及びフォルダ名から著作権付き楽曲の違法複製物をかなりの確度で峻別できるということとの間には大きな差があります。人間による推測は、意識的にせよ無意識的にせよ、複雑な条件をいくつも組み合わせる形で特定の事実を推測しているのであって、それを単純な条件式で何とかしようというのはそもそも無理というものです。
 
 たとえば、「桜」または「sakura」というタイトルの楽曲は、土肥明子、徳永英明、ZABADAK、早川義夫、山崎ハコ、遊佐未森、さくら、川中美幸、斉藤和義、smart、川本真琴、EAST RIVER、URITA、Janne Da Ark、TOMATO CUBE、GIRAFFE、bird、堀江由衣、葉山宏治、経田康子、吉岡秀隆、久石譲、田島美和、REVEN G、河口恭吾、arp、大野克夫、KUMACHI、e.mu、face to ace、WILLIAN、齋藤紀子、AZAMI、堀下さゆり、芝口佳徳、中森明菜といったアーティストの実演を収録したレコードが発売されています。

 また、「卒業」というタイトルの楽曲は、伊藤秀志、谷川理恵、岡村孝子、井上喜久子、近藤名奈、嘉門達夫、藍川由美、広畑あつみ、土肥晴人、なかむらゆうき、制服向上委員会、長谷川ひろし、ムーンライダーズ、甲斐よしひろ、ヒデ&ロザンナ、郷ひろみ、THE ALFEE、ベル、麻丘めぐみ、ザ・リリーズ、ピーカーブー、赤い鳥、南沙織、キャンディーズ、ダ・カーポ、松山千春、須藤薫、石坂智子、野口五郎、沢田聖子、レイン、三浦洸一、谷村新司、工藤夕貴、堀江淳、尾崎豊、菊池桃子、倉沢淳美、斉藤由貴、松本隆、松下萌子、木村聡、いんぐりもんぐり、A・JARI、小沢なつき、KAYOCO、服部克久、井上美樹、小森まなみ、中村あゆみ、有頂天、渡辺美里、平岩英子、DOKI DOKI PANIC、渡辺なつみ、小林正俊、立井幹也、岩男潤子、三浦和人、金谷邦彦、五島愛子、水谷優子、笹山秀典、canna、CHARCOAL FILTER、ガガガSP、矢吹紫帆、PANDA//SON、板ちょこ、メイプルリーフ、うたいびと はね、Annan、タッキー&翼、森崎千紘、Hot Dog、安倍麻美、ZONE、the youth、RAPHAEL、杏子といったアーティストの実演を収録したレコードが発売されています。

 すると、上記判決主文が提示するような方法で「ファイル名等を基準に既存の楽曲の違法複製物を排除する義務」を情報送信補助サービス業者が負うのだとすると、土肥、徳永、早川、山崎、斉藤、吉岡、河口、大野、中森といったありふれた氏を有していたり、明子、英明、さくら、美幸、由衣、宏治、康子、秀隆、譲、美和、克夫、紀子、さゆり等のありふれた名を有していたりする者が「桜」というありふれた文字を用いたタイトルの楽曲を実演して収録し、MP3ファイル形式の電子ファイルにして公衆に拡布しようとしても、情報送信補助サービス業者によりこの電子ファイルは流通を阻止されてしまいます。同様に、伊藤、谷川、岡村、井上、近藤、藍川、広畑、土肥、中村、長谷川、甲斐、南、松山、須藤、石坂、野口、沢田、三浦、谷村、工藤、堀江、尾崎、菊池、倉沢、斉藤、松本、松下、木村、小沢、服部、井上、渡辺、小林、金谷、水谷、矢吹、森崎、安倍などのありふれた氏を有していたり、理恵、孝子、達夫、由美、ひろし、ひろみ、めぐみ、沙織、千春、薫、智子、五郎、聖子、美樹、まなみ、あゆみ、美里、英子、なつみ、正俊、幹也、潤子、邦彦、愛子、優子、秀典、杏子などのありふれた名を有していたりする者は「卒業」いうありふれた文字を用いたタイトルの楽曲を実演して収録し、MP3ファイル形式の電子ファイルにして公衆に拡布しようとしても、情報送信補助サービス業者によりこの電子ファイルは流通を阻止されてしまいます。
 
 それは、実演家の氏ごとに、あるいは実演家の名ごとに、メジャーな実演家がその楽曲のタイトルとして用いた文字列について、mp3ファイルのファイル名等に用いることを制限する、ある種排他的な権利を事実上創設することに繋がります。それは、既得権者を保護しすぎなのではないかと私などは思うのですが、ファイルローグ事件の判決文を読み評釈などを行った法律専門家の中からこの点を指摘する人が現れなかったのは不思議でなりません。「そのルールを現実に適用した場合に、どのような結果が生ずるか」ということをシミュレートする力の乏しい法律専門家が増えてきたということなのでしょうか。
Comment (1) | Trackback (2)


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コメント
 
 
 
なるほど (ラック)
2004-10-14 09:05:19
ミュージシャンって歌を作ってお金を稼いでいるとばかり思っていたけれど、あにはからんや自分の歌が録音されたメディアを作ったり配ったりする権利を融通することでお金を稼いでいたんですネ。
 
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