語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【食】表示を求める声が米国で拡大 ~遺伝子組み換え食品~

2013年09月20日 | 社会
 (1)米国の遺伝子組み換え(GM)食品に係るアンケート調査結果【注】によれば、
  (a)表示するべきだ・・・・93%
  (b)食品に含まれる遺伝子組み換え作物(GMO)に係る健康影響などを懸念・・・・4分の3
  (c)発癌性やアレルギー誘発を恐れる・・・・(b)のうち37%
  (d)GM野菜・果物・穀類を食べない・・・・半数
  (e)GM魚を食べない・・・・4分の3
  (f)GM家畜の肉を食べない・・・・3分の2

 (2)(1)の調査は、GM食品表示を求める市民運動(いま全米で広がっている)を背景にしている。
 「GMOを知る権利」を宣言して取り組んでいる草の根運動は、37州に広がった。
 GM食品表示法案を議会に提出した州も、26に達した。
 きっかけは、カルフォニア州における住民発議によるGM食品表示法案投票(昨年11月)だった。僅差で法案は成立しなかった(49%対51%)。食品業界やバイテク業界が投票日直前に30分に1回テレビコマーシャルを流し、その結果逆転された。しかし、これがきっかけになって、運動が全米に広がった。

 (3)わけても注目されるのが、ワシントン州だ。
 同州では、署名が規定数を上回って有効となり、GM食品表示法案が州議会に提出された。しかいs、州議会は期限(4月28日)まで何も対応を示さず、不成立となった。ために、次のステップとして、11月5日に住民投票が行われることになった。

 (4)もう一つ注目されている州が、バーモント州だ。
 同州では、GM食品表示法案が下院で可決されたが、上院での可決は来年1月まで行われないことになった。
 2005年、同州はモンサント社から農民を保護する法案が議会で可決されたものの、当時の州知事が拒否権を行使して成立しなかった。
 今回も、上院での可決は確実視されているものの、州知事の対応が注目されている。

 (5)アラスカ州では、いま米国食品医薬品局(FDA)の承認を間近に控えたGM鮭に対する反対運動が州ぐるみで強まっている。
 今年初め、GM魚への表示を義務づける法律を施行している。

 (6)メーン州では、GM食品表示法案を下院が141対4で、上院が35対0(全会一致)で可決した。
 しかし、施行については、「メーン州と同州に近接した5つの州が同様の法案を可決成立させる」という条件が付けられた。

 (7)コネチカット州議会上院も、GM食品表示法案を35対1で可決した。
 これにより有望になったが、この法案も、施行に条件が2つ付いている。(a)(6)と同様に、北東部の他の4州で採択され、そのうち1つがコネチカット州と隣接していること。(b)米国北東部で同様の表示法が採択された際に、それらの州の総人口が2,000万人超であること。
 いずれもバイテク業界が大規模なロビー活動を行った結果だ。

 (8)米国でGM食品表示が進めば、TPPで最大の案件の一つになっているGM食品表示廃止問題で、米国政府は他の国に対して圧力をかけるのが難しくなる。
 米国における市民運動の取り組みが注目される。

 【注】7月27日付け「ニューヨークタイムズ」。

□天笠啓祐「GM食品表示を求める消費者の声が全米中に広がりつつある」(「週刊金曜日」2013年9月13日号)

 【参考】
【食】中国猛毒食品 ~絶対に食べてはいけない遺伝子組み換え米~
【食】食品表示はどこまで信用できるか ~遺伝子組み換えでない/表示なし~
【食】モンサントの不自然な食べもの
【経済】TPPは寿命を縮める ~医療と食の安全~
【食】効能表示をしたい健康食品業界と歯止めをしたい消費者庁
【TPP】1%の1%による1%のための協定 ~医療・食の安全~
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