語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
読書
大岡昇平+社会問題・社会保障

【社会】住友銀行秘史 ~イトマン事件の内幕~

2016年11月12日 | 社会
 
 1990年
  3月15日 ゴルバチョフがソ連初代大統領に就任
  5月15日 ゴッホの絵画を大昭和製紙の斎藤了英・名誉会長が124億円で落札
  8月2日 イラクがクウェートに侵攻
  11月22日 英国のサッチャー首相が辞任
 1991年
  1月17日 多国籍軍がイラクを空爆、湾岸戦争が勃発
  4月1日 都庁が新宿の新庁舎に移転
  5月14日 大相撲の千代の富士が引退
  6月3日 雲仙普賢岳で大規模な火砕流が発生

 これがイトマン事件が起きた時代である。
 イトマン事件とは、日本の総合商社・伊藤萬株式会社(大阪市)をめぐって発生した、商法上の特別背任事件で、戦後最大の不正経理事件である。
 本書は、伊藤萬の主力行、住友銀行(現・三井住友銀行)における業務渉外部部付部長(当時)だった國重惇史の回想録である。スーツの内ポケットに入る縦長の手帳(葉書半分ほどの大きさ)にとり続けたメモ(8冊分)を示し、これに解説を加える体裁をとっている。だから臨場感満点で、しかもその後を踏まえた解説が付くから、全体像に接近しやすい。
 本書は、あちこちで評判になり、10月5日に刊行されて10月24日の第3刷段階では早や10万部を突破した。
 銀行改革の理想に燃える壮年の客気が全編を貫き、読んでいて快い。
 と同時に、不正はどういう悪知恵を働かせればやってのけられるか、組織のなかを上手に泳いでいくには何をしてはいけないか、といったサラリーマンの(悪)知恵も伝授してくれる。

□國重惇史『住友銀行秘史』(講談社、2016)
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