語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>事故後に浪江町で生まれた奇形のウサギ

2011年06月22日 | 震災・原発事故
 「オートキャンプ場ゆうの里&ファーム風の丘」は、福島第一原発から30.5kmに位置する。
 経営者は、杉本祐子氏、56歳。
 杉本氏は、20年ほど前、東京から浪江町に移り住んだ。離婚した前夫が買い求めた東京ドームほどの広さの原野を、コツコツと手作業で美しい農園に変えた。ウサギ20数匹のほか、ガチョウ、イヌ、ニワトリ、カモが暮らす。
 人気グループTOKIOが農村生活を体験するテレビ番組の舞台となった「DASH村」も近い。メンバーの長瀬智也が訊ねてきたこともある。

 この農園の美しい自然や動物たちには、アルコール依存症患者をサポートするNPO法人が着目。4月から、リハビリテーション施設としても利用されることが決まっていた。自然とのふれあいがアルコール依存症者の治療に有効であることは、海外では通念となっている。
 が、3月11日がすべてを変えた。

 4月に計画的避難区域に指定されてからは、付近に空き家が増えた。
 しかし、動物たちを置いては逃げられない。「人体実験になっても構わない」と覚悟を決めた。
 ただ、客足は途絶え、現金収入がゼロになった。「事実上、廃業です」

 山下努(「AERA」編集部)は、5月末、農園を訪れた。
 この季節、原発付近から農園に向かって風が吹き寄せる。毎時1μSvを超えたら警報音が鳴るように設定した線量計がひっきりなしに鳴り続けた。設定を毎時1.5μSvに緩めても、繰り返し音を立てた。

 地震後、ウサギは3度出産した。母ウサギは、出産した穴から子どもを引きずり出してきちんと育てることができなかった。原発事故後に妊娠したと目される母ウサギから最後に生まれた4匹だけが、6月に入っても生き続けている。そして、4匹のうち、1匹に耳がなかった。
 5月、YouTubeに2分余の短い動画が投稿された。再生回数は瞬く間に増えていき、6月に入って、200万回を超えている。
 
 ウサギは奇形が出やすい。放射能の影響で奇形が起きることは否定できない。耳がないウサギが生まれたこと、そこが放射能に汚染された土地であること。この2つは、いずれも事実だ。【太田光明・麻布大学教授】

 杉本氏は、農園を土壌から放射性セシウムを除去する土壌改良剤の実験場として提供することに決めた。
 実験は、7月にも始まる予定だ。

 以上、山下努(編集部)「世界中が見た2分の動画 『200万回再生』の現場」(「AERA」2011年6月27日号)に拠る。
 ウサギは、小屋の中にある巣穴で出産するため、耳なしウサギがいつ出生したかは正確にはわからないが、4月末ごろに出生した、と杉本氏は推定している。氏は、原発問題を世に問う意図はなかった、という。しかし、反響は大きく、閲覧者のコメントの中には、誹謗中傷のみならず脅迫めいた書き込みもあった。氏はいう。「だれかがあの手、この手で映像を削除させようとしていた。体調が悪くなり、なかなか眠れない日もあった」(2011年5月29日 12:00 msn産経ニュース)。
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1 コメント

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私の作品を宜しければお読みください。 (積 緋露雪)
2011-06-23 05:31:01
私は貧乏な物書きです。また、私が読んだこともない作家に私の作品を評価されるのを嫌って賞といふもを忌避してゐます。私は現在、『夢幻空花なる思索の螺旋階段』『審問官 第一章「喫茶店迄」』『幽閉、若しくは彷徨〈第一部〉』を出版してゐます。文学賞を取った作品より幽玄な内容だとの自負があります。もし宜しければお読みください。

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