語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【心理】すれちがいの心理学 ~コミュニケーション~

2013年03月07日 | 心理
 (1)相手が何を言っているのか、サッパリ分からない、という事態に出くわしたことはないだろうか。例えば、次のような発言を聞かされたら、一発で理解できるだろうか。

 <もし風船が割れたら、すべてがめあての階から離れているので、音は届かないだろう。ほとんどの建物はよく防音されているので、窓が閉まっていると音は届かないだろう。操作の全体が安定した電流に支えられているので、電線の中間が切れても問題が起きる。もちろん男は大声を張り上げることもできるが、人間の声はそんなに遠くへ届くほど大きくはない。さらに問題は、楽器の弦が切れてしまうことだ。そうなるとメッセージが無伴奏となってしまうであろう。最良の状況は距離をもっと縮めることであるのは明らかだ。そうすれば、潜在的な問題はさらに減る。顔と顔とを突き合わせるならば、うまくいかないことは最小限に出来るのだが。>

 (2)ひじょうに奇妙で、意味不明なたわごとを言い募っているかのように見える。精神が錯乱しているのではないか、と疑う人もいるかもしれない。カフカ的な不条理とは斯くの如きか、と深読みする向きもあるかもしれない。
 実はしかし、これは単なる日常的な談話であり、しかも非常に筋のとおった発言なのだ。
 添付の写真の右側の図をご覧いただきたい。しかる後、もう一度読んでいただきたい。
 ハハーン、と膝をうつ方もいるかもしれない。
 しかし、まだピンとこない人もいるはずだ。
 そこで、添付の左側の図に目を向ける。すると、なるほど・ざ・納得ということになる。

 (3)聞く側に話し手が置かれた状況や発言の背景が決定的に不足している場合、理解が困難になる。
 手がかりの一部が提示されていれば、理解が促進される。 
 話し手が置かれた状況、発言の背景に関する情報の全貌が提示されると、一挙に理解が進む。

 (4)発言する側からすれば、殊に初対面の人には、あらかじめ必要な情報、手がかり、文脈を提示しておけば提示しておくほど、理解されやすくなる。

 (5)家族間の日常会話が、第三者からみればわけのわからない断片のやりとりであっても、家族には分かる。「アレはどこに置いたっけ?」でも通じる。情報(文脈)を共有しているからである。
 他方、たとい家族であっても、必要な情報(文脈)を共有していない場合、相手がアカの他人より疎遠に見えることがある。

□山本政人ほか『心理学のポイント』(学文社、2000)pp.65-66
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