佐山音楽事務所

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メッセージ2014年6月(5月)

2014年05月29日 | 佐山陽規からのメッセージ
「ウレシパモシリ」公演中です。とてもいい作品だと思っています。
私は芝居には直接参加せず、舞台面から一段高い所にほぼずっと座って舞台面を見下ろしつつ、要所、要所で歌を挟み込んで行くという構成になっています。

「ウレシパモシリ」とはアイヌ語で『育みあう大地』という意味。
話そのものは遠藤周作氏の小説「おバカさん」を原作としており、アイヌとは何の関係もないのですが、この作品をプロデュースし、脚本を書き演出し、出演もしている阿部義嗣さんが、ミュージシャンであり作家であり、美術家でもあるAKIRAさんの楽曲と出会い、それまで温めていた「おバカさん」の舞台化に踏み切ったとのことです。
   
この中で歌われる曲はすべて、この芝居のために新たに書かれた曲ではなく、AKIRAさんの既成の楽曲です。それらの曲をうまく芝居の筋の中に組み込んで構成されています。
芝居の中でとても重要な場面で歌われる「ミタクオヤシン」という曲があります。
こちらはアイヌ語ではなくネイティブ・アメリカン、ラコタ族の言葉で『すべてのつながるものへ』という意味。
AKIRAさんという人は世界中を旅して、様々な人と出会い、その触れ合いの中から歌を創ってこられたようです。
そこで歌われているのは「愛」です。人と人との愛であり、様々な神からの、あるいは神への愛であり、自然への愛であり、何よりも慈愛に満ちています。『おバカさん』という話も、愛の物語です。
その物語とAKIRAさんの歌が見事に融合しています。

今回の舞台で私は新たな経験をしています。
今までのミュージカルでは、何かの役を演じ、その役の感情で歌ってきたのですが、冒頭でも書いたように一段高い場所から舞台で進んで行く物語をずっと見ていると、何か不思議な感覚になって行きます。
そこに登場する一人一人の人物が何故か愛おしくなって来るのです。
そして私は直接その人物の感情を歌うのではなく、その人に歌い掛けて行ったり、その人を通して、あるいはその場面を通して(うまく言えないのですが)、人間の感情を超越した「何か」を歌っているような気がしています。
芝居には直接参加していないと書きましたが、そんなことはありませんね、演技をしていないと言い換えましょう。

残念なことに、とてもいい作品なのに集客に非常に苦労しています。
小劇場でのひと月に亘るロングランという、オフ・オフ・ブロードウェイのような冒険が、このままでは興行的には失敗ということになりかねません。
皆様ぜひザムザ阿佐ヶ谷まで足をお運びください。
皆様のご協力をお願いいたします。
                                   佐山 陽規


「ウレシパモシリ」の公式HPへ。
「ウレシパモシリ」スケジュール。(当ブログ内)

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