まるくんの旅は青空 ~徒然なる幸福手帳~

いまは遺産OCNカフェとgooブログの合作です。

さようならユニッソンデクール  Unisson des Coeurs  ありがとう阪本充治シェフ 人生で最も幸せな食事  

2017年05月20日 19時19分04秒 | Weblog


【さようならユニッソン・デ・クール 大阪市北区西天満 】
本日のBGM the end of the world (世界の終わり) by pet shop boys
―なんと、この曲が収録されているアルバムタイトルが「薔薇の旋律」―
―そして、本日のワインは2011年に預けていた「2001年シャトー・ラフィット・ロートシルト」。15年の時を経て、最高の飲み頃で、バラの香りがたつこと間違いなし―
バラというキーワードではじまる1993年10月の時を経て2016年10月30日の日記
 

「おい、6時30分ぞ、家出るのがでないんぞ、電車が!ぞ」
昨夜の夕食時も明け方も繰り返し言いきかせていたのに、これまで何度も繰り返してきたビデオの再生を観ているようだ。
「えぇぇえぇえ????!?」
「あんたは壊れたビデオテープじゃのっ###あ??あ、じゃのっ#何度同じこと繰り返したら気がすむんぞっ、今度はなんぞぉぉぉぉ?!」
「あれ?ん?あれ?あれ?あれ?」
「じゃけん、なんぞ言いよんのにっ#」
「私の化粧道具知らん?」
「知るかっ、そんなもん、あんたが持っとんかどうかも知らんわっ。したこともないくせにっ###」
「あるはずのところにないんよ」
「のうてもええやいっ。化粧やか全然せんくせにっ。もうええけん行くぞ。あと10分しかないんじゃけどっ###」
「はいはい・・・・・・・・・・あっ、車の鍵忘れとった」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
6時30分の電車に乗るのに自宅を出るのが6時22分、―オンナハジュンビガナニカトヒツヨウナノヨ―なんて方便、彼女には該当しないし、アタシには通用しない。
―ナニカヲナサネバナラヌトキニカギッテ、ホカノコトヲハジメテシマウノヨネ―星人なんだから。
いつものことながらなんとか「恐怖にして神業的に」間に合うんだけど、電車に無事乗り込んでから、ここからがまたヘンテコ・テンヤワンヤだ。
「ほんで、なんでタマゴッチやか持ってきとんぞ?」
「・・・・・・・・・・死んどった・・・・・・・・・・」
「殺すなや(笑)もう犬やか飼えんぞ。みのりんはウサギ飼いたいいよったっけ?」
「そうよ」 
「あんたらには無理じゃの。死んでしまうわ」
「なんでぇ?家で飼うのに大丈夫よ」
「はぁ?家ん中でやか飼えるかっ。あんたうさぎのフン知っとんか?どこばりされるしめちゃくちゃ匂うの知っとんか、この前もすごかったろわ」
「なんのこと?」
「もう忘れたんか、うさぎ島の大久野島よ。この前行ったばかりだろわいっ」
「匂うもんも私匂わんもん」
「鼻の手術したときなんで蓄膿も治さんかったんぞ」
「そういう問題ではないでしょ」
「ほんで鳥そぼろ弁当買うとるけんいうて今しがた食べたばっかりのに、なんでサンドイッチ持ってきとんぞ。ほんでこのビニール袋のなかに烏賊センベイも入っとんですけど?今からご馳走食べに行くのになに考えとん@@?」
「えんよ、まだ8時じゃけん」
―ヒラキナオッタオンナハツヨイ―これは、彼女のための代名詞のようなもんだな。
「あっ、今日のこのお供、ティラノサウルスちゃん♪、鞄に入れとってくれんの♪」
「・・・・・・・・めちゃくちゃデカイんじゃけど?・・・・・・・・・」
「えんよ、最後じゃけん♪華々しいフィナーレにふさわしいじゃろ♪」
御堂筋線で本町駅を降り、中央線で堺筋本町に降りたときに気が付いたようだ。
「あれ?あれれ?わたしのサンドイッチ知らん?あれれ@@?」
「知るかっ###あんた新幹線のお茶台にレジ袋引っかけとらんかった?」
「キャァァア?????ッ、ショックじゃ、ほんまショックじゃ、ええ???っ?」
「・・・・・・・・・いっつもかっつもこうなん、なんとかならんの?」
嗚呼・・・・・・・彼女とはいつもかつもこうして不協和音な【心の融合】だ。
 堺筋本町駅で地上に出た。
レストランでの昼食前、かねてから念願であった北浜、船場界隈のレトロ建築めぐりをするために。
プリントアウトした地図をハニーに渡し、道筋、順路を指示したが3軒目くらいから、何故か大回りコースを主張する始末、おまけに何度もコンビニのトイレに寄る彼女はいちいち飲食物を購入するコストパフォーマンスの悪さ、やれやれ・・・・・・・・。
それでも予定していた15軒を巡り、北浜レトロまで辿り着いた。
堺筋すぐ近くに並行する御堂筋で大阪マラソン大会が開催されており、中之島の大阪市庁舎所近辺がチャレンジこーすのゴールのようで大賑わい。当然、交通規制が敷かれており、土佐堀通りを横切れなく地下道を通らなければならない。
アタシたちが北浜に到着したのが11時30分、マラソンとは別の8.8キロのチャレンジコースはすでに佳境を迎えたようでタイムアウトのランナーたちが大型バスで搬送されていた、カッコワル(笑)。
「あれ?カアコ、なんで5月でないのにバラ咲いとん?」
「トウチャン、バラは5月と10月よ」
そうか、そうだった・・・・・・・・10月のバラ――――?。
中之島のバラ園は10月のバラがちょうど見ごろで、大勢の鑑賞者で賑わっていた。
「中之島へ来るといつも賑やかじゃな」ハニーに笑いかける。
「ほんまじゃな」
若いカップルも多くいて、彼彼女たちに刺激され久方ぶりにハニーの手を握ろうと思ったけど、らしくないかなと思い直しやめにした。
「10月のバラか・・・・・・・・」アタシはひとりごつ。
新婚旅行での劇的に奇跡的に楽しかったギザのピラミッドの大地の袂での結婚パーティーを思い起こす。
――――――エジプトを離れる時間は刻一刻と近づいている。
もうすぐ明け方前のアッザーンが聞こえてくるはずだ。
静かに窓を開いた。闇のなかにポプラの木が浮かんでいる。    
静寂ななかにも激しい音がどこからともなく流れてくる。
寄せては返す波のように。 
今からでも、あの広場に舞い戻りたい激しい衝動にかき立てられた。   
誰かが体を揺り動かすかのように。                  
しかし、そのとき目にしたもので自重した。もう一つの「物語」はいらない。 
目で見やったのは妻が眠っているベッドのシーツだった。
真っ白なシーツの上には、もうすでにしおれかけたバラがあった。    
もうひとつの物語――――――
真っ白なシーツの上には、鮮やかなバラがあった。
「いっつもバラね・・・・・・・」
いつだったか妻が呟いた言葉が蘇った――――――。


 それにしても中之島はいつ来ても素敵なところだ。
パリのエスプリを、セーヌの風を彷彿させられる。
これから向かうユニッソンデクールへ2011年の夏、ふたりで行ったときの会話もなつかしく蘇る。
――――――淀屋橋に到着。
「で、なんでそっちに歩くんぞ」
「あれ、この前は橋のこっちでなかった?」
「・・・・・ああ、違う橋のなっ」
御堂筋沿いの日銀の大阪支店を背景にハニーちゃま記念撮影、はいポーズ。
ああ、くそ暑いけど気分はすっかりセーヌ河畔。
で、なんでハニーちゃま、中之島通ってなにわ橋方面行くのに真逆を歩くかね・・・・・。
「また!全然、方向違うやいっ!喧嘩売りよんかっ!」
「だって前来たときはここでなかった?」
「あんたどこの店のこと言いよんぞ?ところで今日どこ行くんか知っとんか?」
「知らんよ!教えてくれんやんっ!」
「聞かんかいっ!ユニッソンデクール!【心の融合よ!】もうちょっと前向きに心の融合してくれるかいっ!?」
「それ、いつ行ったとこだっけ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ああ、楽しや、心の融合・・・・まもなく開演です・・・・・・・。
大阪市役所を横目に強烈な木漏れ日と緑眩しい遊歩道を行きまもなく大阪府図書館。
「ここすごいだろ?ギリシア神殿みたいやろ?パンテンオンいうて勝手に思うとる。
ほれ、あそこの中央公会堂はプティ・パレ。なにわ橋はアレキサンドル3世橋、淀屋橋はポンヌフ。水晶橋はコンコルド橋。中之島はシテ島。な?ここパリに見えんか?マドリーヌ」
「おかしいひとに見える。セバスチャン」
「・・・・・・・・・・・・・・」――――――。
最初に訪れた2011年5月は中之島祭りの最中で河内音頭がそこかしこで奏でられていて、その音色やリズムはエジプト南部で聴いたスーダンの歌謡曲とそっくりで、スーダンの移民が多いパリをそこでも感じ取っていた。
今日はエジプトとパリの思い出までもが【融合した】大移動祝祭日だ。
あれから、5年、これまで最も多く足繁く通ったレストランにして最強のレストランだ。
 1ケ月前のこと、毎年4月には顧客への案内ハガキが届くのに今年はこないのかなと忘れかけていた9月、いきなり閉店の文字が躍る案内状に仰天した。
あれだけの繁盛店にして「真に美味い!!の殿堂入りの」レストランをあっけなく6年と7ケ月で閉じるとは夢にも思い描かなかった。
大阪の余所で新しい店を開くらしい。
飄々とした風貌ながら、シェフ阪本充治氏はどこかひとを煙に巻くところがあるトリック・スター(曲者師)のような偉大なる表現者なので、らしいといえばらしい。
そして彼は他の多くのシェフが「より高みに」と思い描き「よりシステマチック」な店をめざすわけではないだろうと読んだ。
むしろ、最高級なビストロ志向のほうが彼には似合っている気がしている。
そして、思い出した。
「シャトー・ラフィット・ロートシルト2001年」を預けていることを。
店にはラ・ターシュを筆頭にバタール・モンラッシェ、ムルソー・シャルム、コドリュー・ラドリアーヌ、グラン・エシェゾーなど数多くのワインを送りつけ保管してもらい低額な持ち込み料金で楽しませてもらっていたが、唯一残っていたワインだ。
「まさか店のひとに飲まれたり、紛失してしまうんじゃぁ・・・・・」身勝手タップリな妄想&ドケチ病も手伝って、ハガキを一読した瞬間、即予約電話を入れた。
閉店前日30日の日曜日、その日しか予定が空いてない。幸い予約はとれた。
いよいよその当日、今日は店と阪本氏に感謝の気持ちを込めてハニーと久方ぶりのランチ・デートだ。  
 昨日まで夏日だったのに、今日はすっかり秋風そよぐ、うららかな日曜日の正午前。
バラ園に別れを告げ、いつものお約束で、なにわ橋北詰めのライオン像とハニーをカメラに収め、店がテナントとして入るレンガビルの屋上の大きな看板「肉のダイリキ」を見上げる。
表層と深淵、その落差がこれまた坂本さんらしいとずっと思っていた。
さようならユニッソンデクール、ありがとう阪本充治シェフ。アタシが世界で最も愛してやまなかったレストラン。
今日が人生で最も幸せな食事になることを確信している。
合言葉はユニッソン・デ・クール(心の融合)――――明日2016年10月31日をもって閉店だ。
でも、これで世界が終わりってわけじゃない(It's not the end of the world)。
カモミールなどハーブが植えられた彼が愛した小さな花壇。
その手前の階段を2段上り、ドアを勢いよく開ける。
すると、これまで見たことのない、今日一日大阪中歩き回ってもなかなかお目にかかれないようなすごい美女に笑顔で出迎えられた。
もうびっくり仰天である。
いつもここでは驚かされてばかりだ。最後の最後まで。
ButIt's not the end of the world―――――。
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