語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【五輪】リオを笑えぬ死骸と大腸菌の海 ~東京五輪トライアスロン会場~

2017年01月04日 | 社会
 (1)莫大な建設費をめぐってすったもんだが展開する東京五輪・パラリンピック。
 海の中にも意外な問題が潜んでいることをご存知か。

 (2)トライアスロンと水泳のマラソン会場に選ばれたお台場海浜公園(港区)の近くの海中に潜り、約20年間にわたって定点観測を続いている須賀次郎・日本水中科学協会代表理事(81)がこう語る。
 「この20年で、海中の環境はどんどん悪くなっています。マハゼやイシガニなど生物の数は減っているし、環境汚染に伴う青潮などの影響か、夏には海底近くが無酸素に近い状態となって貝などが死滅する現象が起きる。近年増えた外来生物のホンビノスガイなどの死骸が海底に累々と折り重なります。競技に直接支障はないでしょうが、イメージの問題はあるでしょう」
 夏といえば、まさに東京五輪の開催時期。リオ五輪ではリオデジャネイロ沿岸の海の汚さが話題となったが、日本もよそ様のことを笑っている場合ではない。

 (3)問題はまだある。都が2013年にまとめた環境調査では、この付近の海中で国の水浴場の基準値(100ミリリットルあたり1,000個)を超える糞便性大腸菌群が検出されているのだ。
 「大腸菌群の値は普段は基準値以下ですが、大雨の後などに下水処理場の能力が追いつかなくなり、汚水がそのまま放水されるため一時的に高くなる。この状況は今も改善されていません」【前出、須賀氏】
 東京都五輪・パラリンピック準備局によれば、「徐々に下水処理場の貯留槽を増やすなどの対策をとっており、20年までには改善が期待できる」とのこと。

 (4)一方、青潮などによる生物の死滅については、都環境局の担当者が、「普段から原因となる海水の富栄養化を抑制するため、排水の規制などに継続的に取り組んでいます」と説明したが、今のところ五輪に向けて特別に手を打つ動きはない。

 (5)「赤潮や青潮の問題は簡単に解決しないでしょうが、数十メートルおきに酸素を供給する生物の避難所をつくるなど局所的な対策も考えられます。せっかくの東京五輪なのだから、競技をして終わりではなく、これを機にきれいな江戸前の海を復活させて、世界にアピールできるようにしてほしい」【前出、須賀氏】
 東京は、箱モノ以外の“レガシー”を残せるか。

□記事「東京五輪トライアスロン会場 リオ笑えぬ死骸と大腸菌の海」(週刊朝日 2016年12月30日号)
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 【参考】
【片山善博】小池都政を「一輪車」にしてはならない ~都議会の無責任を示す一例~
【片山善博】【五輪】新国立競技場をめぐるドタバタ ~舛添知事にも落とし穴~
【五輪】エンブレムの幻 ~多文化主義への無知を露呈したコンセプト~

【五輪】工事遅れや費用増大、責任のなすり合い ~新国立競技場~
【五輪】が都民の生活を圧迫する ~汚染市場・アパート立ち退き~
【五輪】公共事業のためか? ~メッセージの発信、新しい試みを~
【原発】放射能の海で「おもてなし」 ~2020年東京五輪~
【原発】東京放射能汚染地帯 ~オリンピック競技候補会場~
【原発】放射能と東京オリンピック招致


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