語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】岩手を見捨てた小沢一郎/岩手に見棄てられた小沢一郎

2011年06月13日 | 震災・原発事故
 何よりも小沢一郎・民主党元代表の凋落を物語るのは、実は、地元岩手における酷評だ。
 「小沢氏が権力者の表舞台に戻ってくることに対して、誰もが会合で『もうウンザリだ』『えらい迷惑だ』とぼやいていた。マスコミはすぐ地元を小沢王国と呼ぶが、もう嫌気が差しているんです。水谷建設の事件であまりにもイメージが悪いし、震災後、一度しか岩手に帰ってきていない。しかも、行ったのは県庁だけ」【地元関係者】

 「そもそも国難の時に頼りになるという期待感が小沢にはあった。ところが、いざとなったら何もしないことがよくわかった。選挙の時だけ、地を這えと人を動かすのに、被災地に誰も寄こさない。先日、岩手で経営者ら200人が集まった時、みんな『小沢は地に墜ちた』と非難囂々でした」【小沢の元選対幹部】
 倒閣のために小沢グループの政務三役5人が辞表を出した騒ぎも、致命的だ。5人のうち、東祥三・内閣府副大臣は原子力と防災担当だ。樋高剛・環境政務官は、瓦礫など災害廃棄物の処理担当責任者だ。
 「ここまで被災地を無視した政局はありえない」【政治部記者】

 壊滅的な被害を受けた陸前高田市は、中選挙区時代、小沢の選挙区だった。政治の停滞が、ここで深刻な問題をひき起こしている。
 瓦礫を撤去しても、県はまだ3月分の代金を全額支払っていない。支援金も義援金も入ってこない。だから、重機のリース代、従業員の賃金が払えない。銀行はカネを貸してくれない、云々。【瓦礫を撤去した土木業者】
 瓦礫撤去には手をつけない業者がけっこうある。復興計画が確定していない現状では、タダ働きになるからだ。今は資材を調達している。小沢派の代表格だった会社が自民党に頼んでいるほどだ。これまで小沢は「用があれば秘書に言え」と言ってきたが、誰も来ないから頼りにならない、云々。【被災していない地域の建設業者】

 小沢王国を支えてきたのは、建設業者だった。しかし、震災以前から、県内の業者は小沢離れを始めていた。
 10年に公正取引委員会が、「談合を繰り返していた」と県内の80社を認定したのが発端だ。公共事業の指名停止処分と課徴金の納付命令で自主廃業や倒産に追いこまれる企業が出てきたのだ。
 除け者にされなくない、という恐怖心から談合サークルに入っていた業者も巻き添えを食らった。もう政治活動どころではない。【県政関係者】
 選挙のたびに動員を要請され、名簿の提出を求められていた建設業者が、「政治には疲れた」と離れていった。そこへトドメの一撃となったのが、震災への無策だ。

 小沢が被災地を訪れないのは、「警備などで迷惑をかけるから」ではない。
 小沢は、被災地で陳情されるのが嫌なのだ。陳情されても、「よし、わかった」と言えない。政府に対する力がなくなったから、空手形を切れないのだ。【小沢グループに詳しい関係者】
 それでも、「人としておかしいだろ」と、瓦礫を撤去する別の土木業者は言う。2月の市長選挙の時、小沢ら現職国会議員、県議、県知事が陸前高田を訪れた。「陸前高田を明るくする」と言っていたが、連中は薄情にも来ない。だから、我々市民は「なんだよ、選挙の時だけ来て」と言うんだ。自分の選挙地盤だった所だから、小沢に常識があれば顔くらい見せるだろ。「うちの母ちゃんもじいちゃんも亡くなったんだ」と叫ぶ子どもが、ここにはいっぱいるのに、一体、国会で偉そうに何をやってんだ、云々。
 黄川田徹・衆議院議員の秘書の遺体が上がった後、焼き場に来た民主党の人間は黄川田議員だけだった。小沢の秘書も他の民主党の連中も来なかった。死に水を取ることもできないヤツらに、政治なんてできねえよ、云々。【黄川田議員の支持者】
 「小沢にとって、我々は票集めの道具でしかない」【後援会幹部】

 以上、記事「岩手を見捨てた小沢一郎 有力後援者が続々『絶縁宣言』」(「週刊文春」2011年6月16日号)に拠る。
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