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弁護士。中央大学法学部兼任講師。1968年生まれ。著作権等の知的財産権、IT関係はとりわけ強い。これまで、中古ゲーム差止訴訟、「mp3.co.jp」ドメイン名訴訟、対WinMXユーザー発信者情報開示請求訴訟などで勝利を収め、ファイルローグ事件では、高裁での逆転勝利をねらう。主な著書として『著作権法コンメンタール』(編著:東京布井出版)、『インターネットの法務と税務』(共著:新日本法規)などがある。
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小倉秀夫の「IT法のTop Front」
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 世の中には、著作者人格権不行使特約全部無効説が学会通説であるかのようにおっしゃる方がおられるようです。その動機はともあれ、間違ったことをいうのはよくないですね。
 
 著作権法の分野では、条文の起草を担当した文化庁の官僚による「解釈」が色濃く反映されているものとして珍重されている加戸守行「著作権法逐条講義[四訂新版]」356頁(著作権情報センター・平15)には、
 著作者人格権そのものの「譲渡」はできませんが、著作物の利用許諾契約や著作権の譲渡契約等において、「人格権を行使しない」という内容の不行使特約を行うことは可能であり、改変を伴う利用等が予想される場合には、そのような契約を予め行っておくことが考えられます。
とあります。
 また、北海道大学の田村善之教授は、「著作権法概説」340~341頁(有斐閣・平10)において、
 一口に人格権といっても種々のものがあるのであって、著作者人格権のように特定の著作物に関する人格的な利益が問題となっている場合には、侵害となるべき行為も限定されているのであるから、著作者人格権の不行使特約を有効とする法理を採用しても、当事者にとって酷とはいえず、契約の相手方に比して弱い立場にいる著作者の保護は一般的な公序良俗や意思表示の瑕疵の規定による処理に委ねておけば十分であろう。
とし、さらに、
 さらに一歩進めて、相手方を特定せずにある著作物について著作者人格権を行使しないという意思表示をなすこと、すなわち著作者人格権の放棄も有効なものとして扱うことが可能ではないかと思われる。
としています(なお、著作権法コンメンタール上巻の第59条の注釈部分で、私が、著作者人格権不行使特約の有効性に関する解説を書いています。)。
 また、東京地判平成13年7月2日[宇宙戦艦ヤマトプレステゲーム事件]では
 本件譲渡契約により,原告と被告東北新社との間で,原告は同被告から対価の支払を受けて,本件各著作物を含む対象作品についての著作権及びあらゆる利用を可能にする一切の権利を譲渡し,かつ,原告が譲渡の対象とされている権利を専有していることを保証したことが約されたことは明らかである。そうすると,被告東北新社(又は,その許諾を受けた者)による本件各著作物を利用する行為が,原告の著作者人格権を害するなど通常の利用形態に著しく反する特段の事情の存在する場合はさておき,そのような事情の存在しない通常の利用行為に関する限りは,原告は,本件譲渡契約によって,原告の有する著作者人格権に基づく権利を行使しない旨を約した(原告が同被告に対して許諾した,あるいは,請求権を放棄する旨約した。)と解するのが合理的である。
 なお,被告らがする本件各著作物の利用形態が,原告の著作者人格権を著しく害するなど特段の事情があるとの主張も立証もない。

と判示されており、少なくとも東京地裁民事第29部は、著作者の著作者人格権を著しく害するなど特段の事情がある場合を除き、著作者人格権不行使特約は有効であることを当然の前提としているように思われます。著作権法の研究者は良くも悪くも他の分野より実務に近いので、実務に混乱を来す全部無効説を採用するのは勇気がいりそうです。
 このように見ていくと、著作者人格権不行使特約全部無効説が学会通説であるかのごとき言説が一種のデマであることは明らかであるように思います。
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