語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【詩歌】ロバート・フロストの、「雪の夕べに森のそばに立つ」

2010年12月30日 | 詩歌
 この森の所有者はだれか、わたしにはわかっている。
 だが、彼の家は村の方にある。
 雪の降り積もった森を眺めようと
 ここに立ち止まっているのは彼に見えないだろう。

 わたしの小さな馬は不審に思っているに相違ない。
 森と凍った湖のあいだ
 近くに農家もないところに立ち止まるのを。
 それも一年じゅうで一番暗い夕べに。

 馬は何か間違ったことはないかと
 馬具についた鈴を一ふり鳴らす。
 あたりでほかに聞こえるものは
 雪片を伴って吹きすぎる風の音ばかり。

 森は美しく、暗くて深い。
 だが、わたしには約束の仕事がある。
 眠るまでにはまだ幾マイルか行かねばならぬ。
 眠るまでにはまだ幾マイルか行かねばならぬ。


  Stopping by Woods on a Snowy Evening

 Whose woods these are I think I know.
 His house is in the village though;
 He will not see me stopping here
 To watch his woods fill up with snow.

 My little horse must think it queer
 To stop without a farmhouse near
 Between the woods and frozen lake
 The darkest evening of the year.

 He gives his harness bells a shake
 To ask if there is some mistake.
 The only other sound's the sweep
 Of easy wind and downy flake.

 The woods are lovely, dark and deep,
 But I have promises to keep,
 And miles to go before I sleep,
 And miles to go before I sleep.

□ロバート・フロスト(安藤一郎訳)「雪の夕べに森のそばに立つ」(『世界詩人全集第12巻 ディキンソン・フロスト・サンドバーグ詩集』、新潮社、1968、所収)
□Robert Frost(edited with an introduction by Ian Hamilton)“SELECTED POEMS”(published in Penguin Books,1973)
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