古い倉庫を始末し、新しく設置した際、古い倉庫から出てきた本の一。
(1)ギリシャ旅行案内。第1章はエーゲ海の主な島13、第2章はアテネ(都市の愉しみ)、第3章はペロポネーソス半島(コリントスほか)、中部ギリシア(デルフィほか)及び北ギリシア(マケドニア王国の地ほか)・・・・の3章で構成される。
(2)ギリシアの緯度は日本とあまり変わらない。アテネは海流の関係で比較的温暖だが、緯度は新潟とほぼ同じだ。本土のもっとも南、ペロポネーソス半島さえ、真冬には雪が降るし、北西部の高地は3月まで豪雪に埋もれている。だから観光シーズンは・・・・と切り出し、宿の予約と交渉術、現地での行動のしかたなど解説するが、このあたりは地球の歩き方っぽい。
ただし、これは導入部であって、本文は島や町、遺跡や博物館を神話や歴史を織りまぜつつゆったりとした口調で語る。
タイトルの「癒しの旅」とは、世知辛い現代を生き延びる戦いに傷ついた心の傷を癒す、というほどの意味か。たしかに、一点の遺物から幾千年前の英雄を引き出されると癒やされる気分にならないでもない。
(3)著者はギリシアとの付き合いが長いだけあって、「ギリシアの博物館は、規模の大小にかかわらず、どこでも明るくて親しみやすい」と展望してみせる。市場で「目の肥えた品選びをする男性の姿が非常に多い」といった観察も、なるほど・ざ・納得である。
ただ、豊富なきれいな写真は概して小さすぎて楽しめない。参考文献が付いてないのも、ガイドブックとしては親切でない。
□楠見千鶴子『癒しの旅 ギリシア・エーゲ海』(ちくま選書、1999)
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