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読書
大岡昇平+社会問題・社会保障

【派遣】社員の待遇改善が日本経済を救う ~中高年派遣社員物語12~

2017年04月06日 | ノンフィクション
 (1)FX(外国為替証拠金取引)で財産を失い、あわてて派遣社員となって、かれこれ5年が経つ。その間正社員をめざしたものの、正社員だったのは、手取り17万円の清掃業務1年半だけだ。専門の調査研究の分野では、TOEICの点数が低いこと、技術士の資格を持っていないことで正社員になれない。

 (2)派遣社員で何がきついか。
 短期の仕事が多く、長くても半年未満。そのため半年の勤務が最低条件になる有給休暇をとれない。政府の規制改革推進会議では、勤務初日から有休を取れるようにしようと提案されているが、切望する。妻は正社員だが、子どもが熱を出すたびに休まなければならず、森川氏も「一度は子どもの世話をしてほしい」と頼まれる。しかし、休めば給料が減る。妻の要望をなかなかきいてやれないのが辛い。

 (3)現在の時給は1,200円。この額だと、マンションの借金返済、管理費・光熱費等を含め、最低でも必要な15万円を賄いきれない(森川氏の家庭では妻が食費の支払いを担当している)。
 60歳から支給される月約5万円の特別支給の老齢厚生年金でやっと生きていけるが、保険のきかないインプラント等の出費があると、息も絶え絶えとなる。年金がまだ出ていない中高年は、さらにキツイだろう。
 最低時給1,500円を要望している労働団体があるが、大賛成だ。

 (4)派遣社員の時給が安い理由の一つに、派遣会社が取るマージンがある。平均2~3割とっており、森川氏の場合、月4万円が取られている。
 派遣会社は、求人企業と求職者とをつなぐ仕事をしているが、いったんつないでしまえば、彼らのやる仕事はない。あとは半日で終わる給料計算を月に1回するだけ。それで次の仕事を紹介してくれるなら、まだいい。今まで次の仕事が決まったことは一度もない。

 (5)現在、全国に約7万社の派遣会社があるが、米国では約2万社だという。人口約3億人の米国社会と比べ、人口比で約10倍も多い。
 労働者の約4割が派遣社員となっている今日、派遣会社のマージンが派遣社員の手に渡り、正社員と同じく有給休暇がとれ、住宅手当や交通費、賞与等も同じく支給され、健康保険料も半額が会社負担になれば、どれほど日本経済に好影響を与えることか。
 日銀は物価を上げて景気をよくしようと、大量のお金を発行し、国債や株を買い上げているが、派遣社員の待遇改善を果たせないならば、日本経済は長い低迷から抜け出せないだろう。

 (6)ただ、派遣社員のいいところは、定時帰りができ、朝も夕餉も家族団欒ができること。
 だが、早く帰るため会社では肩身が狭く、雑用も多い。
 中高年は人生の経験が長いのだから、森川氏らの意見を聞いてはどうかと思う。
 正社員を見ているとおしゃべりが多い。勤務に専念し、会議の参加者を必要最低限の人数にするなどして、定時に帰れるようにしてはどうかと思う。

□森川海守「派遣社員の待遇改善が日本経済を救う ~中高年派遣社員物語12~」(「週刊金曜日」2017年4月日号)
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 【参考】
【派遣】国民健康保険料の理不尽 ~中高年派遣社員物語11~
【派遣】中高年の保険は医療保険で十分 ~中高年派遣社員物語10~
【派遣】中高年は厨房に入る ~中高年派遣社員物語9~
【派遣】海外を目指す! ~中高年派遣社員物語8~
【派遣】中高年の節約術 ~中高年派遣社員物語7~
【派遣】原子力損害補償業務はホームズの赤毛組合? ~中高年派遣社員物語6~
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