2月17日(金)の記憶
朝、野菜サラダを作ってゆっくり朝食を摂っていた。
朝ドラの「カーネーション」を見ながら・・・・
電話が鳴った。
K病院の姉の病棟の婦長さんからだった。
「今朝、看護士が朝食を運んだときに声かけしたら、「うん」と返答をしたそうですが、
朝食後の薬を運んだとき、枕の横に顔が落ちていて、血圧も下がっていて、
今は意識がありません」
私は姉の病を知ったときから、いつかはこうなる事は覚悟していた。
だがついに、くるべき日がきたのか。
覚悟はしていたが、やはり心は震えた。
義姉と甥に連絡を入れた。
バカなことに、緊急連絡が入ったのに、私は「朝食が済み次第行きます」と
返事していた。
何考えてんだろう!
急遽、食べかけの朝食を(パン・サラダ・コーヒー)それぞれの容器に移して、
タクシーを飛ばす。
すでに個室に移されていた。
姉の腕には、点滴が入っていた。
私の姿を見て、婦長は病室に一緒に来て、姉に呼びかける。
「Yさん、妹さんが見えましたよ」
婦長さんは、私のことを言ったので姉の表情が変わったと言った。
私が姉の手を握ると、姉は握り替えしてきた。
強くはなかったが、間違いなく自分の意志で。
看護士が頻繁に痰吸い上げに入ってくる。
私は二人になったとき、目を閉じたままで荒い息を酸素マスクの中でしている姉に
心の底から礼を言った。
「姉ちゃん、私がここまで来られたのは、姉ちゃんのおかげよ。
ありがとうね」
日頃は口に出してそんなことは言ったことはなかった。
だがよく口にしていたのは、「よくあれだけの家事をしてきたね、弟・妹の面倒
見ながら、感心する」
私の言葉はまだ聞こえていたようだ。
姉はスーッと涙を流した。
その時なぜか、25という数字が浮かんだ。
婦長さんは「泊まりますか?」と聞いた。
「もちろん泊まりますよ」
昼過ぎに一端家に帰り、猫に餌をやり入浴をして、夕食と朝食を準備して
病室に戻った。