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2010年1月29日開設
読書
大岡昇平+社会問題・社会保障

【佐藤優】タブーがあるから社会は成立する ~相模原障害者施設殺傷事件~

2016年11月11日 | ●佐藤優
 <佐藤/(前略)社会にはタブーも必要です。タブーというのは、言論の自由や民主主義の観点からは否定的に扱われますが、むしろ、ある種のタブーが存在する社会の方が良い社会なのです。
 たとえば、2016年7月に神奈川県相模原市の障害者施設で19人が殺される事件が起きました。容疑者は事件前に衆院議長宛に手紙を書き、「車イスに一生縛られている気の毒な利用者も多く存在」するとし、「私の目標は(複数の障害がある)重複障害者の方が家庭内での生活、及び社会活動が極めて困難な場合、保護者の同意を得て安楽死できる世界です」などと主張していました。
 よく「生涯現役」が称揚されますが、裏返せば、「現役でない人間は『穀潰し』だから、早く安楽死させろ」という意味にもなりかねません。とくに精神障害者に関して、「生きている権利がない、その一人を社会で養うのにお金がいくらかかるのか、そのコストを考えたら、国家として彼らを抹殺した方がいい」などと言い出したら、ナチスの優生思想とほぼ同じです。そしてこの論理が、自分自身にも向けられれば、「周りの人間を殺して自分も死刑になる」が、最適解になる。
 容疑者は、精神耗弱というより、確信的な思想犯に思えます。人を殺すことを独善的な特殊な論理で正当化していて、背筋が寒くなりました。
 「生命は何物にも代えがたい」という戦後日本の生命至上主義は、理屈を超えたものです。いわば、一種のタブーです。こういうタブーはどの社会にもあります。もし人間の生命も、すべて経済的に計算され、医療費も、すべて経済合理性で計算されることになれば、恐ろしい社会になります。

 池上/新自由主義が、そうした「すべてが経済合理性で計られるタブーなき社会」を助長している面があります。>

□池上彰×佐藤優『新・リーダー論 ~大格差時代のインテリジェンス~』(文春新書、2016)の「1 リーダー不在の時代--新自由主義とポピュリズム」
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 【参考】
【佐藤優】『新・リーダー論 ~大格差時代のインテリジェンス~』目次
【佐藤優】+池上彰 教養教育、帰属意識と社風、エリート教育 ~リーダー育成~
【佐藤優】+池上彰 成功しているリーダーと集団の価値
【佐藤優】+池上彰 田中角栄は今日でもリーダーたりえるか?
【佐藤優】+池上彰 ルール破りの国会議員たち ~山尾志桜里・武藤貴也・上西小百合~
【佐藤優】+池上彰 メルケル首相を激怒させた安倍首相 ~伊勢志摩サミット~

 
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