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2010年1月29日開設
読書
大岡昇平+社会問題・社会保障

【派遣】海外を目指す! ~中高年派遣社員物語8~

2017年03月07日 | ノンフィクション
 (1)中高年、一生に一度は海外で働いてみたいと思いませんか。
 住んでみると、命に関わる経験もありうるが、海外旅行では知りえない、その国の真相に迫ることができるかもしれない。

 (2)筆者=森川氏は、JICA(独立行政法人国際協力機構)からタイに派遣されて、チェンマイとノンタブリ市で合計4年間仕事をしたことがある。
 赴任初日から事故に遭遇した。バイクタクシーに乗った若い女性が運転手もろとも、交差点付近でカシャーンと倒れて、道路を横滑りしていくシーンを目撃した。幸い、命に別状はなかったが。
 1日車に乗っていたら、事故を目撃しない日はない。側溝や川に落ちて動けないトラックや、犬・猫が車にひかれてペチャンコになった残骸もよく見かけた。それもそのはず、一般の幹線道路が高速道路なみに走ることができ、時速100kmで走る車が多いのだ。

 (3)また、バンコクを歩くと、道路の側溝から下水の臭いがした。これは何か、トイレの実態を話さないと分からないだろう。
 ある日、水洗トイレから臭いがするので、団地の職員に訊いたら、「市役所に汲み取りを頼み、終わったら、このEM団子を浄化槽に放り込んでください」と言われ、住んでいる家の浄化槽を初めて見た。分かったのは、尿が土に染み込むタイプで、浄化槽からあふれ出た汚水が、街の側溝に流し込まれる仕組みになっていることだ。そのため、時々バキュームカーで側溝の下水を汲み取り、EM菌を使って浄化する下水場に運んでいる。

 (4)EM菌は、日本の比嘉照夫・琉球大学名誉教授が開発した有用微生物群の略称。東南アジアで随分と活用されている。
 実際、EM団子を浄化槽に放り込んだとたん、臭いが消えた。
 タイで水道の水が飲めない理由もここにある。
 そもそもタイでは水道管が古く、浄水場から水圧を高くして流すと漏水が多くなる。かといって、水圧を低くすると、こんどは汚れた地下水が水道管に入り込みやすくなる。事実、筆者も山の上の冷たい水道の水だからとコップ一杯の水を飲んだら、たちまち下痢した。

 (5)旅行者は、側溝の異様な臭いには気がつくかもしれないが、臭いの背景にこんな裏事情があることはわからない。
 市役所にアドバイザーとして勤め、側溝の掃除現場や下水場、浄水場の見学ができたからこそ分かった裏事情だ。
 残念だが、われわれの経験がJICAに引き継がれたかというと、心許ない。管理職を含め、シニア海外ボランティアと一緒に派遣された人のほとんどが2年任期の契約社員なのだから。 

 (6)とはいえ、見るもの、聞くもの、すべてが物珍しく、伴侶と一緒に海外に行くと毎日が観光だ。日本では珍しい蛍を家のそばで見たり、庭のバナナを食したり、象の住む森を歩くツアーに参加したり。
 経済的補償も厚く、一度はシニア海外ボランティアへの応募を勧めたい。

□森川海守「中高年は海外を目指す! ~中高年派遣社員物語8~」(「週刊金曜日」2017年3月3日号)
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