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弁護士。中央大学法学部兼任講師。1968年生まれ。著作権等の知的財産権、IT関係はとりわけ強い。これまで、中古ゲーム差止訴訟、「mp3.co.jp」ドメイン名訴訟、対WinMXユーザー発信者情報開示請求訴訟などで勝利を収め、ファイルローグ事件では、高裁での逆転勝利をねらう。主な著書として『著作権法コンメンタール』(編著:東京布井出版)、『インターネットの法務と税務』(共著:新日本法規)などがある。
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小倉秀夫の「IT法のTop Front」
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 1月3日のエントリーに対し、「DreamMaster」氏からコメントをいただきました。
ただ、「2ちゃんねるのような匿名掲示板や匿名blogの隆盛を見るにつけ、そのとき面白おかしければ、情報の正確性などどうでもよいというのは、日本社会に根付いた文化なのだろうか」というより、「お上の言うことだから正しいのだ」という態度で、論拠を明示する労力を回避する文化が問題なのではないかと考えました。
とのことですが、報道被害者の代理人としてマスコミを訴えた経験からいうと、そうではないように思います。

 例えば、私が弁護士に成り立てのころの話ですが、むちゃくちゃな診療を行い患者からぼったくりを行っている旨を新聞社系の週刊誌にかき立てられて困っている医師を代理して名誉毀損訴訟を提起したことがあります。問題の記事には「A子さんは不思議な体験をした」として、「A子」の発言を引用するような形で、当該医師からむちゃくちゃな診療を受けたような話が掲載されていました。しかし、当の医師は、この「A子」さんが誰だか皆目見当が付かないのです。指摘されるような診療を行っていないのだから仕方がない話です。
 そこで、そこでいう「A子」とは誰なのかということを求釈明しましたが、某新聞社は「取材源の秘匿」を理由に回答を拒否しました。また、担当記者を尋問した際にも「A子」とは誰なのかを尋ねましたがその記者は「取材源の秘匿」を理由に回答を拒否しました。
 
 問題の記事によれば「A子」さんは当該病院を既に退院したとのことですし、そもそも一介の医師に元患者を追いかけて弾圧する能力はありませんから、「A子」さんの匿名性を維持すべき明白かつ切迫した理由はありません。「A子」さんが誰であるのかが特定され、当該名誉毀損訴訟の審理に必要な範囲で秘密を開示することを「A子」さんに同意してもらえれば、そのときどのような理由に基づいてどのような治療を行ったのかを具体的に説明し、むちゃくちゃな診療をしていなかったことを明らかにできたはずです。しかし、某新聞社系の週刊誌では、ついに「A子」さんが誰であるのかを明らかにすることはありませんでした(この件は、和解で解決しました。)。
 
 おそらく、某新聞社系の週刊誌記者は、「A子」さんという架空の人格に体験談を語らせて記事をでっち上げたか、あるいは虚言癖のある元患者の証言を検証もせずに記事にしてしまったのだと思います。だからこそ、「A子」さんが具体的に誰なのかを明らかにできなかったのでしょう。「真実の追究」を第一に考えるジャーナリストならば恥ずかしくてそのようなことはできなかったと思いますが、とりあえず医者を叩いておけば読者のルサンチマンの解消に繋がり喜ばれるという程度の志しかないから、そういういい加減な記事を簡単に作り掲載してしまうのでしょう。
 
 自称「ジャーナリスト」の大谷昭宏氏が、NGO-AMIの公開質問状に対し、回答を行っています。
 そこで注目されるのは、「2.取材ソース、取材データ、取材対象に言及できないことは、自明、周知の事柄と考えております。と考えております。」という部分です。1月3日のエントリーでも記載しましたが、自分が作成した記事に対して「説明責任」を有するというのが、米国のジャーナリストの基本です。「取材ソース、取材データ、取材対象に言及できないことは、自明、周知の事柄」では全くないのです。むしろ、その逆です。特に問題とされている大谷氏の記事に関して言えば、取材源を秘匿することを約束しなければ入手できなかった情報をもとにしていたとは考えがたいですから、このような記事に関し、「取材源」、といいますか記事の根拠を明示できないとすれば、米国においては、ジャーナリストとしては失格です。「読者からの信頼」等どうでも良いと考えていると判断されます。
 
 池田信夫さんはそのBLOGの中で、「しかし今、インターネットが変えつつあるのは、このマスメディアの「特権性」なのだ。」とおっしゃっています。しかし、私は、マスメディアには、インターネットでは代替できていない重要な機能があると思っています。それは、「情報の泉源を辿り、その真否を確認する」機能です(これは、優秀な人材を多数人抱え、それなりの社会的地位と資金力を有している、合目的的に組織された集団だからこそできることであり、バラバラに動く個人の集団が支えるインターネットでは代替できません。)。しかし、日本のマスメディアは、この機能を果たそうとしていません。社会に流れている不確かな情報を元に感情を表現するだけなら素人にもできます。その程度のところで満足していてジャーナリストだなんてちゃんちゃらおかしいです。
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コメント
 
 
 
A子さんの事例について (Shige-Chan)
2005-01-08 00:50:26
初めまして。

当該エントリ中に例示されている「A子さん」の事例についてうかがいたいことがあります。「当の医師は、この「A子」さんが誰だか皆目見当が付かない」とのことですが、その医師が嘘をついていたという可能性はなかったのでしょうか。その医師が「指摘されるような診療を行っていない」とのことですが、その点をもう少し詳しく説明して頂けると幸いです。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2005-01-08 14:58:49
「被害者」の主張を疑ったり検証を加えようとすること自体が許されないみたいなトコはありますね。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2005-01-08 22:05:54
この事例はマスメディアも匿名の発言も同程度の信憑性しかないという証拠なのでは?

 
 
 
Unknown (まさくに)
2005-01-09 12:38:05
古い記事で申し訳ありませんが、TBさせて頂きました。マスゴミ騒動でその存在が問われていましたし、最近ではドンキの報道陣の「特権」ぶりが目立ちました。報道する側とされる側の立場、報道手法や内容が社会に問われているのであると思います。また、最大にして最難関の問題である、「職業倫理」というか「報道倫理」ですね。これがマスゴミ批判の最大の焦点であると思っています。ジャーナリストの「魂」はどこへ消えてしまったのでしょう。

一方で、匿名性の問題は、やはり難しいことであると感じています。アメリカのある女性ジャーナリストはイラク戦争に絡む情報源を上院委員会で証言しなければ、法的拘束を受けるおそれがあると言われていました(うろ覚えですが)。特に、「権力対ジャーナリスト」の構図では、必ずしも匿名性を破棄できない面があると思います。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2005-01-14 16:55:33
依頼人を信じる。

法廷では必要でしょうけどね、このような裁判所以外の場所で、一方的に記者かA子さんが嘘を付いたかのように決めつけ、依頼人の嘘を検証しない。

医者が嘘を付き、カルテを改竄し、記者がA子さんの正体を漏らしていたら、きっと、A子さんは事実を告白しているにも関わらず、名誉毀損で有罪になり、法外な賠償金を請求されたのかと思うと、あぁ、怖い怖い。

 
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